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【世界の記録】■■■■■■・■■■■

「クロウ、早く! え、気絶!? バッドステータスの解除まで動けない!? あ、もう聞こえてないのね……」




『───……!』




「っ! 身体を借りるわ! 私がどうにかして……弾かれた!?」







『──OOON……』







「やっぱり、さっきのは憑依の強制解除? 私が憑依できなくなるのは光属性の攻撃を受けたと、き……」









『────GUOOOOON!』









「何が……起きてるの?」











『GYUOOOOOOOOOOOON!!』











「あれは……【マグガルム】なの?」

















 ──その日、災厄が目覚めた。














 モンスターとは人類の敵対種全般を指す言葉である。


 <ナイトウルフ>というモンスターが存在する。

 それは、狼系のモンスターの中でも最弱と名高い種族の一つだ。


 ダンジョン都市ネビュラ周辺を中心にルクレシア王国全域にて生息が確認されている。


 <ナイトウルフ>というモンスターは特筆すべき強さはなく、弱さゆえに群れを成し、本能のままに暴れるがゆえ上位の敵対者に敗れる姿は後をたたない。


 群れとしての脅威度はあるものの、統率されたものではなく一匹一匹のステータスも低いためだ。



 【マグガルム】という雷魔法を扱う個体になっても、しかしてその評価は覆ることはない。


 【月光の樹海】周辺にしか出現が確認されず、変質すること自体が稀で、出現が確認されると同時に高レベルの兵士や冒険者の討伐隊を昼などに派遣すれば対処自体は容易であるためだ。


 危険ではあるものの、常日頃から多くの犠牲者を出す危険指定の中級モンスターの方が、被害としては甚大なのである。




 しかし、それも今日までの話だろう。


 ダンジョン【月光の樹海】による影響で変質した個体の中でも、圧倒的な才能を有し、いくつもの死線を乗り超え……理性をもってして自らの力を掌握し、昇華させ、<ナイトウルフ>という生物の到達点の、さらにその先に辿り着いた存在がここに生まれた。





 【超越種】災厄の星狼





 このモンスターの出現が知られれば、<ナイトウルフ>は【超越種】に至るモンスターの一種として、その名を轟かせることになるだろう。


 少なくとも、【月光の樹海】周辺にいる<ナイトウルフ>は全てが狩りつくされることになるはずだ。


 冒険者ギルドが、商業ギルドが、国家が、ありとあらゆる戦力と資材を投入する。


 一時的な国防能力を犠牲にしてでも事にあたるだろう。


 今回がどれだけのイレギュラーが重なったことかなど、彼らは知る由もない。


 それがどれだけ低い可能性であろうとも。

 今後出現する可能性が絶無と言っていいほどに低かろうとも。

 だからこそ、その存在が確認された時点で可能性の芽を完全に摘むために最善を尽くす。


 今までがそうであったように。


 新たな災厄の誕生を防ぐために……





 それも今夜、ダンジョン都市ネビュラが滅びなければの話だ。


 月光・太陽光・星光・火光・閃光・魔力光・雷光。

 ありとあらゆる光源から……それこそ自らの魔法による光からすらも魔力を生成する無限機関。


 光という概念そのものを喰らい自らの糧とする災厄の獣。


 管理者によって定められた<ナイトウルフ>という種族の枠組みを超えたと、超越したと、世界の歴史に刻まれた偉業、ゆえの進化。


 【超越種】として定義された結果飛躍的に伸びたステータスに加え、手に入れた多くの特殊能力。


 新たに世界にて観測された……絶望の具現の一柱。


 人類・モンスター問わず、全ての生物に破壊をもたらさんとするその新時代の厄災は……













「GYUO……OO……Gu……ru」












 満足気な顔を浮かべ一鳴きした後……ポリゴンとなって砕け散っていった。

















─システムメッセージ─

<ナイトウルフ>を*討*しま*た。

……エラー発生……ログ確認中……再通知


















─システムメッセージ─

<ディザスター・ヴォルフ>を討伐しました。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 急速な進化に肉体が耐えきれなかったのか、あるいは全てを尽くしたのか、真実はどうあれ、満足して逝ったのか。 未知にして未曾有の厄災に、黙祷。
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] 世界にその名が刻まれたぞ
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