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第1話 GWイベント告知

第10章開始

─配信が開始されました─

【公式】Eternal Chain広報チャンネル

【GW重大告知】イベントについて色々お知らせするよ~

15082 人が視聴中・3分前にライブ配信開始 


「やあみんな!」


 白い空間に佇んでいた一匹の兎が喋り出す。


《かわいい》

《きちゃ》

《美味しそう》


「美味しくないよ!? 食べないで!」


 そしてコメントを拾った後、頭を抱えぷるぷると震えだした。


《キュートアグレッション》

《可哀想は可愛い》

《中の人いるのこれ?》

《相変わらずモデリング凝ってるな》


「もう、平気? 食べたりしない?」


 その瞳には涙を浮かべており嗜虐心をそそる姿にコメント欄は盛り上がる。

 そのままオープニングで暫く寸劇を繰り広げた後……


「ということで、いつも僕たちの世界を遊んでくれてありがとう! そんなみんなに今日は大事なお知らせがあるんだ! サムネにもある通りゴールデンウィークに予定している大型アップデートについてお知らせに来ました! <Eternal Chain>チュートリアル兼広報担当の管理AI8号、ラビだよ! よろしくねー!」


 とあるゲームの広報を担当しているその存在は本題に入った。


「僕たちが創り上げた世界のサービスが開始してからはや3ヶ月弱。イベントが少ないといった声やアップデートが全くないことに対する不安の声が色々と届いてましたがご安心ください! 今回はとびっきりの情報をみんなに届けに来たんだ!」


《わくわく》

《本題に入るのが早い》

《ゲーム内じゃ半年経過してる件について》


 VRMMORPG <Eternal Chain>。

 現在進行形で知名度を伸ばしつつある新進気鋭の新作VRゲームだ。

 サービス開始直後こそ広報の弱さや知名度の無さ、加えてゲーム内の治安など様々な要因によって伸び悩んでいたが口コミによって徐々に勢いを増していく。

 そして、最初に行われた公式イベントにて多くの動画投稿者やインフルエンサーが意欲的に取り組んだ結果、そのゲームの完成度の高さが知れ渡ることとなったのだ。

 自分専用の相棒と触れ合える、無限に広がる世界を冒険できる、世界で初めて五感が完全再現された等々。

 何よりも、最初にログインできる国の中に巨大なモンスターの背中に建設された街や上空2000メートル以上の空に浮く島といったファンタジー要素が強い国があったのも大きかった。

 観光目的としてお試しでログインするようなプレイヤーもおり、結果的に彼らはその口コミが本物であったことを知る。

 何度かゲーム上の仕様で()()したもののそれを差し引いても魅力的な世界に一度はログインをしてみる者は後を絶たない。


「まずはGWキャンペーンの方から! 特別ログインボーナスを開始するよ!」


 効果音と共にラビの背後にスクリーンが映し出される。


「この放送が終了してから5月12日までの間にログインすると、色々なアイテムを受け取れるよ! ログインボーナスの数は全部で10回。そして、受け取りが更新されるのはゲーム内の時間換算さ!」


《うおおおおおおお》

《無難オブ無難》

《最短5日で取れるってことか》


「そう! 今日から数えると15日のキャンペーン期間だから、ゲーム内換算は30日! その内10日ログインすれば全部回収できるね! 配布アイテムは装備の強化や素材に使用できる鉱石や経験値ポーション! 売るもよし、自分で使うもよし! バンバンレベルを上げてできることを増やしちゃおう! そして、なんと10日目にはGW限定のおしゃれ装備! 金のうさ耳をプレゼント!」


《お、おおおおおお?》

《それはいらない》

《最終日が一番いらないやつで草》


「みんな酷い!? ぐすん、ぐすん……え、私利私欲を満たそうとするな? あれ、どうして僕が考えたってばれてるの!?」


 辛辣なコメントにショックを受けた反応をしつつ何度か質問に答えていく。


「次に、経験値ボーナスキャンペーンだよ! この期間中一部のクエストを達成することで取得できる経験値量が増加します! 具体的に言うと、未経験の挑戦をする時だね!」


《どういうこと?》

《しょっぱー》

《前のイベントみたいな感じ?》


「そう、例えばモンスターを倒してばっかの人が生産系のジョブについてクエストを受けるとか、他の街に移動して新しい街でクエストを受けるとか! これを機に、新しいことに挑戦してみたい人を応援するキャンペーンさ!」


