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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
天才レオの苦悩

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第三十四話 レオ救出編 白鳥カスミ視点→榊友斗視点→現在→シブヤ・ジャンクション郊外

 ジャックは二本のナイフを逆手に構えて油断なくこちらを見ている。

「ユノ、行くよ!」

「合点承知、であります!」


 カスミは左手にユノがナビAI化したエネルギーソードを構え、右手に自身の愛刀を握りなおす。

 

 フッ!


 息を溜めてジャックが動き出した後の先を取る。

 エネルギーソード二刀流は学園に戻ってからもユノと一緒に練習していた。

 カスミに視線を向けているのはジャックだけ。

 遺憾なく能力を発揮できる。


 ジャックはナイフで懐に入り、長いエネルギーソードの間合いの内に入り込もうとする。

 カスミはくるくるとエネルギーソードを手首で回しながらそれを切り払うようにジャックを切り裂こうとする。


 シッ! 


 それを鋭くナイフで切り払うが威力はエネルギーソードの方が上。

 ジャックの左手のナイフは切り裂かれて電子の藻屑となる。


 ジャックが動きを止めて、ナイフを両手の指に十本出す。

「カスミ、ナイフを射出されると厄介、であります」

「それはわかってる」


 ジャックは左手をかざし、指からナイフを射出する。

 ユノは瞬時に、剣線を指示し、自身の意思を念話で伝える。

 それを無言で首を振り了承したカスミ。


 カスミの視界には切るべきナイフの順番が見えていた。

 左手のエネルギーソードで一本目と二本目のナイフを叩き斬り、右手のエネルギーソードでくるくるとナイフを打ち払い、ジャックに迫るカスミ。


 ナイフを投げてくるジャックの逃げ先を予測し、ユノが電子武装化しているエネルギーソードを突き刺す。そのソードは間合い外。


「フッ」


 ジャックは無言で逃げ先に戻り、ナイフを補充しようとする。

「お前はもう死んでいる、であります」

 突如、ジャックの頭にユノが電子武装化したエネルギーソードが伸びて、頭部を貫く。


「……!」

 ジャックは驚きの顔をしたまま崩れ落ちた。


 カスミはユノに伝えられた作戦が成功したことを噛みしめた。

 ユノの電子武装化したエネルギーソードは間合いもある程度は弄れる

 それを隠しながら戦い、相手の油断を誘ったところで間合いを変える。


「ブイ!」

「これくらいは朝飯前、であります」


 後ろでは、コバルが雑魚の構成員を弾き飛ばしながら戦っていた。

 援護は必要なさそう。

 友斗はどうなった?



 ** 友斗視点



 ストリッパーがクルドを守る形で暗器を投げつける。

 電子武装があれば別だが……いやストリッパーの戦闘用システムに面白いものを見つけたぞ。


《脳内インターフェース:接続完了。リンク:ストリッパー:戦闘用システム》


「お前の電子武装、俺にも使わせろおお!」

 ストリッパーの戦闘システムには「視覚欺瞞プログラム」が組み込まれていた。


 踊り子として観客を魅了する技術を、戦闘に転用したものだ。

 友斗はそれをナチュラル・ハッキングで自分用に書き換え、

 忍者のイメージで再構築した。

 

 友斗の体に忍者のような忍装束が巻き付き、某忍者漫画の主人公のような印を結ぶ友斗。

 シノビ刀を左手に、腰からクナイを取り出して、右手で構える。


「ギャッハッハ! 榊友斗、ストリッパーの戦闘用システムからイメージだけ流用して忍者になるなんてねえ!」

「クルドぉおお! お前の化けの皮剥いでやるよ!」


 友斗は素早くステップを踏むと忍者走りでストリッパーに迫る。

 そのスピードはストリッパーの、いや戦闘用AIの通常時より三倍も速い。

 素早く、ストリッパーに逆手で握ったシノビ刀を振るう。

 下から斜めに切り上げる動き。


 斬っ!


 ストリッパーの深紅のドレスが消えるが、中身はいない。

「……!」

 上から美しい踊るAIストリッパーがナイフを突き立てようとする。


 ザシュッ!

 友斗の体にナイフを突き立て、勝利を確信するストリッパー。

「ギャッハッハ! 啖呵を切っておいてたわいもないねえ。ストリッパー殺しちゃだめだよ。教団に高値で売るもいいし、コレクションに加えるのも……」

「俺はシノビだぜ?」


 ストリッパーが刺したはずの友斗の体がボンっとはじけ飛ぶ。

 そう、友斗が最初に印を結んだのはただのカッコつけではない。

 実際に自身の視覚情報を書き換えて、本体はレオの拘束を外しに行き、幻覚をクルドとストリッパーに見せていたのであった。


 友斗が拘束を解除する。

「レオ! 大丈夫か!」

「ああ……頭はまだボーッとするが、ラピスがいれば戦える」

「おう、かましてやれ!」


「ラピス! 電子武装化!」

『はい。レオ様!』


 後ろではレオが立ち上がり、全身鎧の西洋の騎士の姿に変わる。

「パワーチャージ!」

『レオ様、いつでも行けます!』

「これは俺様とラピスの分だああ!」


 青いレーンが突如暗闇の廃工場に浮かび上がり、ストリッパーとクルドを捉える。

 レオは友斗をちらっと見ると、小声でつぶやく。


「人間もなかなか悪くない……な」

『レオ様!』


 ストリッパーがクルドを青いレーンから必死で逃がす。

 重戦車が突進を始めた。

 青い光を纏いし、蒼き騎士が大盾でストリッパーに突撃した。


 ズドオオオオン!


「ま、まだ……!」

 ストリッパーはナイフで応戦しようとするが、友斗に戦闘システムをハッキングされた影響で動きが鈍い。


「静かに眠れ」


 ストリッパーは廃工場の端まで飛ばされ、蹴られたボールのように転げまわり動きを止める。


 廃工場に静かな一瞬が流れる。


「ギャッハッハ! ギャッハッハッハ! ここまでコケにされたのはアンタらが初めてだよ!」

「もう、俺様、いや我々の勝利だぞ。おとなしく捕まって自首しろ」

「アタシは最後まで藻掻くネズミなんだよ! 強制書き換えプログラム発動! 対象:ラピス!」


 廃工場の床が青白く五芒星を描き、その光がレオと電子武装化しているラピスに集中する。

 電子ノイズがラピスに纏わりつき、その姿がノイズに浸食されていく。


『レオ様! 私が、私でなくなる! うああああああああああ!』

「ラピス! 貴様、何をした!」

「あんたのナビAIは自作のAIだろう? 企業製に比べたらセキュリティがお粗末すぎるんだよ!」

「クソオおおおお!」


 ラピスはレオの体から強制的にはがされ、クルドの元へと飛んでいく。

「ギャッハッハ! あんたの大事なもの、もらったよ」

「ラピス! 返事をしろ!」


「……クルド様ご命令を」

 五芒星の光が収まり、クルドの横に寄り添う、蒼い瞳の女性AIが立っていた。

「ラピス、戻ってこい!」

「貴方は私の主人ではない。勝手な命令は慎め」


 友斗はレオが膝から崩れ落ちる姿を見た。心の支えだったラピスがクルドの元に行ってしまったのだから。


 沈黙が廃工場を支配する。

 ギャッハッハッハ! ギャッハッハッハ!

 クルドの聞き苦しい笑い声だけが場を支配していた。



小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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