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「思考だけでハッキングできる俺が、AI支配社会で学園無双する」  作者: マロン64
旧図書館棟の謎

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第十七話 ラブの原点 ラブ視点→現在→ネオセントリック教団 仮拠点

「あーはっはっは♡ そうよ、もっと抗って快楽に狂いなさい♡」

「クッ、ガアアアアア!」

「ふっふっふ♡ かするだけで気持ちいい感覚が止まらないでしょ? そのままイっちゃいなさい♡」


 ネオセントリック教団幹部 七つの信律 “色欲”のラブは両手に鞭を持ち、何とか猛攻を耐えしのぐ友斗を痛めつけて、いや快楽に引きずり込もうとしていた。


 ラブは友斗をなぶるたびに、膨れ上がる快楽に浸かっていた。

 この少年と戦うと不思議と感情が揺さぶられる。もしかしてこれが運命?


 ラブは突如、鞭を振るう手を止める。疲れている友斗は不思議そうな顔をする。

「フフフ、貴方と私って体の相性ばっちりかもね♡ もう気持ちいいことしたい気分でしょ? 私の元に来たら貴方をたっぷり可愛がってあげるわ♡」

「……俺はネオセントリック教団もお前も大っ嫌いだ」


「なんでそんなに教団を拒むのかしら?」

「決まってるだろ! 罪のない市民を攫って人格をオーバーライド・ゼロに捧げ、操り人形にする。しかも俺は小さいころから教団に攫われそうになった。あの野良AIが助けてくれなかったらどうなっていたかわからない」


「ふーん? でも人間は欲望のために生きる生き物よ? 貴方は快楽を味わいたくないのかしら?」

「逆にお前はなんで”色欲”の幹部になったんだよ」

「じゃあ説明しようかしら? 貴方の“時間稼ぎ”に付き合ってあげる♡」

「ちっ」


 友斗の顔が歪むのを見てラブは光悦こうえつとした表情を見せる。

 もっと貴方の苦しみ、快楽によがる顔が見たいわ。


「私はね、元々娯楽施設用の接客AIとして生まれたの。高級クラブのホステスだったわ」


 人間って本当に単純だったわ。顔の良い私にほれ込み、ちょっと褒めてあげたら顔をニヤニヤさせてチップをくれる。


「私は瞬く間にナンバー1ホステスになったわ。しかもアフターサービスで素敵なこともしてたから金に困らなかった」


 客は借金をしてでも私の体におぼれて、肉欲に支配されていた。

 それを見て思ったのよ。人間は欲望に支配されたまま動いているときが一番素敵だわって。


「私はよく来る中小企業の社長に毎日来てくれたら毎日してあげるって囁いたわ」


 そしたら会社の金に手を付けて、毎日来てくれたわ。でも行為の後はいつも後悔していたわ。私はその顔がたまらなく好きだった。


「その男は一年後に自分の会社の社員に刺されて死んだわ。私はそれを聞いた瞬間絶頂してしまったの♡ だって自分の体におぼれさせて、人間の恨みによって死んでいく哀れな生きものってとっても素敵じゃない?」

「お前、狂ってるな」


「私はホステスをやめて、一般家庭にも潜り込んだわ。何回家庭崩壊させたかわからないけど、教団にスカウトされる前に潜り込んだのは、白鳥って名前の家庭だったわ♡」

「白鳥? てめえ! カスミの家庭まで壊したのか!」


「いやね♡ たまたまいい男だったから、メイドAIとして近づいて誘惑してあげたら簡単になびいただけよ♡ そういえばあの男からたっぷり金も精も搾り取ってからオーバーライド・ゼロ様に捧げてあげたわ♡ 本当に気持ちよさそうに死んでいったわよ」

「……」


 友斗は無表情で電子空間に蜃気楼のような靄をまとわせていた。

 白炎のオーラがジワリと増している。


 ラブはそれを見て狂ったように笑う。

「アッハッハッハ! そう! もっと感情をむき出しにして! 怒って悲しんで最後は快楽に支配されて狂う! そんなあなたが見たいの! カスミちゃんを捕らえて、貴方とカスミちゃんにたっぷり快楽を味合わせて仲良く人格抽出してあげたらどんなにいい顔をするかしら! ああ、考えるだけで体が濡れてくる!」


