第四十七話 決着 牧瀬アミナ視点→現在→里山リンクフィールド
試合前、控室。
「ユウゴ君、今日は頑張るね」
牧瀬アミナが緊張した様子で話しかける。
「おう、アミナも頑張ろうな」
鷹森ユウゴの何気ない言葉に、アミナは顔を赤くする。
二人のタッグバトルが今始まる。
**
里山リンクフィールドはさわやかな空気と時々吹き抜ける風に包まれていた。
もう試合は始まっている。
『さあ第三試合が始まりました! この戦いどうなる!』
『牧瀬アミナの能力に注目ですね』
御影ナオと秋葉ミナは罠使いの能力で姿を隠してしまった。
「アミナ、出番だぞ」
「オッケー! 私のビートかましちゃうよ~!」
「アミナ! 準備は出来てるポコ!」
アミナのナビAIは狸の絵が描かれたエレキギターに変わる。
これは音楽用AIを改造した狸のような獣型のAIである。
「索敵~♬ 罠使いはどこ~♬」
アミナの音が里山フィールドにこだまして秋葉ミナの罠ごと狸の置物に変えてしまう。
その音は御影ナオと秋葉ミナにも届き、隠れていた場所もわかってしまう。
「キャッ!」
「なるほどな。久我トウマではなく牧瀬アミナを二v二に選んだ理由はこれか」
『牧瀬アミナは音使いです! 罠を音波で作動させて狸の置物に変えてしまった~!』
『これは痛いですね。秋葉ミナの能力が封じられてしまいました』
御影ナオと秋葉ミナは後ろから姿を現す。
鷹森ユウゴと牧瀬アミナを包囲するように仕掛けられていた罠たちは全て狸の置物に変わってしまった。
牧瀬アミナは絶対的に罠使いの秋葉ミナと相性が良い。
だがそこで終わる秋葉ミナではない。
「アイリーン! 撃ち抜くよ!」
秋葉ミナは再び姿を消すと素早く里山フィールドの高い木の上に登る。
鷹森ユウゴと御影ナオは一v一のバトルの時のように激しい攻防を繰り返す。
秋葉ミナは狙撃銃を片手に牧瀬アミナを照準スコープで狙うが……。
牧瀬アミナは再びエレキギターをかき鳴らし、里山フィールド内を索敵する。
音の音波が広がり、木の上に登った秋葉ミナを炙りだしてしまう。
「そこ! サウンドウェ―ブ!」
音の衝撃波を木の上に撃つ。
危険を感じた秋葉ミナは木の上から飛び降りるが、若干のダメージを負ってしまう。
そこに忍び寄る影。
「——セブンスブレイド!」
先程まで御影ナオと戦っていたはずの鷹森ユウゴが秋葉ミナの後ろに来ていた。
愕然とする秋葉ミナ。木から飛び降りた硬直で動けない。
「させん! 今度は負けんぞ。リバースドーム!」
御影ナオの素早いカバーで何とか秋葉ミナは守られる。
鷹森ユウゴのリンク率はまだ七十%程度なので同程度のリンク率の御影ナオは防ぐことができた。
『間一髪! 御影ナオのカバーで事なきを得たが、A03クラス、厳しい戦いだ~』
『ここからどう状況を打開するのか注目です』
「アイリーン、音波を罠として使うよ!」
秋葉ミナは牧瀬アミナの音波を逆手に取り、音波が当たると爆発する罠を設置する。
罠の波長を音波に合わせるように設定していた
駆け引きの応酬が止まらない。
牧瀬アミナはエレキギターをアコースティックギターに戻し静かな音波で罠をやり過ごす。
牧瀬アミナはクラスで人気のある鷹森ユウゴのことを好いていた。
是非、ここで自分の存在を認めてもらってあわよくば男女の仲になりたい。
そのためにタッグを組むと決まった時から気合を入れていた。
しかし秋葉ミナも御影ナオの事が好きだった。
自分がナオの足を引っ張っている。その事実が秋葉ミナを苦しめていた。
「ナオ君……」
「気を落とすなミナ。まだ勝負は負けていない」
「でも、私何もできてない」
「お前のことは何度でも守る。だから打開策を考えよう」
御影ナオの一言にズキュンとハートを撃ちぬかれる秋葉ミナ。
手を胸に当て、よろよろとよろめく姿に不安になる御影ナオ。
そうなのだ。御影ナオは天然女殺しのセリフを吐くことで有名なのだ。
「何だ? ナオ? プロポーズか!」
「え? 何のことだ?」
鷹森ユウゴは思わず御影ナオをからかうが本人はわかっていないらしい。
秋葉ミナも話を聞いておらず、カオスな状況になっていた。
「それよりもナオ君、逆転の一手思いついたよ」
「本当か、ミナ」
「ここはリンク・タッグするしかないよ」
リンク・タッグとはお互いのナビAIと技を合わせて一つの技を形作る技の事だ。
高いリンク率とタッグを組む相手との心を通わせる必要がある。
高い技量が求められる技だ。
それを聞いていた鷹森ユウゴと牧瀬アミナも表情を引き締める。
「マジか、それを打ち破るには」
「私たちもリンク・タッグするしかないね」
でも、ユウゴ君と手を繋げたりするかも!
