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384話目

お読みくださる皆々様のおかげで、拙作が何作かランキング入りしております。


ありがとうございますm(_ _)m


感想も、いつもありがとうございます!実は作中はまだ冬の終わり頃ぐらいという亀の歩みです。

ネタは機会があれば使わせてもらいたいですが、作中が夏になる頃は真冬かもです(*´艸`*)


本題ですが、本日2話更新です。どちらから読んでもらっても問題ない……はずです。


同じ事象に対する違う陣営での出来事……みたいな感じです。


こちらはジルヴァラ側です。



「ん?」



 とある理由から大っぴらに外出しない方がいい感じの俺は、屋内でプリュイと戯れていたのだが、動物達が騒ぐ声が外から聞こえてきた気がして動きを止める。


「ジル? ドウかしまシタか?」


 急に動かなくなった俺にプリュイが心配そうな声で問うてくるが、耳をすませて外の音の集中したい俺は、唇の前に指をあてて「しーっ」と言いながら庭へと続く掃き出し窓へと近寄る。

 聖獣の森へ里帰りへ立つ前は雪で覆われていた庭は、すっかり雪がなくなって芝生の緑に覆われている。

 ちらりと確認したが、雪だるまの目などに使ってあったキラキラした石は何処にも見当たらない。

 プリュイが回収してくれたのかと一瞬違う方へ飛びそうになった思考は、遠くから聞こえた聞き覚えのある鳴き声で引き戻される。


「あの声って、聖獣の森のロック鳥?」


 声に出して呟いてから、内心で即否定する。

 あのロック鳥は、王都近くの森にいるロック鳥よりかなり大きい。

 王都近くまで飛んできてるとしたら、王都はパニック映画さながらな状況になるだろう。

 気のせいだなと一人で納得してうんうんと頷いた俺は、不思議そうにふるふるしているプリュイへ何でもないと笑いかける。

 そこへノワを背中に乗せた翼猫がふわふわとやって来る。

「ぢゅ」

「にゃう」

 それぞれ一声鳴いてノワは定位置の俺の肩へ移動し、翼猫はソファの上に着地する。

 翼猫はちらちらと俺の方を見てくるが、今の俺には翼猫を長時間抱え続けているのは少し辛い。

 ましてやノワを真似て肩に乗られたら、そちらへ体が傾いでしまうだろう。

 某ポケットなモンスターの主人公みたいに相棒を肩に! は憧れなくはないが、ちょっと待ってもらわないと無理だ。

「俺がもう少し大きくなったら、肩に乗せて散歩に行けるんだけどな」

「にゃうん」

 期待しないで待っててやると言いながらも、少し落ち込んでいた表情がわかりやすくキラキラとしたので良かった。

 翼猫からはその流れで、ブラッシングさせてあげてもいいと許可をもらったので、プリュイからブラシを持ってきてもらい、ソファに腰かけてブラッシングをする。

 ソファに腰かけた俺の足の上に、でろんと伸びている翼猫。

 翼猫は綺麗な長毛の持ち主なので、ブラッシングは念入りにさせてもらう。

 万が一毛玉なんて出来たら申し訳なさ過ぎる。

 あとその光景を想像すると、もれなく猫の下僕だった前世の友人の理詰めで怒ってくる顔が思い出されてしまい、ちょっと背筋がゾクゾクしてしまった。



 そんなこんなで翼猫を念入りにブラッシングして「まぁまぁだね」という一応の合格をもらった後、何故か対抗心を抱いたらしいノワをブラッシングしていると、玄関のチャイムが鳴らされる。

 主様はアルマナさんの所へ出かけているので、プリュイが来客の対応へと出てくれた。

 しばらくして戻って来たプリュイは、一人ではなく来客と一緒だった。


「あいつはいないようだな」


 開口一番、疲れ切った表情でそんな言葉と共に入って来たのは、久しぶりに会うフシロ団長だ。


「おかえり、ジルヴァラ」


「フシロ団長、ただいま!」


 躊躇なくパタパタと駆け寄るといつも通り抱き上げられ、こちらもいつも通りな頬擦りをされる。

 つるつるの主様とは違う顎髭でジョリジョリする頬擦りに俺がけらけらと声を上げて笑っていると、初対面の相手へ翼猫が警戒心MAXのフシャーッ付きで威嚇の体勢をとっていることに気付く。


