第四十二話 友斗とカスミのデート! 後編 白鳥カスミ視点→現在→シンジュク・エデュケータ―連合区。
カスミは友斗のライダース・ジャケットを選んだあと自分の服を選んでもらっていた。
カスミが今着ている服は白のニットにベージュのトレンチコートを羽織っていた。
ボトムスは紺のブリーツスカート。靴は黒のショートブーツだ。
友斗はカスミの手を引きながらうんうん、と悩んでいた。
「俺、こういう服のセンスねえからなあ」
「じゃあ、私が選んだ服、ジャッジして」
「おお、それならいいな」
カスミは逆に友斗の手を引き替え、ずんずんと進んでいく。
いろんな服を見せつつ、友斗の反応を見るカスミ。
「どうせならカスミにもカーディガン来て欲しいかな……」
灰色のカーディガンを羽織った友斗の小さい声を拾ったカスミは頭にピンときた。
「友斗! それ採用!」
今は春が夏に差し掛かる前のまだ陽気に囲まれた時期。
ちょうど五月の初めくらいだった。
カスミは近くにあった春色コーディネートに良さそうな服を二着取り試着室にかけていく。
友斗は所在なさげに女性服コーナーで待っていたが五分後、着替えたカスミが出てくる。
「友斗? どう?」
カスミはくすみピンクのカーディガンを羽織り、ボトムスにはネイビーのロングスカートを履いていた。女の子らしい春色の組み合わせとカスミの青髪が自然に映えてとてもよかった。
「おお! カスミ。めっちゃ可愛い!」
「むふー」
カスミは今とても幸せだった。AI嫌いであることを気遣って友斗が選んでくれた服屋で友斗の希望のコーディネートをしている自分がとても好きだった。
カスミは友斗の前でクルンと回るといつもはしないウィンクまでして見せる。
内心はドキドキしていたが、友斗の前では大胆になってしまう自分がいることに気づいていた。
「もっと褒めて」
「おう! 春色のカーディガンと紺色のロングスカートがめっちゃ好き! カスミのクールな印象を変えてくれる素晴らしい服だ!」
「えへへ」
カスミがクルンと回った瞬間、服の陰から、きゃっ! という小さな悲鳴が聞こえた。 「え?」
振り向くと、服の合間から覗いていたルナとショウの姿があった。
「え? ルナとショウじゃん。どうしたの?」
「む! 泥棒猫と泥棒眼鏡!」
「え、えっとこれは誤解ですの!」
「は~、ごめんね。カスミちゃんと友斗君。ていうか泥棒眼鏡って何?」
ここまで気づかれずについてきていたルナとショウだったがついにばれてしまった。
ショウは小声で自分の扱いに文句を言っていたがルナにしか聞こえていなかった。
「だ、だって。羨ましいですの!」
「ルナはショウがいるでしょ」
「そ、それは、ど、どういうことですの!」
カスミとルナがヒートアップする中、友斗とショウは落ち着いた雰囲気で話す。
「ごめんね。デート中に邪魔して。ルナがどうしてもっていうからさ」
「おう。まあいいんじゃねえか? てかルナの事は呼び捨てなんだな?」
友斗がからかうように言うとショウは顔を赤くして眼鏡を持ち上げる。
「こ、これはたまたま、だよ?」
「ふーん」
友斗のニヤニヤした顔に少しイラっとするショウ。
「友斗君こそ、カスミにデレデレだったね」
「なっ! ああ、まあな」
攻守逆転。ショウにからかわれて顔を赤くする友斗。
「まあそれくらいにしてあの二人を止めないとな」
「そうだね。カスミちゃんにルナ、ちょっと騒ぎ過ぎかな」
二人はお互い、カスミとルナをなだめることにした。
だがお互いピンチを乗り越えた絆のある四人。
すぐに仲直りする。
その後はルナとショウもお互いに服を選んでいるところをカスミと友斗で冷やかしながらお会計を済ませる。
友斗はライダースジャケット、カスミは春色のカーディガンと紺色のロングスカートを履いて、四人で服屋を出る。
ちなみにショウは淡いミント色のカーディガン。
ルナは白と緑色を基調としたニットを買っていた。
「ここからどうする?」
「次は私のおすすめの喫茶店行く」
「良いですわよ!」
「良いね。そこにしよう」
カスミのおすすめの喫茶店はシンジュク・エデュケーター連合区の裏通りにあった。
「カフェ:レミニセンスか」
「うん。私、AIは苦手。でもちょっとだけ考えが変わったかも」
「どういうことですの?」
「AIにも色んな価値観を持った者がいる。だから、人間と一緒」
「そうだね。そう思えることは立派だと思うよ」
友斗とカスミ、ルナとショウは4人席でペアで横になって座る。
そこのカフェは過去の記憶を再現する映像ホログラムが流れる。
カスミはドリンクと食べ物を頼むと映像ホログラムに手を触れる。
カフェは友斗達しかいないということでどんな映像を流してもいいと言われていた。
カスミが選んだ記憶は家族との思い出のご飯を食べるシーンだった。
カスミの家族は色欲のラブによって崩壊してしまった。
そのことを友斗たちに喋りながら、カスミの母親の妙に辛いカレーをみんなで食べるシーンがカフェの中に映っていた。
「私の母親、料理下手。でもこのカレーは何だか記憶に残ってる」
涙ぐむカスミが隣に座った友斗の手を掴む。
友斗は黙ったまま、カスミの手を握り返し、抱き寄せる。
「でも、このカレー食べた後、家族でゲームした。それは楽しかった」
カスミの表情が少し明るくなる。
「そういう思い出もあるんだな」
友斗が優しく微笑む。
ショウも雰囲気に当てられたのか、俯きながら小声で喋る。
「僕は孤児なんだ。だから家族というものを知らない」
「ショウ……大丈夫ですわ。わたくしがついてますの」
「ルナは……友斗君が好きなんでしょ?」」
「それが、どっちかわからないんですの。わたくしには好きな殿方が二人いましてよ」
「フフフ、贅沢だね」
こうしてダブルデートはお互いの過去を喋り合いながら深まっていく。
AIは嫌い。でも、記憶を見せてくれたこのカフェは、少しだけ優しく感じた。
最後にシンジュク・エデュケーター連合区の河原に来ていた。
四人はしんみりしながら、河原の風と夕日を浴びながら心地よい気温を感じていた。
「ああ、デートもこれで終わりかあ」
「寂しい」
「また来ればいいのですわ!」
「そうだね」
「今日は楽しかったな」
「うん。友斗、ありがとう」
カスミが友斗の肩に頭を預ける。
ルナとショウも、少し離れた場所で夕日を眺めていた。
「ねえ、ショウ」
「ん?」
「また4人で来ようね」
「……うん。また来よう」
四人のホログラム端末に通知が入る。
一斉に確認すると、ハイスクール・シブヤ・エデュケーターの五月のイベントの内容だった。
「なになに? 学年別リンク戦闘訓練クラス対抗戦だって?」
「何ですって? 腕がなりますわ!」
「頑張る」
「これは僕も頑張らないといけない流れかな?」
最近、学業よりも外でのトラブルに巻き込まれていたからこういうイベントはありがたい。
「友斗のかっこいいところ見たい」
「カスミも頑張るぞ!」
「勿論」
「ショウも頑張るのですわよ?」
「そうだね。多分成績にも関わってくるから頑張らないとね」
四人はえいえいおー! と声を上げた。河原に沈む夕日はとても綺麗だった。
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