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小林沙月の超能力を、恋に落とすことで研究したい俺

作者: 芝鳥 青

超能力

2年前、世界が大きく変わった。世界が変わった理由はたった1人の少女、小林沙月(こばやしさつき)だ。


「それで、小林捕獲作戦はどうだ。無事に進んでいるか?」

「もちろんです。日本の名誉にかけて私、| 吉田智幸≪よしだともゆき≫が確実に絆して見せます」


 2年前何があったか、今でも忘れない。小林沙月に唐突に発現した超能力、そしてその暴走。当時まだ中学生だった小林沙月が急に超能力を使えるようになった。そして、地域一帯の木を一瞬にして緑一色に染めたのだ。冬の雪が降るような時期に、だ。これだけで小林沙月の力の凄さが伝わるだろう。そう、小林沙月には国を挙げて研究する価値のある力が眠っているのだ。そして俺はそれを手伝うために選ばれた高校生だ。選ばれた…いや、自分から手伝えないかと小林沙月を研究するための、KSK(Kobayasi Satuki Kenkyuujyo)とかいうふざけた名前の機関に1人で乗り込んだのである。

 俺がするべきこと、それは高校1年生になる小林沙月に近づき、絆してから捕獲する作戦だ。そしてこの作戦が始まって3ヶ月が経っていた。


「おーい、よっしー、テストの点よくなかったのかー?」

「あー、いや。全部90点は超えてる」

「じゃあ何を悩んでいるのさ」

「お前について悩んでるんだよ…」

「え、え、私?」


 そう、3ヶ月が経ったというのにいまだに絆しきれていない。俺のことを友人とは思ってくれてはいるだろうが…。


「私について悩むなんて、もー、おとこのこ!だね、よっしーも」

「からかうな、真剣だから」


 からかわれてばかりであまり真剣に考えられていない。俺の目指しているところは恋仲になることだ。恋、というのはなんでもできる力がある。そう、相手を操るための力…がね。


「じゃ、じゃあさ。テストも終わったことだし、明日買い物…付き合ってよ」

「荷物持ち?お前の力があれば俺必要ないだろ…」

「私のこと知るいいきっかけになると思ったんだけど!私について悩んでるって言ったのそっちじゃん!」


 た、確かに。小林沙月に詳しくなることすなわち、作戦のスムーズな進行につながる。よし、明日ついていってやるか。


「確かに!お前について詳しく知りたいな!好みとかしれたら尚更最高だ」

「そ、そーんなに私について知りたいんだ〜。どうしてもっていうなら一緒に行ってあげるけど〜?」

「あぁ、どうしてもいきたい!」

「えへへ、じゃあ明日駅前集合で」


 話している限りは普通の少女、そう感じる。しかし、小林沙月には特別な力がある。人すらも一瞬で消せるような力。世界を大きく変えた事件は枯れていた木を復活させたから〜なんて、ちっぽけな理由じゃない。

 本当の理由は、世界に目をつけられた小林沙月の行動…いや、抵抗方法だった。世界全てから小林沙月は監視をされていた。もちろん、当時はただの中学2年生だ。そんなのストレスで仕方なかったのだろう。そんな生活で1ヶ月経った結果、世界にある国々の大切なものをそれぞれ一つ破壊したのだ。例えば日本なら国会議事堂、アメリカならホワイトハウス…のように、それらを同時にそして瞬間的に破壊した。そして一言、