テンション上がってきたわ!
秋葉ミナを見ると同じ事を考えているようだった。
『どうやら、お互いの技を合わせるリンク・タッグに挑戦するようだ~!』
『二v二のタッグ戦の醍醐味とも言えますね』
お互いに集中力を高めあい、ナビAIとのリンク率を高める。
「リンク率、七十五、七十六、七十七、七十八……」
「ユウゴ君、私信じてる!」
「アミナ、俺もだ!」
二人の心が通じ合い、リンク率が急上昇する。
観客席のモニターには、八十五%→八十七%→九十%と表示されていた。
「ミナは絶対守る!」
「ナオ君、行ける!」
お互いのペアは手をつなぎ、リンク率を合わせる。
『リンク率がお互いに八十五%を突破~! この戦いどうなる~!』
『お互いの技が空中に浮かびあがります』
「パルスブレイド!」
鷹森ユウゴと牧瀬アミナの声が重なる。
空にそびえたつ巨大な音波の大剣。
ビリビリと音波が響き、四人の肌を揺らす。
「トラップシールド」
御影ナオと秋葉ミナの声が同時に響く。
地面から生える、蔦や機械仕掛けの歯車がかみ合った大きな時計塔のような盾ができる。
ゴゴゴゴゴと地面から浮き上がる音がする。
「行けえええええ!」
「やっちゃって!」
「全て防ぐ!」
「やらせはないわ!」
お互いの意地とプライドが交差し、大剣と大盾がぶつかり合う。
音波が大盾の蔦や歯車を削るが、大剣も大盾と衝突するたびに徐々に消えていく。
「うおおおおおお!」
「まもれえええええ!」
『お互いのプライドがぶつかり合う!』
『緊張の瞬間です』
里山リンクフィールドの衝撃が走り、光が爆ぜる。
土煙が舞い上がり、観客は固唾を飲んで見守る。
そして煙が晴れると――
「うおおおおお! 俺たちの勝利だ!」
「やったわ! ユウゴ君!」
立っていたのはA02クラスの鷹森ユウゴと牧瀬アミナペアだった。
A03クラスの御影ナオと秋葉ミナのペアは力を出し切り、崩れ落ちていた。
『A02チームのリンク率九十%!A03チームは八十八%!わずかな差が勝敗を分ける!』
「良いバトルだったぜ」
「ああ、二度も負けるとはな。だが悔いはない」
「私の勝利!」
「負けちゃった……」
だが観客席から歓声が巻き起こり、観衆は熱狂に包まれる。
いい勝負だったぜ!
俺もミナちゃんの罠にかかりたい。
アミナちゃんの歌声に惚れたわ!
「お互い死力を尽くした良いリンクバトルだったな」
エデュケーター・コバルの声も響く。
「この勝負A02クラスの勝利! 勝ったのはA02クラスだ!」
A02クラスの観客席から歓声が飛ぶ。
このリンクバトル、A02クラスの勝利だわ!
小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。