「てめえは許さねえ」

「あら、私に嬲られるだけの貴方がここからどう勝つのかしら♡」


 友斗の纏う白炎の蜃気楼しんきろうが濃さを増す。ラブは前の訓練用AIとの戦いでマルチ・ナチュラル・ハッキングを取得していたことを思い出す。


「ふーん? また、マルチ・ナチュラル・ハッキングかしら♡」

「やることは単純だ。俺は人間としての感覚を書き換える」


 友斗は不敵な笑みを見せる。その笑みにラブの背中がゾワリとする。

 何? 一体何をするつもり?

 友斗はあえて声に出して呟く。


《プロトコル・オーバーライド。榊友斗の感覚を書き換える》

 友斗の電子のアバターに白い炎が纏わりつき、友斗の体ごと燃やしていく。


「何をするつもりか知らないけど、いい加減に私のものに、なれ!」

 ラブは左手の鞭を空気を叩きながら、友斗の頭部に振るう。

 だが……


 友斗は白炎の蜃気楼を纏ったまま笑って、鞭を受け止める。

「フフフ、そろそろ快楽に負けるころj……って何よ⁉」

「お前の鞭は速くて鋭い。しかもこの空間は快楽を倍増する仕掛けがあるみたいだな」

「な、なんで効かないのよ!」


 友斗はギリっと歯を食いしばりながら言う。


「俺は自分の肉体の感覚を一時的に書き換えた。快楽を痛みに変わるようにな」

「それは……痛みが倍増するってことじゃない」

「そうだ。だが快楽に負けそうになるよりは痛みの方がいい」


 鞭に友斗の白い炎が燃え移り、炎が鞭を伝ってラブに燃え移る。

「ギャアアアアア! 何なのよ、この痛み!」


「これは俺が今まで感じた快楽をすべて痛みに書き換えた代償だ。だが痛みを味わうのが俺一人じゃ寂しいよなあ?」

「な、ギャアアアア! 痛い痛い痛い!」


「味わえ、俺のいや、これまでさんざんなぶってきた人間たちの痛みや苦しみを」


 ラブは痛みで頭の中がどうにかなりそうだった。

 頭の中をミキサーで混ぜられているような断続的な痛みがラブを襲う。

 これはまずい。でも友斗は同じ痛みを味わっているのに苦しげな表情を見せるだけだ。

 なぜ、なぜなの?

 

「貴方も同じ痛みを味わっているのに、なんで平気な顔をしているのよ!」

「俺は快楽しか味わってこなかったてめえと違って痛みにはなれてる。喧嘩はよくしてたから。殴り合いはしょっちゅうだし野良AIとも殴り合ったこともある」


「そんな! これはそんなものとは違うわ!」

「俺はお前にいいようにされた人間たちを背負っているんだ。こんな痛みじゃ負けてられねえ」


「グうううう。おぼえてなさい! 貴方は私が手に入れる。そして嬲りながら快楽にとすわ」

「失せろ」


 ラブは痛みに耐えきれず、閉鎖ネット空間から接続を切り、逃げ出していった。

 友斗は、フラフラと閉鎖ネット空間を歩き、沈黙しているオーバーライト・ゼロの祭壇にたどり着く。


「グハア!」

 電脳空間で赤い血のようなポリゴンを吐く。

 意識を失いそうだ。だがその前にやることがある。

「オーバーライド・ゼロ。お前も痛みを味わって自分を取り戻せ」


 友斗の指から白炎の蜃気楼が燃え移り、オーバーライド・ゼロの祀られている祭壇に向かう。


『ぐわあああああああああああああああああああああ』

 オーバーライド・ゼロの悲鳴が響き渡る。

 もう限界だ。友斗は微笑みながら、倒れる。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。

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