「これ以上私につきまとうなら、命がこうなるかもね」

そう言い放った。


「今日は隣の駅のショッピングモールに行きます!」

「電車使うのか?」

「そりゃそうでしょ?」

「超能力で瞬間移動とかできないのか?」

「できるけど、電車に一緒に乗るの嬉しくないの?私はよっしーと電車乗るの結構楽しみにしてたけど…」

「あー、そうか。そうだな、俺も嬉しいよ。お前と2人で乗るの青春って感じだな」


 とりあえず相手への同調。絶対超能力を使って瞬間移動した方が楽しそうなのに、こいつは感覚が一般人と少し違うから困ったもんだ。


「私、最近外出てなかったし、結構楽しみ」

「コンビニとか行かないのか?」

「基本的に外出ずに全部済ませられるから…」

「ほう、超能力ってのはやっぱ便利だな」


 じゃあなんで今日は出かけるんだよ…なんて野暮なことは聞かない。小林沙月にも何か考えがあるのだろう。


「それでね、今日は夏服買おうと思ってるんだよね!」

「あぁ、確かに夏服か…」

「高校生になってね、お小遣い増えたんだ!お母さんにめちゃめちゃ交渉していいよって。だから、服を買うのです!」

「お前ならお小遣いとか以前にお金ゲットできるだろ…」

「よっしー?超能力は節度を持って使わないとだよ」

「最近外に出てなかったなぁ、って言ったのは誰でしたっけね」

「んー、それ私!えへっ」


 ふと思った。俺たちって今結構恋人っぽく見えるのではないだろうか?いや、絶対そうに違いない。ならこの状況を使って意識させてやるか…。


「というか、これってデートってことになるのか?」

「で、デート?」

「そりゃ、男女2人でのお出かけ…なんて、世間一般的はデートだろ」

「えへへ、よっしーもそう思ってくれてたんだー」


 なに、これがデートだと小林沙月は百も承知でいただと…?流石超能力者、こちらの思考すら読めるというのか。しかし、作戦に関しては勘付かれていなさそうだし…。断片的に読めるのだろうか。


「それで、どういう夏服がいいんだ?」

「なんでよっしーを連れてきたと思う?」

「質問を質問で…いや、荷物持ちかな」

「ぶっぶー!ちがいまーす、正解はーー、よ、よっしーの好みの夏服が欲しいからでーす!」


 ちょっと長めに溜めてから少し恥ずかしそうにそういった。俺の好みの夏服、ふむ。こちらを試しているな?恋仲以前に俺が人としてセンスがあるか、ないか。小林沙月に意味のない行動は…やはりないか。


「な、何か言ってよ…」

「任せろ、俺が最高にセンスのいい夏服を選んでやろう」

「そういうことじゃないんだけどな…」


 ここで電車が目的地の最寄りに着いた。

 俺のポケットが揺れる。入れていた携帯に連絡が来たようだ。


「すまん、電話だ。少しだけ待っててくれ」

「ん、おっけー」


 小林沙月から少し離れて電話に出る。機関からの連絡だ。


「お前さ、作戦遂行遅いよな」

「え、恋仲作戦は半年を予定しているのでは…?」

「そうだけどさー、なんかそうじゃないんだよねー。お前さ、小林沙月がすでに絆され始めてるの気づいてる?」

「小林沙月が…?」


 まさかそんなわけない。小林沙月はいまだに俺のことを試している。近くにおける人間かを常に見ている。俺はそう思っていたが…。


「あー、うん。なんかもっと適任いるわ。行動力あるからいけるかなーって思ったけど流石に鈍感すぎるよお前」

「いや、しかし!」

「じゃあ、強硬手段で行くから今日はよろしくな、吉田智幸くん」


 電話が一方的に切られた。俺以上の適任…?俺以上に小林沙月に生活を捧げられる人間がいるわけがない。俺はそれぐらい小林沙月の超能力に魅入られているというのに…、機関はその俺の話を聞かずに強硬手段に出るだと?


