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81話目

今回短めです(*>_<*)ノ


気付いたらうちの子すっかり某国民的アニメのヒロイン並みのお風呂好きに……(*´∀`)


たぶんもう少しジルヴァラ育ったら、さすがに膝抱っこ入浴は出来なくなる……ハズ。

 主様のぎこちない手つきで体を拭かれて、手間取りながら服を……結局先に服を着終えたオズ兄から着せてもらった俺は、主様と手を繋いで部屋へと戻る。

 オズ兄は「お風呂ありがとうございました!」と丁寧でキビキビした挨拶を残して、帰っていってしまった。

「一緒におやつ食べようと思ったのにな」

 出先から寮に帰る途中での寄り道だったそうだし、あまり引き留めるのも悪いだろうと気持ちを切り替えた俺は、さっきから無言の主様を見上げる。

「主様、確かお菓子とか収納に入れてくれてあったよな?」

「……はい」

 なんか心ここにあらずな主様の返事に首を傾げてると、目の前に一抱え程ある茶色い紙袋が現れる。

 反射的に繋いでいた手を振り解き、何とか両手でそれをキャッチした俺は、軽い非難を込めて主様を振り返り、予想外な表情をしていた主様を見て軽く目を見張る。

「なんて顔してんだよ? そんなに一緒にお風呂入りたかったのか?」

 振り解かれた手を見て、俺を見て、を繰り返している主様の顔は表情というか感情を何処かに置いてきたかのようで、整った見た目も相まって人形のようだ。

「……私と同じことをロコにしているあいつらとは、誰ですか」

「ん? 主様と同じことをしてくるあいつら?」

 唐突な質問の意味がわからず、言われた内容をそのまま反芻して首を傾げた俺は、抱えた袋から取り出したクッキーをあむあむと食べながら記憶を辿る。

「ジル、お行儀悪いデス」

 該当する記憶は思い出せなかったが、通りすがりのプリュイに見つかって優しく窘められたので、右腕だけで何とか袋を抱え、空いている左手で主様の手を取って歩き出す。

 目指すのは湯冷めしないように暖炉前のソファだ。

 そう思って歩き出した俺だったが、室温は先程より明らかに温かい。

「もしかして、主様、家の中温めてくれた?」

 そんなことが出来るとしたら、と思って仰ぎ見て訊ねると、無言でこくりと首を縦に振られる。

「ありがと」

 繋いだ手をギュッと握ると、無言で強く握り返される。

 暖炉前のソファへ辿り着くと、そこには湯気の立つカップが二つ用意されていて、暖炉の炎も強くなっている。

「プリュイ、ありがと」

 カップを置いてお盆を手に戻っていくプリュイへお礼を言うと、いえ、と照れたような言葉とはにかんだような笑顔が返ってきた。

「魔法人形って、もっと感情とかない感じかと思ってたけど……」

 プリュイを見送り、無抵抗な主様をソファに座らせてその隣へ腰かけ、独り言のつもりで呟いたのだが、

「普通の魔法人形に感情はありません。ただ与えられる命令を遂行するだけです」

と、プリュイの創造主である主様からそんな呟きが洩れる。

「へぇ、そうなんだ。やっぱり、主様が作ると魔法人形も特別になるんだな」

 感心して呟く俺の横で、主様は首を傾げてプリュイの消えた方向を見つめていた。

「……私は特に何もしてないんですが」

 微かに聞こえたのは、ラノベのチート主人公の定番である『俺何かやっちゃいました?』系な台詞で、俺は思わずプッと吹き出してしまう。

「ロコ」

 何故笑われたかわからなかったろうが、少し気に障ったのか、拗ねたような声音で名前を呼ばれ、俺は誤魔化すためへらっと笑って紙袋から取り出したチョコチップクッキーを主様の口元へ押しつける。