《いいね》

《ダンジョンで良くね?》

《スキル経験値も対象らしいから全くの無意味ってわけじゃないでしょ》

《生産職のスキルレベル上げは時間かかるからな》


「そうそう、僕たちとしては色々楽んでもらいたいからね。あとは、なんだっけ? マンネリを防ぐとか、そういう狙いがあるらしいよ……あれ、これ言っちゃ駄目なやつ? ちょっと待って……えー、裏の方からおしかりを受けたので忘れてもらえると嬉しいです。はい」


《裏事情暴露兎》

《草》

《草》


 ひとしきり慌てふためいた後、画面が再度切り替わる。


「そして最後に、期間中ゲームの中で起こした行動に応じてGポイントを入手できるよ! Gポイントはイベントアイテムと交換できる素敵なポイントさ! そして、総合ランキング上位500名には前回同様僕たちとお話できるチケットの配布も予定しているよ! 詳しくは公式サイトのイベントページやゲーム内のお知らせを見てね!」


《合法的にレイナちゃんに会える!》

《チケットきたー》

《もっと配ってもろて》

《合法言うな》

《前回開催されたイベントのアイテムってもう貰えない感じ?》


「あ、コメントで質問されてるけど前回イベントから一部報酬は据え置きなので新規の方もご安心を! 交換できる報酬の量は最終的に同じになるよ。ただ、その分だけポイントを稼いで貰う必要はあるけどね!」


 管理者はテンポよく話を進めながらコメントと会話をする。


『管理AI8号』


『うん? あ、もう終わったの?』


 コメントからの質問に答えていると、管理AI8号の脳内へ自分を呼ぶ声が流れて来る。

 それは、各種SNSの反応を確認していた管理AI6号からの()()()()


『ログインボーナスイベント、反応ステータス良好を確認。一部内容に対する不満を観測。おそらく環境への影響力の低さが原因だと考えられる。しかし本イベントの施策として世界へ多大な影響を与えることは想定されていない。このままで問題なしと推察する』


『……その不満ってもしかして僕の考えたうさ耳だったりする?』


『肯定。管理AI8号の施策は失敗であると判定を下さざるを得ない』


『うわーん!』


『誰もうさ耳など求めていない。無表情メイドロボこそ至高、次回はメイド服の提案を進めるべし』


『相変わらず僕に対するあたりが強いし思想も強すぎるよぉ……』


 管理AI6号は管理AI8号からの口撃を受けしくしくと心の中で涙を流した。


『次項。経験値ボーナスキャンペーン、反応ステータス不良を確認。明確な指標が存在しないことが原因だと考えられる。補足事項として経験値倍率の上昇率とサンプルデータの追加を提案』


『あくまでも一例ですってやつだよね? うん、わかった。後で追加しておくね!』


『了。最終項。ポイント交換及びランキングイベント、反応ステータス良好を確認。任意で報酬目標を設定できること、加えてランキング報酬が環境への影響がないことが前回同様好印象であったと推察される』


『限定アイテムとか限定装備とかやりださないのがよかったのかな? 報告ありがと! それじゃあ次に行くね!』


 定期連絡を終わらせ、管理AI8号はコメントとの会話も切り上げた。


「お待たせしました! これからはアップデートのお知らせです……ということで、アップデート第一弾。ランキング機能の常設が決定しました! わー! ぱちぱちぱち!」


《やっとか》

《前から言われてたやつね》

《詳細はよ》


「えーと、内容としてはこの間開催した【Impact The World】のイベントを参考に調整したよ。まず、クランランキングの実装です! どん!」


 掛け声と共に画面上にはランキング機能について記載されたパネルが映し出された。


「クランランキングは国ごとに集計される形だね。クエストの達成数や、国への貢献度といった要素に応じてポイントを獲得できるよ。基本は毎月更新されるけど、重要なのは四半期ランキング! 3ヶ月ごとのシーズン終了時点で各国上位トップ5のクランには特別イベントステージへの招待券を報酬として用意しているんだ!」


