第四十四話 最強の矛と盾 鷹森ユウゴ視点→現在→ハイスクール・シブヤ・エデュケーター
「お互い、より良いリンクバトルを! 試合開始!」
審判のエデュケーター・コバルの宣言で試合が始まる。
先に仕掛けるのは矛に決まってるよなあ?
「ヴァイス。やれるか?」
「ああ、今日こそガルドの度肝を抜いてやる」
自身のナビAI、ヴァイスと会話しながら御影ナオの隙を窺う。
寸分の隙もない。流石ライバルだぜ。
先に仕掛けるのはもちろん鷹森ユウゴ。両腕をブレード化して、光の刃を薄く広げる。
助走をつけて、自身のナビAIとのリンク率を高めることを意識する。
右に飛ぶと見せかけて、左。そこから御影ナオの大盾を飛び越えて後ろを狙う。
「ガルド! パルスウェーブ!」
御影ナオの渋い声がこだまする。
バァン!
一瞬、観客の歓声が爆ぜる。
盾から衝撃波が飛んでくるが、それは予想の範囲内。
――切り裂け、ヴァイスの刃。
鷹森ユウゴは衝撃波を空中で光の刃を振るう。
衝撃波と光の刃は衝突し、電子光を爆発させる。
鷹森ユウゴは、吹き飛ばされるが、空中で回転し、何とか受け身を取る。
コロッセオに土煙が立ち込める中、両手に大盾を持った無傷の御影ナオが出てくる。
「我が盾に曇りなし!」
「ガルド、ああそうだな」
うぉおおお!
無敵の城塞! 御影ナオ!
観客席から御影ナオに対する声援が飛ぶ。
『鷹森ユウゴの先制攻撃は不発! 硬い。硬いぞ! 御影ナオ!』
『やはりあの双盾は硬いです』
実況と解説の声が聞こえてくる。
そうだ。鷹森ユウゴは御影ナオにいつも負けてきた。
初めて一緒にリンク戦闘訓練をしたときに、鷹森ユウゴの刃は通用せず何度も弾き飛ばされて負けた。
戦績は十戦十敗。
何度も負けて心が折れそうなときもあった。
だが鷹森ユウゴはにやりと笑う。
「ははは、この逆境が心地よいんだ」
「流石はユウゴ。御影ナオの壁は厚い。だがリンク率を高められる今日なら越えられるはずだ」
「よっしゃ! 気合入れていくぜえ!」
ユウゴ! ユウゴ!
お前は俺たちのエースだぜ!
A02クラスの声援も観客席から飛ぶ。
漫画みたいなバトル見せてやるよ。
鷹森ユウゴは光の刃を厚く伸ばし、目にも止まらぬ速さで振るう。
ヴァイスとのリンク率が上がっていき、観客席から見えるリンク率は七十五%を越す。
光の刃はユウゴが腕を振るうたびに空気を切り裂き、御影ナオに飛んでいく。
ブゥン! ブゥン!
観客が息をのむ中、ナオの盾に衝撃が走る。
光が弾けて煌めく。
御影ナオは地面に膝を立てて、防御するが衝撃に押されて、よろめいてしまった。
そこを見逃す、鷹森ユウゴではない。
素早く距離をつめて、盾の裏に回り込む。
御影ナオは対応できていない。
行け―!
ユウゴ! ユウゴ!
『鷹森ユウゴがまた仕掛ける! 大技の予感だ~!』
『先ほどと同じ攻撃ではないようですね』
「セブンスブレイド!」
鷹森ユウゴの七つの剣線が空中に煌めきながら御影ナオを襲う。
リンク率はすでに八十%を越えている。
斬! 斬!
「グオオオ! リバースドーム!」
自身を守る半球型の結界を発動し、七つの剣線をガードしようとするが……。
バリィン!
七つの剣戟は結界を破壊し、御影ナオを吹き飛ばす。
コロッセオの壁まで御影ナオは到達し、一瞬意識がよろめく。
「ナオ!」
自身のナビAIの声掛けによって、意識を回復する御影ナオ。
クラス対抗戦を任せてくれたクラスメイト達のためにも負けられない。
追撃を加えようとする鷹森ユウゴの姿が見えた。
『おっと! 御影ナオがまた立ち上がる。鷹森ユウゴの追撃は防げるのか~!』
御影ナオの双盾は片方は自身のシールド、もう片方はナビAIガルドが電子武装化したコードシールド。
鷹森ユウゴの鋭い動きを見据えて、光の刃のブレードを振るう瞬間を見計らう。
「シールドパリィ!」
ガキィン!
自身のシールドで鷹森ユウゴの腕ごとパリィする。
そのまま、ガルドのシールドで鷹森ユウゴを盾ごと吹き飛ばす!
観客は一瞬静まり返る。
鷹森ユウゴのアバターのきしむ音が聞こえた気がした。
今度は鷹森ユウゴがコロッセオの壁に吹き飛ばされる。
追撃は加えられない。何故なら御影ナオもまだ回復していないからだ。
『素晴らしい。シールドパリィが決まった~!』
『残存体力10%未満。次手で決着です』
観客席のモニターには、両者の体力ゲージが赤く点滅していた。
鷹森ユウゴはふらふらと立ち上がる。
「ここが天王山だな」
「ああ、お互い限界のようだ」
「ここで決めるぜ」
「それがいいな」
鷹森ユウゴは片方の光の刃を三メートルほど伸ばし、もう片方は消す。
リンク率は八十五%にまで高まっている。
御影ナオのリンク率も度重なる攻撃を弾いたことで同程度に上昇していた。
行け―!
ユウゴ負けるな!
ナオ、やっちまえ~!
観客の応援合戦が響く中、鷹森ユウゴは無心で走り出す。
このひと振りで決める。
もう集中力が残っていないため、ブレードを維持できないのだ。
距離が刃の間合いに入るころ、ナオは双盾を前に出しながら叫ぶ。
「タワーシールド!」
ナオの前方に屈強な城の城壁が浮かび上がる。
「ヴァイス、弱点は見えるか?」
「ああ、城壁の構造を解析した。右下の基礎部分に応力の集中点がある」
赤い線がユウゴの視界に浮かび上がる。ヴァイスが示した攻撃ポイントだ。
「行くぜ。城崩し」
ヴァイスとのリンク率が限界まで高まる。八十七%、八十八%...九十%!
――城壁なんてぶっ壊せ。魂の刃に切れぬものなし。
斬。
光の奔流がユウゴのブレードから溢れ出し、タワーシールドを切り崩す。
粘土になるまで切り刻む。
そして、驚愕の表情を浮かべたナオに近づき、斬。
土煙が立ち込める。
観客が固唾をのんで見守る中、土煙が晴れる。
立っていたのは鷹森ユウゴ。御影ナオはボロボロのアバターのまま、倒れ伏した。
うおおおおお!
ユウゴ! ユウゴ!
『この戦いの勝者は~! 鷹森ユウゴだぁ~!』
『お互い素晴らしいバトルでしたね。ですが最後は鷹森ユウゴの思いがこもった攻撃が勝ちました』
へへへ。これで十一戦一勝十敗だぜ。まだまだ負け越してるが……まあ今日はぬか喜びでもいいだろ。
観客の大歓声を聞きながら鷹森ユウゴは誇らしげに腕を突き出す。
ユウゴ! ユウゴ!
うわあああああ! ユウゴの勝ちだ~!
この戦いは鷹森ユウゴの勝ちだ。
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