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魔法石の鉱山

人物紹介 (本編はこの下にあります)

 クレア(ゼクレアスタ) 17歳

 青い髪 青い瞳 彫りの深い顔立ち 身長170cm(推定) 土魔法使い

 母はエルザ(エルザスターニャ) 故人

 15歳の時母と共にヨクレールの街に流れてきた。

 形見の銀のリングを首から下げている 酒が好きでよく飲みつぶれる

 宿の亭主カッツェドス(引退冒険者)より槍と皮鎧を譲り受けたが鎧は地竜素材で新調した

 メグが作った木製の腕輪を装備している

 祖母という人がラーライという土地に因縁があったらしい

 テオドラ帝国ラテラの門を潜るとその先のは一本の広い道があった。

 どこまでも真っ直ぐに続くように見えるその道はアクトベル街道、古くはイズール街道と呼ばれ、古来よりの交易路であるそうだ。


 テオドラ帝国に関しては魔石鉱山があること、ガラス製品、色鮮やかな織物があることで知られている。


 今、タクシーはその広いアクトベル街道に乗り入れた。


   ・   ・   ・


 白いボディに青い幅広の横線、黄色行灯(あんどん)を黒緑の屋根に乗せたミニバンタイプの自走馬車。


 それがこれまた一風変わった荷車を曳いている。


 その荷車は自走馬車とは一見繋がっておらず、広い側板が目を惹くだけではなく、床下に箱のようなものが幾つも付いている。

 車輪こそありきたりの木車輪であるが、木肌の艶を見るに最近新調したもののようだった。


 この一行は総勢7名。

 タケオと呼ばれる12、3歳ほどに見える革鎧の槍使いがリーダーらしい。

 サブと思しきはおなじく革鎧の女、クレア。

 年齢は17、こちらも槍を使う。

 次は黒尽くめの鍔広帽子と言う魔女装束の女、メグ。Bランク冒険者。

 年齢は18。

 そして雑務要員であろうか12〜8歳の子供が4人そこに付き従っている。

 名をそれぞれメアリ、ステス、ミトア、ラトルと言う。



 帝国のラテラ門に詰める書記官はこのような報告を上へあげていた。


    ・   ・   ・


「ずいぶん真っ直ぐな道だけど、この石畳を敷くのは大変だったろうね」


「せやなあ、両側に花壇まで設えて、偉い手間掛かっとるようや。

 こう言うんはなあ、花の世話のほうが大変なんやで?」


「花なんて植えとけば勝手に咲いてくれるんじゃないの?」


「それやとこないにそろった花は見られへんなあ。花の咲く時期言うんは短いもんなんや。

 ()っといたらあっちゅう間に葉っぱ花壇やで?

 せやからなあ、今咲く花と植え替えるんや」


「植え替えるの?

 ものすごい手間だね?」


「せやでえ。

 言うたら見えへん所にバックヤードがあってな、この花壇の10倍やらきかんくらいの広い畑に、いろんな花の苗がぎっしりや。

 その中から時期に合う花選んで、彩りなんかも工夫してな、こっちの花壇に植え替えるんや。

 肥料なんかの世話も要てなあ」


「メグ、ずいぶん詳しいね?」


「そらまあな、お師匠(サナエ)はんとこは植物系やったさかい、よう手伝わされたんよ。

 花壇もようさんあってなあ、苗運ぶんが大変やった。

 咲く期間も皆いろいろでなあ。短いのんは何時間や。

 長うても一月咲いとってくれるんはそうはないんやで。

 そんでも朝晩の水遣りはちいと楽しみやったか」


 早苗か。

 古女房と同じ名前だな。

 こっちにもあるんだな。

 あれからもう……4年目か?


「なんか目に見えるよう!

 メグだったら優しい水カーテンかなんかでお水遣ってそうだよね?」


「カーテンはまあだできひんやったなあ。

 霧がええ感じやったんや。

 苗の寝床にふわっと霧の毛布かけるて感じがなあ」


 後席でこんな女の子らしい会話が広がってますが、飯山健夫、元68歳です。

 個タクのドライバーやってます。

 あれ? 69になるんだっけ?

 見た目中1くらいってことで前の年齢はどうでもいいか。


 若い体になっても昔と変わらない座席のフィット感。

 俺はこれでも身長が156cmあったはずなんだが、150切ってるよなこれ。

 測るものがないんで体感なんだがそう違わないはずなんだ。

 座席のノッチの位置とかペダルの間隔とかで分かるんだ、これでも職業運転手だからな。


 アクトベル街道は確かに綺麗に整えられた道だ。

 花壇の裏にはわざわざ並べたように揃った木々の列。


 アクトベルの野放しっぽい街道とは全く違う。


 それは魔物対策の一つ緩衝帯がないことで、木々の向こうが見通せないこと。

 道が広いと言っても、魔物の襲撃なんかがあると対処できるか怪しい幅だ。


 アクトベルで散々整備をやって来たからな、こう言う視点も持たざるを得なかった。


 それだけ安全な場所だってことなんだろう……


「なんか来る」

 クレアがいい出す。


「上……」

 メアリは索敵を広域に広げて

「赤い点、ラププテラーでしょうか?

