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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
天才レオの苦悩

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第三十六話 クルドの処分 スコープ視点→現在→シブヤ・ジャンクション郊外

 クソ、何とかラピスを取り戻したのにこんな展開になるなんてな。

 スコープはスナイパーライフルを拳銃に変えて、ガキ共を守れるように位置を調整する。


「スコープ、無駄なことはしない方がいいですよ?」

 ネレイアの鏡のような目がスコープを映しながら捉える。


「何のことだかな。俺はクルドからあることを聞きたいだけだ」

「あることとは何でしょうか?」

「俺の記憶に偽装を掛けた理由だ。しかも何故かその記憶は抜かれていない」


 その言葉にネレイアは頷き、何かを締める仕草をする。

 遠くにいるうはずのクルドは首を絞められているような仕草を見せる。

 なんだ? どんな能力だ?


「ふむ、では写してみましょう。クルドの内心を」

「何だい⁉ ネレイア様、何をするつもりですか!」

「黙れ」


 ネレイアの鏡のような目からホログラム映像が映し出される。

 クルドは急にポカーンとした虚ろな目をして、それを受け入れている。


 ホログラム映像からはスコープについて自慢げに語るクルドの様子が流れてくる。

 どうやらネオセントリック教団の衛兵と端末を通じて通話をしているようだ。


「スコープの彼女の記憶? ああ、そんなものもあったねえ」

「ハグはスコープのことを聞くたびに、泣きそうな目をしているぞ。スコープの記憶に偽装を掛けたというが戻してやらないのか?」


「馬鹿を言うなよ。ハグをしっかり働かせるためにはスコープはこちらに従ってもらう必要があるし、そんな善人のようなことはネオセントリック教団で認められると思っているのかい?」


 その言葉にその衛兵の言葉は止まる。どうやらその衛兵はネオセントリック教団では珍しい真っ当な倫理観の持ち主らしい。


「それにねえ。あたしはハグを始末するときにスコープにやらせようと思っているんだよね。その後に記憶の偽装を戻したら、スコープはどんな顔をするだろうねえ! ギャッハッハッハ!」


 クルドの重低音のノイズ交じりの笑い声が爆発する。

 ネレイアのホログラム映像はここで途切れた。


 無言の空気が場を支配する。

 ぎりっと歯をかみしめる音が響いた。

「クルド、てめえどういうことだ!」


 スコープは自身の感情を爆発させる。

 クルドのことを信用していたわけではない。だがここまでのクズとは思っていなかった。


「ギャッハッハ。お前はあたしの手のひらの上だったんだよ!」

「てめえ!」

「スコープ、こいつにまともな話は通用しない」


 レオが冷静にツッコミを入れる。

「それにな、お前の命はネレイアに握られているようだぞ」

「うるさいよ! あたしに飼われていればよかったのに。クソ餓鬼がぁ!」


 ここで静観していたネレイアが喋り始める。

「貴方たちの感情は素晴らしい。だがクルド、貴方の失敗は許さない。この意味は分かりますよね?」

「そこを何とか! ネレイア様! 今までも素晴らしい供物を用意してきたでしょう?」

「もう用済みなんですよ」


 クルドは泣き顔を作りながら、地面に頭をこすりつけ、ネレイアに懇願する。

 だが……。


「貴方の偽物の感情の味はもう飽きました。裁きを下します」

「や、やめ。グッ!」


 クルドの空間がねじ曲がり、歪み始める。

 ネレイアが何かをこねる仕草をするにしたがってクルドの生体金属の肉体がねじ曲がり、苦悶の表情を浮かべるクルド。


「グオオオオオオ!」

 やがて筋肉が引き裂かれ、四肢が体から引きちぎられる。

 そして頭だけになったクルドが何かを言おうとするが……。


 ブチュン!


 頭が弾けて、機械の部品が散乱する。

 レオとラピスを苦しめた闇市場の売人、クルドの最後は見るも無残なものであった。

 友斗たちは顔をしかめ、ひきつった顔をし、スコープは憎きクルドの呆気ない最後に放心する。


 できれば俺が仇を取りたかった。そんな気持ちがスコープの中に渦巻いていた。


「……終わったのか?」


 レオが一人呟くと、ラピスが実体化した状態で忠告をする。

「レオ様、、まだ“嫉妬”のネレイアがいます」

「ああ。だが……どうやって戦えばいいのか」


 それはスコープや友斗たちが感じた素直な感想だった。

 念動力のような力でクルドを潰したその力。

 戦いようのない力に圧倒されていた。


「安心してください。貴方たちには手を出しませんよ」

 ネレイアの綺麗な声が廃工場に響く。

「あなた方の感情はとても美しく、嫉妬の心も少し落ち着きました。それに目的も果たしましたし」


 ここで友斗がネレイアに問いかける。

「お前は……もしや味方してくれたのか?」

「ああ、疑問疑問疑問。貴方は私を味方だと思いたいのですか? それならば安心してください。貴方たちはもっと感情を育て絆を育んだ後で美味しく食べたいのですよ」


 熱を帯びた顔でネレイアは続ける。


「教団の他の任務もあります。私は監視の仕事があるのでそんなに暇ではないのです。それに……素晴らしいわ。あなたたちの感情の交差は、まるで神の欠片を見ているよう。 “ゼロ”の理想は虚無だけど、私は違う。私は感情の頂点で“神”に触れるの。だから、今日はこれで十分よ」


 ネレイアは重苦しい空気の中、ギギギギィーと黒板をひっかくような音を立てて空間を閉じていく。


 最後にネレイアは友斗に問いかける。

「感情を切り捨てた神が完全だなんて。本当にそう思う? 榊友斗」

 意味深なセリフを友斗に問いかけて。


 再び場の空気が沈黙に支配される。


「俺たちは勝ったのか?」

 ついスコープが呟く。


「勝ち負けじゃない。クルドが潰され、レオを助けることができた。ついでにスコープのことを救えた」

 友斗はあえて安心させるように楽観的に呟いた。だが顔を見るとしかめた様子を見せている。言葉通りの感情を持っているわけではないらしい。


「そうだね。でも“嫉妬”のネレイア。あいつは手強い相手になりそうだね」

 ショウは眼鏡の位置を直しながら小さい声で言った。


「まあまあ。その話は今はよろしくてよ。レオ、何か言うことあるのではないですか?」

 ルナが場をとりなす。


「俺様を……そしてラピスまで救ってくれたお前たちには感謝している。その……ありがとう」

 レオは不器用な顔をしながらも頭を下げる。

 実体化していたラピスも主人の横で丁寧に一礼する。


「これでお前も“仲間”だぞ。レオ」

 友斗がレオに近づき、握りこぶしを作る。

 レオはそれに応え、グータッチをして応える。

「ああ、あの頃にはなかった“仲間”ができたのですね。レオ様」


 ラピスの静かな声と湧き上がる歓声が同時に廃工場に響いた。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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