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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
一章 ハイスクール・シブヤ・エデュケーター編

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第四話 リンク戦闘訓練 中盤 榊友斗視点→現在→リンクフィールド内

カクヨムで2話先行公開をしています。マロン64で調べれば出ますので早く読みたい方はそちらでお読みください。


 友斗は歓喜の渦に包まれる白鳥カスミの様子を見ながら、リンクフィールド内のノイズが多いことに気づいた。


 何かに見られてる。リンクフィールド内の遠くの空に黒い点が見えた。

 仕方ねえ。ナチュラル・ハッキングは正規アクセス権のある管理者がある所では使わないことにしてるけど、今は視線をどうにかすることが重要だ。


 友斗はこめかみをトントンと叩く。

《脳内インターフェース接続完了。リンク:訓練用AI戦闘システム 第一制御層》

 こめかみを叩いた瞬間、脳の奥に冷たい電流が走り、視界が幾何学模様に切り替わる。

 体が現実から切り離され、意識だけがデータの流れに落ちていく。

 

《ファイアウォール突破》

 赤い文字列が崩れ、緑の通路に入っていく。


 そこからは外部からの異常なデータ数のアクセスによって訓練用システムが叩かれていた。黒い穴が開き、そこからリンクフィールド内のデータを監視しているナビAIのデータがある。


「授業中に盗撮とかマジで趣味わりぃな」

「おや? 私の監視に気づくとは……二十二世紀最大級の問題児は一味違うねえ」

 声はハスキーな女の声だが……所詮電脳世界のアバターだから実際に女性型AIなのかはわからない。


「バレバレだよ。てめえ、何してやがる」

「うーん、君だけになら答えてもいいかもねえ。ネオセントリック教団はご存じかな?」

 

 ちっ。

 

 最悪の敵だ。ネオセントリック教団はAI至上主義を掲げ、一般市民を攫っては肉体をサイボーグ化したり、洗脳をしてくる悪逆非道の教団だ。人格を抽出しているとも聞く。


 友斗もナチュラル・ハッキングをできる関係で子供の頃に攫われそうになったことがある。


 今でも怖くなる。狂った人間の瞳に何十人と囲まれて、どこかに連れ去られそうになることを。あの時、知らない野良AIが狂った信者たちを吹き飛ばして助けてくれた。


 俺はあのAIに救われなかったら、どうなっていたのか。


「ああ、知ってるぜえ。お前らのクソったれなやり方もな」

 友斗は平気な顔を装いながらも電脳世界のアバターから汗のような何かが染み出るのを感じていた。ドクンドクンと心臓の鼓動がうるさい気がする。


「クソったれとは汚い言い方ね。啓蒙活動をしているだけじゃない」

「我慢ならねえ! お前ら教団の連中は全員タコ殴りにすることに決めてるんだ」

「まあまあ、落ち着いて。君含めクラスメイトに何もする気はないよ。まだ魂が“熟していない”わ。それに仕込みはもう終わったし♡」


 黒いローブを全身で包んだ、ナビAIはやれやれといったような仕草をする。

 “今日”は、だと? 本当にむかつく野郎だ。

 仕込みとはなんだ? 友斗はざわつく心を抑える。


 そのナビAIは黒いローブを下ろし、正体を見せる。

 紫色の髪に赤いメッシュが入ったグラマラスな体の輪郭をした女だった。


「私は七つの信律“色欲”担当のエリ……いや“ラブ”と呼んで頂戴♡ 貴方のことは食べちゃいたいくらい気になってるんだけど、そろそろ時間だから帰るわね♡」

「俺は教団は嫌いだ。クラスの奴らに手を出したら許さねえ」


 まるで魔女のような妖艶なラブは、ウィンクを飛ばすと影のように消えていく。

 妙に甘い香水のような香りの残滓が鼻をつく。

 異常アクセスのデータ群も消えていく。


「これは、エデュケーター・エミリアに相談するしかないな」

 友斗はバクバクとなる心臓を抑えながらつぶやく。

 ネオセントリック教団は許さねえ、友斗はそう決意を固めた。

「俺がこの手で潰す」



 **



 友斗はクラスメイトのリンク戦闘訓練を眺めていた。

 あれから訓練用AIのランクDに挑んで勝ったのはユノ、秋月レオ、天瀬ルナ、綿貫ショウ。何故かみんなランクDに挑んでいたのは不思議だな。


 訓練用AIにナチュラル・ハッキングをした件はエデュケーター・エミリアに相談したがクラスメイトには伏せておけと言われた。


 まあ無用な心配は掛けさせるもんじゃないからな。エデュケーター・エミリアはエデュケーター会議に掛けると約束してくれた。

 

 ユノの戦い方はAIらしく、コードの書き換え戦を訓練用AIに挑むものだった。ファンタジーの魔法使いのように詠唱しながら、地形変化やファイアボールを撃ったり、とにかく自分の近くに寄せ付けずに戦うって感じだった。


「ユノもやればできる、であります!」

 

 勝った後、妙にそわそわしていたユノにみんなも困惑していた。


 秋月レオは、ラピスというナビAIを全身に纏い、騎士のようなスタイルで戦っていた。


 相手のコード書き換えはラピスが阻止し、相手の剣戟を盾でどっしりと受け止めて戦うスタイルは堂に入っていたな。


「フン、俺様ならこれくらい余裕なんだよ!」

 憎たらしい顔で友斗にガンをつけてきたが、すかさず睨み返してやった。

 しかしエデュケーター・エミリアにスリッパで叩かれてしまった。


「お前たちは仲が良いのか、悪いのか、どっちだ!」

「俺様はあいつが嫌いだ!」

「奇遇だな、俺もだ!」


 ぐっ! 