「大丈夫だよ、この人はフシロ団長っていって、強くて優しい騎士さんだから」


 フシロ団長に抱っこされたまま、へらっと笑って翼猫へ説明すると、少しだけ警戒を解いてくれたのか、フシャーの声だけは止めてくれたが眼差しは不審者を見ているような眼差しな気がする。

 ま、まぁ、とりあえず突然襲いかかる心配はない……はず。

 ほんの少し不安を抱いたが、今はそれより気になることが出来てしまい、俺はフシロ団長の顔を覗き込む。

 疲れ切っているように見えた顔には、焦りや不安の色も混じっているようで、俺もなんだか不安になってきてフシロ団長へぎゅっとしがみつく。

「ん? どうした? 里心でもついて、養い親が懐かしくなったか?」

 三人の子持ちなフシロ団長は、動じる様子もなく優しい笑顔で俺をあやすように軽く揺さぶりながら、そんな声をかけてくれる。

 しかし、その声も何か張りがない気がする。

「……なんか、フシロ団長疲れてるみたいだなぁって」

 俺が抱きついても癒し効果はないだろうが、俺の方が不安を解消したくて抱きついてしまったので、照れ臭さから自然と小さな声になってしまう。

「心配してくれたのか、ありがとうな。……これから、あいつを説得するのを思うと、気が重くてな」

 俺の小さな声をフシロ団長はからかったりすることはなく拾ってくれ、優しく頭を撫でてくれた後、苦笑い混じりで何事かを呟いた。

 心配したことに対するお礼と……その後はボソッと呟いただけなので、近くにいた俺の耳でも聞き取れなかった。

 無言でフシロ団長を見上げてみたけど、返ってきたのは苦笑いとぐりぐりと頭を撫でる大きな手のみ。

 言い直さないってことは、ただの独り言だったんだろうと納得した俺は、こちらも誤魔化すようにへらっと笑っておく。



 その後、ソファへと移動したフシロ団長の膝上に乗せられ、促されるまま道中の思い出を語っていったのだが、徐々にフシロ団長の眉間の皺が深くなっていき、最終的に深々としたため息がその口から吐き出される。

「フシロ団長?」

「……ジルヴァラは何も悪くないのはわかっているんだが」

 そんなことを言われて頭を撫でられていると、微かな衣擦れの音と聞き慣れた足音が近づいて来て、俺の体はふわりと浮かんで足音の主──主様の腕の中へと収まっていた。


「主様、おかえりなさい」


 へらっと笑って出迎えの挨拶を口にすると、主様はぽやぽやと微笑んで少し考え込んでから口を開く。


「……私のロコです」


 ただいまの代わりなのかよくわからない頬擦りを受けながら、フシロ団長の方をチラ見すると、機嫌は良さそうだなと主様の機嫌を気にしているような独り言を洩らしている。



 しばらく無心で頬擦りされていると、タイミングを見ていたらしいフシロ団長が静かに近寄って来る。

「あー、お前も状況はわかっているな? それでジルヴァラの力を借りたいんだが……」


「へ!? 用事があったの俺だったのか?」


 おとなしく主様とフシロ団長のやり取りを聞いている予定の俺だったが、思いがけず自分の名前が出たことに驚いて声を上げてしまう。

 声を上げた瞬間二人分の視線がこちらへ向いたので慌てて口を手で覆って小さく頭を下げたが、主様もフシロ団長も気にした様子もなく微笑ましい眼差しで俺を見てくる。



 余計いたたまれなくなってしまった俺は、主様の服に顔を埋めてしばらく軽い現実逃避をしたのだった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます(^^)皆々様のおかげでランキング入りし、うわうわ状態になっておりますm(_ _)m


拙作の中で、2番目にさらわれやすいサイズ主人公です。

1番目は緑の手の幼女です(*´∀`)


特に深い意味はありません。

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