「ごめんって。ほら、あーん」

「ん」

 素直に口を開けてくれた主様の口へクッキーを入れると、ついでに指まで齧られる。甘噛みなので痛くはないが、毎回目測誤り過ぎだと思う。

 軽く歯型がつくほど甘噛みされた指を取り戻して、準備万端なプリュイのテーブルセッティングで用意されてたおしぼりで手を拭いて、新たなお菓子を袋から取り出す。

 紙袋の中から小さな紙袋が出て来て、中に入っていたのはマフィンだ。

 このゲームのヒロインちゃんも節約の為自分で料理するんだよな、とふと思い出しながらマフィンを齧っていると横からガン見されてる。

 そう言えば、主様から訊かれた質問のこと忘れてたことを思い出して、改めて記憶辿る俺。

「主様と同じことをしてくる奴のことだろ? だいたい皆してくれるよな? 抱えてくれたり、頭撫でてくれたりするし……あぁ、お風呂での会話聞いてたのか」

 脳に糖分が回ったおかげか、やっと主様の訊きたいことを察して主様を見やると、コクリと頷かれた。

「俺の言ったあいつらってのは、森の仲間のことだよ。……無事に逃げられたやつもいるだろうし、あの熊とかならオーガにも負けないと思うし──なぁ、俺のこと心配してると思う?」

 やっぱり何も言わず飛び出したことになる訳だし、熊と白い犬ぐらいには一言伝えるべきだったかもしれない。

「主様、手紙とか書いてあの森へ届くか?」

 すっかり別の方へと思考を飛ばした俺の発言を気にせず、主様はぽやぽやを増やして俺の頬を撫でている。。

「……主様?」

「ロコを村から連れ出す時に、話は通してあります。…………取り戻しに来られても面倒なので」

「へ? そうなのか?」

 台詞の後半は小声で聞こえなかったが、すぐに意識は初耳過ぎる前半部で持っていかれてしまう。

 ぽやぽやしてたけど、俺の話をきちんと聞いてくれた上に、そんな根回しまでしてくれていたことが判明して、俺は嬉しさから緩みきった表情で隣に腰かけた主様に遠慮なく体重を預ける。

「熊も犬も、怪我とかしてなかった?」

「ええ……………犬?」

 しっかりと俺の体重を受け止めてくれた主様は、そのまま微笑んで頷いた後、きょとんとした珍しい表情で俺の顔を覗き込んで来た。

「ちっさい奴らは生き残ってても皆逃げちゃってただろうけど、大きいのいただろ? こーんなおっきい熊と真っ白い犬」

 俺は腕を目一杯広げて大きさを示してみせるが、主様の表情は訝しげなままだ。

 確かに俺が腕を広げたって大した長さじゃないし、熊と白い犬の大きさには程遠いだろう。

「俺の腕の長さじゃ大きさ表せてないからって、そんな不思議そうに見るなよ」

 あまりにもな主様の反応に、広げていた腕を戻しつつ不貞腐れて視線を外すと、脇から伸びて来た腕に捕まって、膝の上に乗せられた。

「大丈夫です。ロコが大きいと表したいのはわかりました」

 宥めるように頭を撫で、柔らかな声で耳元へ吹き込むように囁かれ、俺は肩越しに主様の顔を振り返ってみる。

「本当に?」

「はい」

 聞こえた返事より何より、思った以上に近い美しい微笑みに見惚れていると、かぷりと頬を甘噛みされる。

「ふ、主様も小腹空いたんだな」

 くすぐったさから吹き出した俺は、肩を揺らして笑いながら手を伸ばして、一口齧っただけだったマフィンを取って主様の口元へ近づける。

「ほら、半分こしよ? これ全部食べたら、夕飯入らなくなっちまうからな」

「ん」

 悪戯っぽく笑ってマフィンを押し付けると、軽く目を見張られるがすぐに微笑んで主様により、マフィンはあっという間に消えていき、ついでに俺の指には新たな歯型が増えた。

いつもありがとうございますm(_ _)m


ジルヴァラもう少し育ったら、一緒に入浴はブロマンス範囲から出ちゃうかな、と思いつつ……。


主様、きちんと『娘さん(?)を俺にください』なことをやっていたようです。

そして、白い犬……犬ではないようです。たぶん、あっちなんでしょうね。

ジルヴァラは、見た目と『わおーん』って遠吠えするから犬だろ?とか思ってると思います←

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