「よっしー?どうしたの、悩み事?また、私で悩んでんでしょー、ふふんっ」

「あぁ、そうだよ。お前は色々と難しいやつだからな」

「そう?私案外単純だと思うけど…」


 正確にいうと小林沙月自身ではなく、その周りが複雑で難しいって意味だけどな。


「じゃ、ショッピングモールへ向かいましょー!」

「まずは何だ?お昼食べるのか?」

「もちちよ!腹が減っては戦はできぬってやつよ」

「戦うわけじゃあるまいに」

「乙女にとって服を買うっていうのは戦と変わらないの、それによっしーもいるんだから」

「俺がいると戦になるのか…?」


 やはり、機関のことを勘づかれている?まさか、だとしたらアクションがなさすぎる。


「じゃあお昼はー、フードコートが楽かな?」

「そうだな、お互い好きなものを選ぼうか」

「お互いの好みを知る機会…、貴重ね!」


 フードコートにて席を取ってからそれぞれが食べたいものを買いに行った。それぞれが買いに行って買ったものは一種類。


「たこ焼き…」

「よっしーもたこ焼き?」

「そうだな」

「へー、好きなんだ?」

「もちろんだとも」

「ふふ、私もたこ焼き好きー。同じだね」

「好みが同じなのは相性がいいってことだな!」

「えへへ」


 まさか被るとは思っていなかったが、これは流れがとてもいい。このデートが俺の恋仲作戦史上最大のチャンスかもしれない。

 よし、決めた。俺は今日ここで告白をしよう。機関の方からも催促を受けてしまったし、不穏なことも言っていた。できれば変な介入無く、小林沙月を絆したい。


「ねね、それって明太子たこ焼き?」

「そうだな」

「私のと一個交換しない?」

「お前のは…?」

「私のは期間限定!わさび醤油たこ焼き〜、結構美味しいよ?」


 わさび醤油とたこ焼き…って、美味しいのか?いや、知らないけどさ。よし、きっと美味しいに違いない。そう自分を騙して交換をする。


「お、思ったよりも美味しいな」

「でっしょー、私も結構美味しいなって思った!」

「明太子はどうだ?お気に召したか?」

「お気に召しまくりです。流石看板商品だけあって、美味しいね」


 そうだろうそうだろう。このお店の明太子たこ焼きは異常に美味しいのだ…。だから、これ以上は俺のたこ焼きだ。交換はもうしないからな!


「何その顔〜、一個しか交換しませんよーだ」

「別にもう一個欲しいって顔はしてないんだが…」

「そうなの?」

「そうだよ」


 そんな他愛もない話をしながら、あっという間に8個入りのたこ焼きは無くなった。


「あー、じゃあ服見に行く前にお手洗い行ってくる」

「そうだね、私もそうしよー」

「じゃ、少ししたらまたここ集合で」

「ういちゃっちゃー」


 今の所、このデートは大成功を収めている。やはり、俺の作戦に狂いはない。今日の最後に告白をして、俺を意識させる。成功したら最高だし、失敗しても…この関係値なら前向きに考えてくれるだろう。

 よし、小林沙月のところへ向かおう。あれ、でもなんだか目の前が霞んで…みえ、る…。




「おい、吉田智幸。起きろ、起きろってんだっ!」

「いたっ!!!」


 顔を殴られた衝撃で目を覚ます。

 ここは…、どこだ?廃墟ビルの中かと思うほど、薄汚れて気味の悪い場所だ。それに…、なんで俺は手足を縛られ椅子に括り付けられて大勢の黒服共に囲われているんだ?


「お前は人質だ。わかったか?」

「え、え、なんの?」

「小林沙月、そいつを誘き寄せるための餌。そして、小林沙月、そいつとの交渉材料ってことだよ」

「い、命知らずかよ」

「超能力がなんだ、お前を人質に取ればペースはこっちのもんさ」


 というか、こいつら機関の者か。まさか、今日の電話で言ってたことってこれか?嘘だろ、俺を人質に小林沙月との交渉?バカにしすぎだ。小林沙月の超能力を俺たち一般人が対処できるわけがない。

 そもそも、俺がいるからって小林沙月がここに姿を現す保証もない。機関はなんでこんな無謀な作戦を実行したんだ?


「お、なんか考えてんね?行動力だけが評価されて、中身が伴ってない吉田くぅん」

「いくらなんでも無謀すぎる。こんな作戦すぐにやめた方がいい」

「だーかーらー、機関の中でもね?君の作戦を支持する奴はいるさ。でもさぁ、恋で絆してもゆうことを完全に聞くわけじゃないじゃぁん、ね?」

「何が言いたい」

「恋で絆したお前を人質に、言うことを聞かせたほうが楽ってこと」

「ボスはなんて?」

「はぁ…、ボスがいいよって言うから行うなんてクソダセェことするわけないじゃん。俺たちは未来のため、日本のために動いてんの。多少はリスク背負わないとさぁ」

「だからって…」

「お、小林沙月のご登場だ」


 廃墟ビルの隅、入り口の方から小林沙月が歩いてきた。その表情は明らかに怒っていた。それも、俺が見たことのあるちゃめっけの怒りではない、心の底から怒っているような顔だ。


