第三十二話 レオ救出戦 前編 榊友斗視点→過去から現在→シブヤ・ジャンクション郊外
コバルの運転でネオンが煌めく、カートリッジを表す廃工場の入り口につく。
「ここからどうする?」
「そうだね。友斗君ならどうする?」
「まず奴らの視界を奪う」
「いいアイデアだね。僕らの視界は?」
「俺とショウならユノかコバルの視界をハッキングして暗闇でも見える」
「でも、向こうも同じだよ?」
「いや、レオに記憶と感情のカートリッジを投与している可能性があるから早めに電源を切って辞めさせた方がいい」
ここでカスミ、ルナ、ユノが意見を言う。
「でも停電させたら、レオの脳内が危険かも」
「それはそうですわね。ひとまず、中を探った方がいいですわ」
「同意する、であります」
ショウがナチュラル・ハッキングで中の監視カメラを探ることになった。
ショウの視界がネオンの光と数字と記号に包まれて、中の様子を監視カメラから視界と音を得る。
「どうやら、レオ君は記憶をのぞかれているけどまだ記憶と感情のカートリッジを投与されていないみたいだよ」
「それは好都合だな。終わったタイミングで俺が施設の管理システムにナチュラル・ハッキングして電源を落とす」
しばらくして、レオの記憶の再生が終わる。闇市場の売人と思わしき人物は気味の悪い重低音の笑い声を放っている。
「何か売人の声がおかしい気がする。スピーカーを潰しておいた方がいいかも」
「そうするか。電源も落としたぞ」
「どうやら僕達に気づいたみたい」
「俺の出番だな!」
ショウ、友斗、コバルが口々に話す。
流石にあんな派手なカーチェイスをした後だったら気づかれるか。
全員で静かに扉を開けて、暗闇の闇市場の売人のアジトに突入する。
「ギャッハッハ! 来たねえ、招かれざる客人が!」
「レオ、返す」
「この子が自分から来たんだよ!」
「うるさい。不快な声」
立ちはだかるはゆらりと揺れる女AIストリッパーとナイフを油断なく構えるジャックと二階からスナイパーを構えるスコープだ。
ガン黒ギャルの金髪女AIクルドもいる。
「ギャッハッハ。暗闇だと人間には見づらいんじゃない?」
「だから俺たちがいるんだぜ」
コバルの視界にナチュラル・ハッキングしてみている友斗とショウ、そしてコバル。
ディアブロとリンクしているスコープを書けたルナ。
ユノが一時的にナビAIとなっているカスミ。
全員の視界は暗視スコープで見えている。
だが、アジトの扉から追加で十人のディープスカイの構成員が来る。
「後ろの雑魚は俺がやるぜ」
「エデュケーター・コバル戦えるの?」
「ああ? 俺はエデュケーターで一番強いんだぜ?」
コバルは素早く、一歩二歩ステップを踏むと、高速に小刻みに動き始める。
「筋肉エンジン! 全力全開!」
たじろぐ後方の構成員にボクシングスタイルで拳を構える。
1.2、ジャブ。ガードした所に下からのアッパーが決まる。
構成員は宙を舞い、ガシャンと下に落ちる。
銃器や長い刀を構える者もいるがコバルはお構いなしに、高速ステップで歩み寄る。銃器は自前の鋼の肉体で弾き、刀の間合いに入ったタイミングで瞬時に見切り、バックステップからの1、2、3!
構成員たちが後ろで吹き飛ばされる中、スコープは密かにコバルを狙う。
AIの肉体すら撃ちぬく強力なスナイパーで狙いをつけるが……。
「ちっ!」
突如、スコープの照準がぶれる。暗視機能の視界もぼやける。
「君が一番厄介だからね。その目を奪わさせてもらうよ」
阻止したのはナチュラル・ハッキングをしたショウの妨害的なハッキングだ。
そしてショウの横に並び立つのはマグナムを二丁構えたルナ。
「銃使いなら、銃の腕で勝負しませんこと?」
その救援にナイフ使いのジャックが動こうとすると……。
「お前の相手は、私」
「二刀流にかなうものなし、であります」
踊る女AIストリッパーはクルドと共に逃げようとするが、それを阻止したのは友斗だった。
「おいおい、ここまで来て逃げるなんてずるいじゃねえか」
「ギャッハッハ! やはりお前が立ちはだかるのか、榊友斗!」
「レオを壊そうとして、ただで居られると思うなよ!」
「……友斗」
クルドの近くには意識がもうろうとしているレオの姿がある。
「てめえは許さねえ」
「ギャッハッハ! そろそろ私の笑いはたっぷり聞いたんじゃない?」
クルドはスピーカーを最大音量にして、催眠波を放とうとする。
「こっちには優秀なAIがついてるんだよな」
「何だって?」
スピーカーからクルドの重低音の笑い声が響くはずが、何も音がしない。
「悪いな、その手は初めに攻略済みだ」
友斗たちはクルドの笑い声を解析し、催眠波のような波長をもっていることを突き止めていた。なので最初にスピーカーを動かすシステムをショウのハッキングにより潰していた。
「クソッ! クソクソクソクソ!」
初めて余裕な表情がはがれるクルド。
それを見て、友斗は不敵に笑う。
「初めて、焦りの顔を見せたなあ」
「うるさい! ストリッパー行け!」
ストリッパーこと深紅のドレスを着た女AIが暗器をドレスから引き抜きながら友斗を襲う。だがその一撃は空を切る。
「何故だ、榊友斗! お前はリンクフィールド内じゃないとチートのような能力は使えないはずだ!」
「俺も成長しているんだよ! っと!」
友斗の動きは戦闘用AIのような速さと正確な判断能力を兼ね備えていた。
その仕組みは単純だ。度重なる訓練用AIとネオセントリック教団との戦いにより友斗の脳内のナノチップは友斗の肉体限界を引き上げる措置をしていた。
それに今、友斗はストリッパーの戦闘用システムをナチュラル・ハッキングしている。
ストリッパーの戦闘用システムを参照し自身の脳内に独自のシステムを構築していた。
それにより、友斗の戦闘用AIと同じ速さと強さを兼ね備えていたのだ。
友斗は思考する。
一回、ストリッパーの攻撃を避けただけなのに肉体に結構痛みが来るな。
この戦闘位は持つが……また治療ポッドで治さないと駄目かもな。
ストリッパーとクルドを倒して、レオを救う。
拘束されているレオを見ながら呟く。
「お前は俺のライバルなんだろ? もっと競い合うために救ってやるからな」
「……」
友斗は自然と笑っていた。
「さあ、ここからが勝負だ」
友斗たちのレオ救出戦が始まる!
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