 青い網は近いですが、外れています」


 上空は然程高くない白い雲がポツポツと浮かんで、あれに紛れたらちょっと見えない感じだ。

 上で回っているのかクレアが頻りに上を気にする。


 それも5分程の間で、索敵からも消えた。


「この先でまた青い網が被ってくるみたいですよ。

 でも動いてるみたいだからどうなるか分かりませんけど」


 いつしか木立が途切れ白い山脈が右手に聳える。

 山裾までは距離があるようで、道路沿いは花壇の向こうに岩場が続く。

 左は麦畑らしく、霜を被った穂が陽を浴びてキラキラ光る。


 そんな静謐な風景がしばらく続き、何やら高い門のような物……

 鳥居にしちゃあ変な格好だ。

 漢字の井の字の足長と言うか?

 柱の間は馬車3台余裕ってほど、間口の高さも相当だ。

 風雨にさらされた黒檀色の巨大な木造の門。


 柱に何か看板が掛かっている。

 テオドンを読めるのはメグだけなので、

「ええと……キグ…スク……やろか。

 鉱山って書いてあるんかな、ちょっと分からんなあ!」


「鉱山ってラテラで聞いたあれかなあ?

 ゴーストが出るとか言ってた……」


「ここがそうか分からへんけど、見てくのもええんやない?」


 メグの言葉で、タクシーはここで右折とあいなった。


 そこからは泥に水の流れ跡のある道を揺られる。

 車内では遠足気分の子供達が菓子やジュースで盛り上がってる。

 薄暗い林道みたいな道を辿ってるってのに、能天気なもんだ。


 やがて見えてくる一堂の(やしろ)

 屋根にバツの字に突き出た千木(ちぎ)が神社のように見えたんだ。


 その向こうにも木々に囲まれ数軒の建物が見えている。

 ここにも看板が下がっている。

 どうやら門にあった物と同じ物らしい。


 中から白髪ツンツン頭のゴツい親父が出て来た。

 肩の肉が盛り上がって腹が出て、ビヤ樽のような体型だ。

 青緑のツナギにくすんだ黄色のシャツ、ゴツい編み上げ靴。


「お客人、めずらしいなこんな所まで。

 自走馬車ってのも珍しいがな、ガッハッハ」


 なんだこの親父、やたら馴れ馴れしいな。


「ワシはギグスクル鉱山の番人のガンツ。

 で、なんの用だ?」


 俺たちも自己紹介のあと、

「鉱山らしい看板を見たんでな。

 どんな鉱物(もの)が出るのか見たくて来た」


「そうか!

 ここは銀の魔法石が出るんじゃ。

 あれはいいぞ!魔力増幅の効果があるからな!

 尤もその分、効果時間は短くなるんじゃが、ガッハッハ!」


「へえ、そないな効果があるんか。

 ウチ、知らんやったで。

 けど、増幅言うたかてどれくらい上がるもんなんや?」


「お!興味あるか!

 そうだろう。増幅と聞いて、あんたのような魔法職は黙ってはおれんよなあ!

 いいか。純度にもよるんだかここの魔法石の増幅は倍は固い。

 上手くすれば3倍、4倍のも出ておる。

 確か最高は4倍半だったはずだ!

 どれもここ15年くらい見とらんがな、ガッハッハ!」


「純度言うけど、その純度は上げられたりでけへんのんか?」


「さてなあ。そこいら辺になるとワシでは怪しいな。

 それについちゃ学者にでも聞いてみるこった、ガッハッハ!」


 何が楽しいのかいちいち大笑いのガンツ。


 その説明によるとここの鉱夫は現在4人。

 10数年前に縮小を宣言されて、鉱脈探査で細々と掘り、再開に備えて資料をまとめているんだとか。

 それもいつまで予算が継続されるのかと言った状況らしい。


 縮小された原因は坑内に湧く魔物にゴーストが増えたからだと言う。


 当時、採掘量が減っていったとの問題もあった。

 元々岩系、虫系の多い鉱山だったが、そこへ追い討ちのように実体のないゴーストが増えたため、また有効な対策がないことからやむなく操業停止に追い込まれた。


 ともあれメグが増幅効果とやらに興味を持った様子なので。


「しばらく厄介になっていいですか?」


「構わん!

 ワシは構わんのだがなあ」


 こう思わせぶりされると聞かないわけにもいかないか。


「なんかあるんですか?」


「うむ。予算がのう。

 お主らの食事を賄うだけは出んのよ」


「それやったら心配あらへん。

 数日分やったら買い置きもあるよって。

 イブちゃんやったら仕入れに行く()うても、大した手間やあらへんで」

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