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39話目

一回、もっとボコボコにされる感じにしたら、主様に即犯人が抹殺され、城が半壊したので消しました。


あと、書いててさすがにストレスが←


主様には、ジルヴァラは相当か弱く見えるんでしょう。

「ロコ」

 まるで最初から居場所がわかっていたかのように、青年は庭の隅で一人きりで倒れていた小さな子供をあっという間に見つけて駆け寄り、優しく抱き上げる。


「……ロコ!」


 抱き上げて揺さぶっても反応のない子供に、青年が常にない大声で青年しか呼ばない特別な名で子供を呼ぶ。

 それが届いた訳ではないだろうが、子供の瞼が震えて、銀の瞳が青年の夕陽色を映し込む。

 いつも元気いっぱいで生命そのものな輝きを宿す瞳は、今はくすんでしまっている。

「ごめん……もっと、うまくやれる、とおも……た……っ」

 悔しそうに弱々しく笑って呟いた子供だったが、すぐに咳き込んで言葉を途切れさせ、最終的にごぽと鮮血を吐き出して再び目を閉じて動かなくなる。


「本当に、人はすぐ死んでしまう……」


 泣き笑いのような顔をして子供を抱き締めた青年が呟くと、それが聞こえたらしいタイミングで忙しない足音が近づいて来て、その足音の主が勢いのまま青年の後頭部を張り飛ばす。


「勝手にジルヴァラを殺さないでください! エプレの毒はきちんと対処すれば大丈夫です! きちんと伝えてくださった殿下に感謝なさい!」


 それは相変わらず青年に対して一欠片の遠慮もない、ある意味最強な医師であるドリドルだった。

「……大丈夫なんですか?」

 いっそ幼く見えるぐらいのきょとん顔の青年の腕からジルヴァラを取り上げ、テキパキと処置をしていくドリドル。

 もう青年の事は視界にすら入れていない。

「どうやら、食べてすぐ吐いた……というか、誰かに殴られたか蹴られた? 一体、誰がどうして……。しかし、それが良い方へ転がったんですね」

 血と吐瀉物で汚れたジルヴァラの服を脱がせ、痛ましげな表情をしながらも素早く検分したドリドルは、そう診断を下すと早速治療へと移る。

 ドリドルが鞄から取り出したのは、かなり太めの注射器だ。

 ジルヴァラの意識があれば、真っ青な顔をしてぷるぷるしていただろうサイズ感だ。

「どうして、ただお茶会に参加しただけなのに、エプレなど口にするんですか……」

 力なくポツリと洩らしたドリドルに、ジルヴァラの意識があれば、主様がフラグ建築士だからだよ、と内心突っ込んだろうが、今のジルヴァラはほぼ死体にしか見えない様相でぐったりしているのみだった。




 応急処置を終えて、ひとまず死の危機を乗り越えたジルヴァラだったが、青年が意識のないジルヴァラを抱き締めて離さなくなってしまったため、そのまま自宅で療養することになった。