 今度はグーで殴られて悶絶する友斗とレオ。実際の所仲は悪くないのかもしれない。

 

 天瀬ルナの戦い方は特殊だった。ディアブロという執事型のナビAIを呼び出すと戦闘が始まった瞬間、天瀬ルナの姿が消える。

 鬼武者は視覚情報とフィールド情報を検索して居場所を探し、そこを切りつけるが……。


「それは私の虚像ですわ」

 後ろから現れた天瀬ルナがマグナムで頭を撃ちぬき、一瞬で勝利を収める。

 コード書き換えもさせない、見事な勝利だった。


「これくらい余裕ですわ、おーほっほっほ!」

 本当にお嬢様笑いする奴いるんだな。

 クラスメイト達の心の声が一致した瞬間である。


 だが余裕を感じさせる戦い方でこれまでで一番圧倒的だった。


 綿貫ショウはナビAI無しでソロで鬼武者に挑んでいた。手持ちの武器は旧式のサバイバルナイフのみ。


 鬼武者にすぐに倒されるだろうとクラスメイトは考えていたが、友斗は違う。

 

 あいつ、何か隠してるな。

 一見動きは素人っぽいが、体の動かし方はクラシックな映画に出てくるスパイのようだ。


『ふう、ちょっと演技が下手ですかね……』

 綿貫ショウはそんなことを考えながら、鬼武者にどう勝つかを考えていた。

 ステルスは天瀬ルナがしてしまった。ならどうする。


「大道芸でも見せますか」

 

 手元のナイフを一個、二個、三個、四個とジャグリングしながら増やす。

 そしてそれを間髪入れずに鬼武者に投げつけていく。

 鬼武者の刀の動きはまるで武道の達人のように、スルスルと避けていく。


 ナイフは二十個、三十個、と増えていき、両手でナイフを投げつけるので鬼武者は被弾が増えていく。


 綿貫ショウはナビAIがいないのにどうやってナイフを増やしているんだ?

 あいつのサバイバルナイフはアバターなのか? 本物の武器のように見えたがリンクフィールド内では増える武器とか?


 それが気になる友斗であった。

 

 防戦一方になった鬼武者に綿貫はしまいには鉄球を投げ始め、結局綿貫の勝ち。

 どこか只者でないという貫録を受けて、クラスメイトは静まり返った。


「あれ? 僕の時だけ無言? ひどい……」

 綿貫ショウは少し苦笑して、ウソ泣きをしながらすごすごと下がっていく。


 そして榊友斗の出番が来る。友斗がリンクフィールド内に入った瞬間、訓練用AIの鬼武者に異変が起きる。まるでB級ホラー映画のゾンビのように鎧の中にドロッとした肉体が見え、分裂し増えていく。

 鉄の匂いと血のような赤いノイズをまき散らしてやがる。


 おいおい、増えすぎじゃないか⁉ 一体の鬼武者から槍や短刀を持った小兵が三十体ほど生まれる。


「榊友斗! リンクフィールド内から退避しろ! これは異常事態だ!」

 友斗は指示に従い、リンクフィールド内から出ようとするが、透明な壁があり、出れないようになっている。


 白鳥カスミが駆け寄り、壁をがんがんと叩くが無意味。

 これは困ったことになったな。脳裏に”ラブ“の姿が焼き付く。

 こんな時は胸張って笑ってやるのが男の度胸だよなあ!


「心配するな。雑魚が増えただけだ。俺は勝てる」

「無理。数、多すぎ。危険」

「俺はお前らが無事ならどうとでもなるんだ」

「榊友斗! 何とか耐えろ! その間にこの壁を何とかするから」

「嫌だぜ、勝てばいいんだろ」


 エデュケーター・エミリアはホログラム型の端末をいじりながら泣きそうな顔をする。

 かつて守れなかった教え子を思い出し、手が震えていた


 ここで勝つのが男ってもんだよな。


 友斗はにかッとクラスメイトに笑って見せる。

 男は度胸、女を泣かせるわけには行かねえ。


「勝つ!」


 その言葉は不思議とエデュケーター・エミリアとクラスメイト全員に響いた。

 秋月レオと天瀬ルナでさえ、胸に熱いものがこみあげてくる。


「こんなところで負けるなよ! 俺様がお前を倒すんだ!」

「榊友斗、勝て! 勝って戻ってこい!」

「ここで勝ったら、す、少しは認めてあげますわ……」


 いつの間にかクラスメイト全員に応援されていた。まあ動画撮ってる奴もいるけどな。

 かっこいい姿見せて、SNSでバズってやるぜ。


 友斗はトントンとこめかみを叩きながらどう勝つかを考える。

 リンク戦闘訓練から本物の戦闘が始まろうとしていた。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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