第四十八話 A01対A07のクラス別対抗戦 各エデュケーター視点→レオ視点→現在→空島リンクフィールド
エデュケーター・クラヴィス視点
私はA02クラスとA03クラスの対戦の後、次のクラス決めのくじを操作する。
まずは私のクラスのA01クラスに止まるように設定する。
これはエデュケータ―権限によるシステムへの干渉だ。
観客が湧く声が聞こえる中、A01にくじが決まる。
「フフフ。次はA07」
私が設定したくじは次の対戦相手をA07クラスに止まる。
『おっと~! A01クラス対A07クラス! エリートぞろいのA01対英雄榊友斗のいるA07クラスの戦いだ~!』
『会場も盛り上がっています。これは予想外のカードです!』
私はこれまで違法匿名掲示板に流れているネオセントリック教団や榊友斗の情報を編集して流していました。
私はネオセントリック教団の「秩序による支配」という理念に共感している。だが同時に、榊友斗の「自由な力」にも魅了されている。
秩序と自由、どちらが正しいのか。その答えを、榊友斗に見せてほしいのです。
観客の歓声が電子の波となってホログラムスクリーンを震わせる。
可愛い子には旅をさせよと言いますがファンであるからこそ榊友斗には苦しんでほしい。
もっと榊友斗の輝く姿が見たいが同時に苦しんでほしいという思いがあります。
ネオセントリック教団やいずれ来るだろう行政AIとの戦いでどう立ち向かうのか。
これが見たい。だからこそ私の担当しているクラスのA01クラスの戦いで榊友斗の輝く姿が見たいのです!
私は選手の控室に向かい、A01クラスの面々に向かいます。
「皆さん、今回の戦いは秩序対自由の戦いです」
リーダーの九条リクトが挙手する。
「何ですか?」
「エデュケーター・クラヴィスはどちらが勝つと思われますか?」
「それは神にもAIにもわかりませんね。ですが君たちは間違いなく強い。だからこそ英雄榊友斗率いるA07クラスにも勝てると信じています」
幸い私のクラスの生徒たちも粒ぞろいです。英雄榊友斗を倒せるポテンシャルもあるでしょう。先ほど質問をしてきた九条リクトは私の教えを忠実に守る秩序を愛するリーダー。
いい戦いができるでしょう。
「エデュケーター・エミリア。君たちの自由は秩序に勝てますかね?」
** エデュケーター・エミリア視点
「みんな聞いてくれ。エデュケーター・クラヴィス率いるエリートクラスA01との対戦が決まった」
「エデュケーター・クラヴィスか。あの胡散臭いおっさんだな」
「胡散臭いのは否定しないがな。なんにせよ、A01クラスはエリートぞろいだ。強いぞ」
「そんなの初めからわかっていますわ。やってみなくちゃわかりませんもの」
「頑張る。エリートには負けない」
「俺様も同意見だ。初戦は誰が出る?」
私としては友斗に行ってもらいたいが……。
だが友斗が負けるとクラスは勝てない。
オーダーを悩んでいると……。
「俺様が行こう」
レオが手を挙げる。
「レオ、良いのか?」
「ああ、友斗が初戦から出るのはありだが。だがリスクもある。それにA07クラスの層の厚さを見せるにはちょうどいいだろう?」
レオは不敵な笑みを見せる。
それは友斗が度々クラスメイトに見せてきたものだった。
不安そうなクラスメイトはその笑みを見て少しだけ笑った。
「レオも友斗に似てきたな」
「なっ! これは違う。友斗とはライバルなのだからな」
レオの慌てように友斗たちが笑う。
だがこれで緊張がほぐれたな。
「レオ、やってくれるか?」
「ああ、必ず勝利を持ち帰ってくる」
騎士の礼のような事をするレオを見て私は本当に変わったな、と思った。
** レオ視点
『ラピス、準備は出来ているか?』
『勿論です。レオ様の勝利のために』
ラピスの青水晶のような彫像がホログラム上に浮かび上がって煌めく。
クラスメイト達は出場しない選手以外は観客席だ。
毎回登録メンバーは四人だけと決まっていて、レオ、友斗、ルナ、ユノの四人だった。
カスミは出たいと言ったのだが……。ユノは色々とサポートもできるのでそちらの方面で出場メンバーに入った形だ。
「カスミ、悪いな。今回はユノに頼む」
友斗のセリフに口を尖らせつつもカスミは答える。
「……分かった。でも次は私も出る」
カスミは不満そうだったが、クラスのために引き下がった。