「小林沙月さん、本人ですか?」

「そうだよ、本人さ。超能力でも見せようか?」

「いやいや、結構。それで、ここにきたってことは手紙を読んでくれたんですよね?」

「読んだよ。よっしーが殺されたくなければここに来いって。それで?要件はなに」

「いやいや、簡単な話ですよ。ここで死んでください」


 その声と共に周りにいた黒服が拳銃を取り出した。何を考えている。小林沙月の死は、日本の大損失だ。小林沙月がいるから日本は核を保有せずとも外交ができているんだぞ。そんな小林沙月を殺すなんて…。


「逃げろ!沙月!」

「安心して、よっしー」


 一斉に銃が打たれる。日本に住んでて、銃声を聞くとは思わなかった。あーあ、俺も殺されんのかなぁ。


「私は死なないよ」


 そう言う小林沙月の周りには時が止まったかのように、空中に浮いている銃弾があった。超能力で、動きを止めたのだ。


「お返しするね」


 宙に浮いていた銃弾は全て、黒服の拳銃に向かって放たれた。そんな衝撃に耐えられるわけもなく黒服共は拳銃を手放してしまう。そして、その拳銃は小林沙月の元に向かい、手のひらでハンバーグをこねるかの如く潰された。


「で、よっしーは返してくれるのかな?」

「お、おい。こいつがどうなってもいいのか…」

「おいおいおいおい、マジかよ。俺殺すと計画が破綻するんじゃ?」

「この際死なば諸共だよっ!!!」


 俺の顔を殴った後に俺の頭に鉛の塊をぶち込む気か?それは勘弁してくれよ、俺だってまだやりたいことがいっぱいあんだよ…。

 そんなことを考えていたら、本当に銃を撃ちやがった。耳元で音が鳴る。うるさすぎる、鼓膜が破れたんじゃないかと思う。

 

「絶対に殺させない。私は何があっても…よっしーを守るの」

「生き…てる…?」

「う、うそだっ!」


 なんと一気に5発ぐらい撃たれた。確実に右耳は使い物になんなくなった。が、実際に狙われてる頭はピンピンだ。


「どんなに撃っても無駄。よっしーにはバリアをはってるの。わかる?この世界で一番強い私のバリア」

「ははは、やっぱお前は最高だよ」

「さ、最高?よっしー、本当にそう思ってる?」

「思ってるよ。お前がいなくなったら世界が困る。それに、俺も困るよ」

「え、え、じゃ、じゃあさ…。さっきみたいにさ、沙月って呼んで…くれてもよかったりしたりするよっ!」

「なにいちゃついてんだよ!その作戦も失敗におわんだよっ!」


 俺の頭を狙って撃っていた銃は、お次は小林沙月を狙って放たれた。小林沙月は当然のように弾をとめ、相手に返す。


「ねぇ、大事なこと話してるの。ちょっとだけ静かにして?そしたら命は奪わないからさ」

「は…はい…」


 とうとう怖気ついたようだ。最初からこうなることなんかわかりきっていたのになんで強硬手段に出てしまったのか。俺には全くわからないね。


「そ、そそそそ…、それで…。私のこと、名前で呼んでくれても〜?」

「いいよ、沙月」

「はわっ、はわわわわっ」

「というか、呼んだことなかったっけか?」

「な、ないよっ!いっつもお前だったもん!」


 そうか…、心の中ではいつも小林沙月と呼んでいたから気づかなかったな…。というか、名前で俺に呼ばれたいってことはこれは脈アリなのでは?いや、そうに違いない。ならこの勢いで告白をしよう。


「沙月」

「な、なに?」

「俺たち付き合わないか?」

「え、え、え?」

「もしよければなんだけどな」

「も、もちろん!いいよ!いいの?」

「俺から告白してんだから、いいに決まってるだろ」

「え、え、う、嬉しい…」


 嬉しいのか…。嬉しいってことは俺のことをちゃんと好きってことだよな。あれ?それっていつからなんだ?