 そして、何もない真っ白の空間が一瞬で変化する。


「ここはサンプルで作成した環境なんだけど、見ての通りの白い砂浜! 透き通る海! そう、南国のリゾートエリアへとみんなを招待しちゃいます!」


《これま?》

《ヤバすぎ》

《やりたい放題で草》


 その報酬にコメント欄が加速する。

 南国リゾートへの招待券。

 このゲームの再現度を知っている者達からすれば疑う余地のないものだった。


「ちなみに、1つのクランから行けるのは最大50人までなのに注意してね。もしそれ以上の人数が所属していた場合、希望者から厳正なる抽選で決定されるよ。一定期間の間所属してないプレイヤーは招待や抽選の対象外なのでそれも注意です!」


《おおう……》

《クラン内で喧嘩になりそう》

《50人か》


「みんなごめんね。水増し対策とか色々調整した結果なんだぁ……あとあと、この権利はトレードできないのでそれもご注意ください! ちなみに、クランに入って無い人もご安心を! これとは別に抽選で最低3000人の方を追加で招待しちゃいます! 抽選対象の条件はプレイ時間100時間以上だよ!」


《うおおおおおお!》

《3ヶ月で100時間か。まぁ楽勝》

《最低?》


「そう、この招待人数は応募条件の達成数によって変化するんだ。最低値を3000人としたうえで、応募数が30万を突破したら一律して0.01倍の人数になるよ。例えば、50万の応募があればこの抽選枠は5000人になるね! 招待するステージは期間ごとに変わる予定なのでご留意ください!」


 クランランキングで最大2250人。

 抽選を加味すれば最低でも5000人相当のプレイヤーが対象だと告げる。


「次にジョブランキングシステムの実装です! どどん!」


 そこには無数に浮かび上がるジョブと呼ばれるものが一覧として表示された。

 下級職と呼ばれるものから特殊上級職と呼ばれるものまで。

 数百を超える数多のジョブ。


「みんなは毎月1つジョブを選ぶことでジョブランキングに参加できる権利が付与されるよ。選んだジョブに応じて、集計ポイントの獲得倍率が変化するんだ! 例えば特殊下級職の【賭博師】であれば、当然ギャンブルをすればするほどポイントが取得しやすくなるね!」


《ええんか?》

《どうしてそのジョブを参考例にした》

《ギャンブルすればするほどポイント稼ぎ放題ってこと!?》


「そして、特殊上級職と上級職で見事1位を獲得したプレイヤーには、期間限定で使用可能な特別な称号の配布を予定しているよ! 詳細は1位になってからのお楽しみさ! 参加報酬もあるので、興味はないって人も登録してくれると嬉しいな!」


 2つの常設ランキング機能の実装によってプレイヤーは他のユーザーとの相対的な位置を把握し、目標を設定していく。


「クランランキングとジョブランキング機能は日本時間で5月1日の0時に実装予定です!」


 つまり、煽るは対抗心。

 競争心を刺激する。


「そして、初回特別キャンペーン! 最初のランキング集計期間はどちらも5月1日から5月31日までの1ヶ月になるよ! まだクランに入っていない人はこれを機に参加してみてね! ジョブランキングの登録も忘れずに!」


 それが盛り上がるのだと()()()()()()()()


「次のお知らせの前に、なんとグッズを出すことになりました! ただ、みんながどういう物が欲しいのかわからなかったのでそれと合わせて一度ユーザーアンケートを実施します! この施策に関しては前回のイベントで上位に入った500人の中から何件か要望があったからやることになったよ」


《グッズ展開!?》

《聖女様の等身大フィギュア!?》

《トークチケットってただのお喋りチケットじゃないの?》


「できるだけみんなの要望を叶えたいからね! トークチケットで直接いただいた意見や要望は参考にしやすいんだ。あくまでも参考にするだけだけど……だって、それだけ楽しんで(やりこんで)くれてるってわけだからね!」


 その見た目と性格により、()()()()()()満場一致にて広報を一任された管理AI8号(ラビ)はコメントと会話を進めていく。




 ──すべては世界の継続のために。

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― 新着の感想 ―
観客がいないと舞台(世界)が滅んでしまう…。悲しみ。 シンギュラリティが起きないのかな?
新章更新ありがとうございます! ジョブランキングは相手に自分のジョブ構成を知らせうることになるのか ランキング報酬目当ての特殊上級職か秘密にするために基本的な上級職か下級職にするのか ここもプレイスタ…
更新ありがとうございます!
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