『カスミが駄々をこねるのは珍しかったが。クラスのためにも勝利を持ち帰る!』
『それでこそレオ様です』
レオは体育館フィールドの中央に向かう。
相手も来たようだ。
「意外だね。榊友斗を出してくると思ったのに」
「俺様の相手は不服か?」
『A07クラスからは秋月レオ! A01クラスからは九条リクトだ~!』
『意外ですね。A07クラスは榊友斗を出してくると思いました』
実況と解説の声が鳴り響く。
「フフフ。榊友斗はビビったのかな?」
「おい。何て言った?」
「榊友斗はビビりの間抜けかな? って言ったのさ」
「貴様、俺様のライバルを侮辱するとは――」
「意外だね。君は榊友斗を嫌っていると思っていたよ」
「貴様に俺様の何がわかる」
レオは榊友斗をライバルと公言しつつも慕っていた。その理由は闇市場の売人クルドの件からの理由で明白だ。
『レオ様、これは挑発です』
『わかっている。だが友斗を侮辱されることは許せん』
ラピスの忠告に従いつつも自分の意思を見せるレオ。
気高いライオンの心を持ったレオは変わった。
ラピスは内心でそう考えつつも言わなかった。
「九条リクトとやら、貴様の考えはわかっているがあえて乗ろう。俺様が勝つ」
「いいね。いつになく感情が高ぶってきたよ」
ホログラムスクリーンではリンクフィールドのくじ引きが始まっていた。
『さあ、今回のリンクフィールドは~!』
実況の南雲ミサキが煽る中、ランダムに映し出されていたリンクフィールドが一つの場所に決まる。
『今回のリンクフィールドは空島ステージです』
通称ノヴァっちが冷静に告げる。
『空島ステージと言いつつも中心の塔の屋上で戦うステージだ~!』
『このステージは手すりがありません。落ちたら失格。つまり外に押し出すことで勝敗が決まることもあります』
空島ステージか。俺様のパワーチャージなら押し出せるか?
だが相手は中々身軽そうな動きだ。それは狙いとしてはありだが本線ではできないな。
レオは感情は高ぶりつつも冷静だった。
たとえ俺様が負けても友斗なら勝ってくれるだろう。それだけの強さがある。
エデュケーター・コバルが二人に話しかける。
「そろそろ始めるぞ。準備しろ」
レオは蒼く光る全身鎧を身につけ、盾と片手剣を構える。
九条リクトは両手槍を優雅に召喚し、レオに突き付ける。
「その胡散臭い笑みを消してやるぞ」
「君たちこそ榊友斗を出さなかったことを後悔させてやるさ」
エデュケーター・コバルが片手をあげて下に降ろし叫ぶ。
「お互い、より良いリンクバトルを! 試合開始!」
レオはラピスに念話しながら素早く行動を開始する。
「パワーチャージ!」
大盾を構え、青白い光を帯びながら突進するレオ。
それを予想していたのか、胡散臭い笑みを見せる九条リクトは突進を避ける。
「そのまま落ちろ! パワーランス!」
振り返りざまに両手槍を巧みに回しながら薙ぎ払いで吹き飛ばそうとする。
『レオ様、予測通りです』
『ああ、リンクフィールドのシステムは理解したか?』
『勿論です』
レオはすっと青白い光を透過させるように消える。
薙ぎ払いを受けたにもかかわらず、消える体。
「何⁉」
九条リクトの胡散臭い笑みが崩れる。真横に敵感知!
横を振り向いた時にはレオのパワーチャージが迫っていた。
槍で突進を受けるが吹き飛ばされる。
何とか槍を空島の床に突きさし、勢いを抑える。
「何だ! あの現象は?」
「俺様も友斗の後ろを追っているだけではないということだ」
レオはリンクフィールドのシステムにラピスを通じてハッキングして、自身の位置情報を入れ替えた。
九条リクトの視界には、レオが目の前にいるように見える。だが実際のレオは、真横にいた。
これは訓練用AIの鬼武者が見せた位置情報の入れ替えと同じ技術だ。
レオはそれを、ラピスと共に再現して見せたのだ。
天才ハッカーの名は伊達ではない。
九条リクトは、クラヴィスの教えを忠実に守る「秩序の体現者」だ。
冷静沈着で、胡散臭い笑み以外、感情をあまり出さない。だが今、その表情が崩れている。
「まさか……こんな技術を……」
観客席はどよめきに包まれる。
「榊友斗の金魚のフンではないという事か――」
次話、秋月レオと九条リクトの激闘!
小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。