 

「沙月は俺のこと好きだったんだな。気づかなかったよ」

「結構私ってわかりやすいと思うんだけどなぁ…」

「あれぇ…、俺ってもしかして鈍感だったり?」

「絶対鈍感だと思う」


 俺が早く小林沙月の気持ちに気付いてれば、こんな廃墟ビルで紐に縛られたままみっともない告白をしなくて済んだのか…。なんて様だ。


「じゃあ、夏服見にいこっか。か、れ、し、く、んっ!」


 俺と小林沙月…、沙月が付き合って1週間が経った。生活自体は変わらない。高校に通いながら、沙月に会う。いつものことだ。ただ、ひとつ変わったことは…


「なぁ、これ沙月ならどうにかなんない?」

「あのね!私の超能力そんな雑に頼るのよっしーだけだよ?」

「いいじゃん、便利なんだから」

「それでもイヤホンの絡まったコードは自分でほどいてっ」

「えー、めんどくさいなぁ」

「もうっ!よっしーは私のことが好きなの?それとも超能力が好きなの?」


 そんなのは簡単だ。俺が好きなのは超能力…、いや、あの時、小林沙月の超能力が暴走したテレビに映っていた沙月を見た時にすでに俺は…。


「沙月自身だよ。超能力がなくても好きだよ」

「す、すき…、ふしゅぅぅ」

「自分の口でオーバーヒートした表現するな」

「だって、素直にそう言われるのは照れちゃうよ…」

「逆に、沙月は俺のこと好きなのか?というか、いつから」

「そ、それは…」


 それはあの時、俺が小林沙月の悪口をいうクラスメイトを注意したあの日…。


「あれが、小林沙月だって」

「え、あの国家権力とかよりやばい人?」

「怒らせたら私たち殺されちゃうかも〜」

「おい、お前ら」

「な、なによ」

「今、小林沙月のことをなんて言った」

「怒らせたら殺されちゃうかも?」

「そういうことを聞いてるんじゃない」

「でも実際にそうじゃん」

「違う、実際には小林沙月自体はただの少女だ、心を傷つけるな。超能力を持っているからって、異端児扱い?悪口言い放題?本当にバカにされるべきは無能力で何も秀でず、偏差値も大して良くない高校で、1人を標的にイジメようとしているお前らみたいな奴だよ」

「え、なに…こわ…」

「わかったわよ、悪口言わないから…」

「ふんっ、わかればいいんだよ」


 という流れなんだが…。いや、これに惚れる要素あるか…?ないだろ。どちらかといえばキモいような気がする…。


「私はさ、超能力が使えるようになるまで普通の中学生だったの。でも、使えるようになった途端にみんなの見る目が変わって…。私だって心は普通の女の子なのにさ、別に人を殺めるなんてできないのに…。でも、それを唯一わかってくれてる人がいたの。それが、よっしー」

「あー、沙月もなかなか大変だったんだな…」

「ふふっ、そりゃそうよ。当事者だもん」


 それもそうか…。

 ポッケの携帯が揺れる、電話だ。これは…機関の番号だな。


「電話だ、ちょっと待ってね」

「はーい」

「もしもし」

「お前、付き合い始めたんだって?」

「あ、…そうです」


 やばい。機関に報告するのを忘れていた。目標の9割以上がが達成したのに、伝え忘れる大失態。怒られて当然だ。きっと、叱責の電話だろう。


「おぉぉ、おめでたい!嬉しい!今日は宴だーーー!!!」

「え…?」

「だって、絆せたってことだろ?つまり、俺たちの研究が進められるってことだ!そこはちゃんと聞いたのか?」

「あー、まだっすね…」

「よし、聞いてこいいますぐだ!」

「ういっす」


 KSK機関にはまだ所属している。俺を襲った奴らは機関の中でも少数の過激派かつ独断での行動だったからだ。機関の落ち度ではあるが機関を離れるほどのことではないと俺が判断した。それに、ボス直々に俺に謝りに来てくれたしね…。とかがあったせいで、付き合ったって報告を忘れていた…。


「なぁ、沙月」

「なに?」

「あのー、俺さ…。とある機関に所属してて…」

「んー?」

「KSKっていうとこでな?」

「うん」

「小林沙月を研究する機関で、あのー、沙月の超能力を研究させてくれっ!」

「なんでよっ!」

「お願いだ!」

「よっしーが好きなのは私?それとも、超能力?」


 結局沙月が研究に協力してくれるようになったのは数ヶ月も先の未来だった…まる。

小林沙月、強すぎる。

面白ければ、評価していってください!

ついでにマイページも見てくれたら嬉しいです!

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