第三十七話 仲間との日々をかみしめる。 榊友斗視点→現在→学園内のカフェテリア
クリスマスイブの日にこの甘酸っぱい話を出せるのは嬉しいですね~。
「友斗君。今度はどんな料理を作ってくれるんだい?」
「アカリのポンコツ料理は苦痛だからな。今度は……ハンバーグでも作ろうか?」
「友斗、私にもつくる」
「ショウは料理しないんですの?」
「ユノは、アカリの料理も食べてみたいであります」
「うぇえええん。アカリの味方はユノだけです!」
「アカリは何で包丁じゃなくて、暗器みたいなナイフを料理に使うんだ!」
「てへぺろ♡」
友斗たちは学園内のカフェテリアで頼んだ料理を待ちながら会話していた。
友斗はあの事件の後、また治療ポッドでの療養を余儀なくされていたが、やっとその日々から解放されたのであった。
治療ポッドの傍らにカスミがずっとついていてくれていたのも後から聞いて驚いた。
レオはラピスの再調整に追われる日々を過ごしていたが、友斗たちが誘うとカフェテリアに顔を出していた。
「ラピス、これでお前のセキュリティは完璧だ!」
「はい。お見事です。レオ様」
「もっと俺様をほめるのだ!」
レオ、そのやり取り、さっきから何回もやってるぞ。
内心、友斗はそう思いながらも、声をかける。
「レオも何か頼んだか?」
「ラピスが実体化できるようになってからまた昔のように料理を作ってくれてな。だからラピスに全部頼んでいるぞ!」
「レオ様、それは誇れることではございません」
ラピスはにこやかに笑顔を見せているが拳は震えていた。
レオ、お前に多分キレてるぞ。
「スコープは今何をしてるかな~」
「どうやら、シブヤ地下ネット ”スカジャン“を頼っているようだよ」
「どうしてわかるんだ? ショウ」
「この前連絡先を交換したからね」
友斗とショウがにこやかに話す中、カスミとルナとユノとアカリは友斗とレオについて心配していた。
「友斗とレオ。事件に巻き込まれすぎ」
「うーん、わたくしは本人から事件に巻き込まれに行っている説を押しますわ」
「そう言っているユノたちも一緒に巻き込まれてる気がする、であります」
「アカリは皆さまが心配です。次に何かありましたらアカリも連れて行ってください」
そんなことを言っていると注文した料理が運ばれてくる。
「友斗君はなに頼んだの?」
「俺? 俺は親子丼だぞ」
「僕はハンバーガーだね」
他のみんなはサプリメントの盛り合わせやサラダチキンなどみたいだ。
「なあ、それって美味しいか?」
「友斗、今どき食事に美味しさを求めない」
「え?」
「そうですわ。食事は美味しさよりも栄養価の時代でしょう?」
「ユノは、食べる妄想だけで充分、であります」
「俺だけが……異端なのか?」
「いや、僕はわかってあげられるよ」
「アカリも友斗様とショウ様に同意です♡」
「いや、お前からまともな料理つくってもらったことないけど⁉」
「ウフフ♡」
アカリは意味深な笑い方でごまかすな!
何故か余裕の笑みを見せるアカリに戸惑う友斗。
「アカリは友斗様が何かの映像を求めて検索する姿を……」
「悪かった! アカリ、今度優しく料理教えてやるから!」
「えへへ♡ それは嬉しい」
「友斗、何の話?」
「カスミにはわからない話かな!」
友斗がカスミに誤魔化していると、小さくカスミが口を尖らせる。
「……わかる。それくらい」
「え?」
友斗とカスミの間に少し間が開く。
そういえば友斗が治療ポッドにいる時にカスミはずっとそばにいたな。
そんなことを思い返していると……。
「友斗、その……」
「何だ?」
「で、デートする!」
カスミは友斗の隣の席に座ると顔を赤くしてしなだれかかる。
そのカスミの仕草にショウやユノが冷やかす。
「友斗君! 春だよ、春が来てる!」
「ユノは、この画像を取ってSNSに拡散する、であります!」
「やめんかい!」
「えへへ、冗談、であります」
一方でルナは恋敵の大胆な行動に困惑していた。
自分の恋は友斗とショウどちらに向いているのか、それがわからない。
「こんな時どうしたらいいかわからないですわ」
少し寂しそうなルナにラピスが近づいてきて話しかける。
「良いのです。乙女心は複雑なのですから」
「ラピス……。レオはいいの?」
「レオ様はあそこで幸せそうに寝てらっしゃいます」
そこにはレオがカフェテリアの椅子に掛けて寝ている様子が見えた。
「そっか。レオはラピスの事、一生懸命に直そうとしていたもんね」
「そうなのです。寝食を削って私に尽くしてくださる姿には心配しました」
「レオはラピス一筋ですわね」
「レオ様にも良い恋人がおできになると良いのですが」
「そうですわね」
——治療用ポッドの中で見たニュースを思い返す。
ハイスクール・シブヤ・エデュケーターの生徒達が売人のアジトを見つけ、その売人を捕らえたとニュースでは報道されていた。
SNSでは連日、それにかかわった秋月レオといつもの榊友斗のことについて大盛り上がりだったが、現実を知っている友斗たちは複雑な感情だった。
”嫉妬“のネレイア。あいつはとんでもなく手強い存在だ。どうやったら勝てるのか予想もつかない。それにあいつはオーバーライド・ゼロとは違う思想を語っていた。
どうやら教団も一枚岩ではないらしいと知れたのはよかったが……。
ふと隣で顔を赤くしながら肩ごとよりかかるカスミと目が合う。
「俺たちはこの先も大丈夫かな?」
「大丈夫。きっと」
こんな平和な日常も悪くないなと思い直した。
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