 下手に引き離そうとした結果、庭の一角が焼け落ちたというか溶け落ち、ドリドルすら青年に近づくことも出来なくなった。

「解毒は成功しましたが、エプレの毒で体の内側はかなり傷ついてます。一日三回、この薬を必ず飲ませてください。ジルヴァラを失いたくないなら」

 子連れのクマ状態な青年にも、庭の惨状にすら怯まないドリドルは、逆に青年を脅しつけて近づき、処方した薬を持たせる。

「何があるかわかりませんから、決してジルヴァラから目を離さないでください」

 強く言葉を重ねたドリドルに、青年はぼんやりとした表情ながらコクリと頷いて、ジルヴァラをしっかりと抱き締めていた。

「で? あれはジルヴァラから離れないでしょうから数日は稼げますが、ジルヴァラが目覚めたら最後、即犯人……下手すればお茶会参加者達まで殺されそうですが?」

 ジルヴァラの安全という強力な足枷をつけて青年を送り出したドリドルは、まさに憤怒という表情でやって来たフシロを睨みつけている。

「いや、さすがに……しそうだな、あいつなら」

「私に力があるなら、私も犯人をぶっ殺したいところです」

「止めてくれ、と言いたいが、正直俺も同じ気分だ。ジルヴァラが助かって良かった。ドリドルがいてくれてよかったよ。本当にありがとう」

「私はなすべき事をしただけです。助けられたのはグラナーダ殿下が、すぐにエプレを食べた事に気付いてくださり、私へ伝えてくださったからです」

「大人しすぎると評す者も多いが、聡明で素晴らしい方だ」

 フシロがそう呟くのは、グラナーダの判断により、ジルヴァラへ起きた悲劇は痛ましい事故として広げられ、真実を知るのは一部の人間と犯人のみとなったからだ。

 事件現場となったお茶会会場の庭で真実を知る数少ない一部の人間であるフシロとドリドルがそんな会話を交わしていると、息を切らさたオズワルドが駆け込んでくる。

「お話中、失礼いたします! あの、ジル……ジルヴァラが、襲われて倒れたというのは本当ですか!?」

「大声を出すな、オズワルド。……落ち着いて聞け。ジルヴァラは害意ある者にエプレの実を食べさせられた。ドリドルが適切な処置を行ったので、今は命に別状はない」

「この話は一部の者しか知りません。あなたはジルヴァラと仲が良いですから話しますが、決して口外しないように……」

 フシロとドリドルからの説明を聞き、固い表情をしたオズワルドはもちろんです、と大きく頷くが、その瞳には隠しきれない怒りが滲んでいる。

「一体、誰が何のためにジルを……っ」

「誰か、まではわかってますが、彼がそこまで幻日様を憎んでいたとは思えません」

「最近色々な意味で目立っているフーリッシュ男爵だったか。目撃者にはグラナーダ殿下もいらっしゃる。間違いはないだろうが……」

 重々しい二人の会話を脇で聞いていたオズワルドは、出て来たとある名前に反応してポツリと呟くと、顎に手をあてて考え込む体勢になる。

「フーリッシュ男爵……?」

「おや、オズワルドは知り合いでしたか?」

「顔だけは悪い噂と共に知っています。オレ……じゃなくて……私は本日休暇で、出かけた先でフーリッシュ男爵とすれ違ったのですが、その際先日野営地で見かけた不審な冒険者風の男と一緒でした。ジルがエプレの実を食べさせられたとなると、実の入手先はその冒険者ではありませんか?」

 オズワルドの推理に、ドリドルは同意を示して頷いて見せる。

「確かに、エプレの実は正規のルートでの取り扱いはないでしょうから、可能性は高そうですね」

 ふむ、と一人納得した様子のドリドルの横で、フシロの表情はさらに暗くなる。

「フシロ団長? どうしましたか?」

 それに気付いたドリドルが、表情を引き締めてフシロを窺って不安を隠さず問いかける。

「いや、俺の気の回し過ぎならいいが、こんなあからさまな犯行をして、言い逃れる術を考えてあったとしたら、それは男爵一人で何とか出来るようなものではないだろう。そう思ってたところに、オズワルドの話を聞いて、まさかと思ってしまってな」

「私の、話ですか?」

「そうだ。野営地で見かけた冒険者と、男爵と共にいた冒険者が同じ男となると、ずっと気にかかっていた点と結びつく」

「それは、なんですか?」

 険しい顔で訊ねて来るオズワルドに、フシロはこちらも険しい顔で顎髭を撫でながら、視線をあの青年の屋敷の方へと向けて口を開く。

「ジルヴァラが捕らえられていた小屋を調べた時、小屋の中には最低でも四人の人間のいた痕跡があった。しかし、あいつが焼き払った死体は三人分だ。一人足りないんだよ」

「まさか、あの組織の生き残りがいて、壊滅の原因となった幻日様へ復讐をしようとしていると?」

 信じられないという表情で首を振ったドリドルに、フシロは肩を竦めて苦笑いする。

「あくまで可能性だがな」

 そこで仮定の話は終わり、オズワルドは「ジルの所へ用事ができたらオレに言ってください!」と言い残して走り去った。

 オズワルドの背中が見えなくなると、フシロは物言いたげな顔をしたドリドルへ視線を戻してニヤリと笑う。

「……組織自体は壊滅したが、腐った繋がりは全て辿れた訳では無い。この際だ、膿は出せるだけ出させてもらおう」

「やはり、そういうことなのですか。でなければ、いくら馬鹿でもやりませんよね」

 深々とため息を吐くドリドルの表情には、隠す気のない苛立ちが滲んでいる。

「馬鹿に失礼だろ。──あいつは、ただの間抜けな道化の外道だ」

 どう辿っても破滅の道しか残っていないだろう相手へ同情の一欠片もなく、フシロはふんと鼻を鳴らして好戦的に一人ニヤリと笑顔を浮かべていた。

いつも、いいねありがとうございますm(_ _)m


ストレスにかかるところなんで、さっと駆け抜けて、溺愛パートに戻りたいです(*´Д`)


フシロ団長は、一応頭脳派熊さんです。オズワルドは騎士見習いですが、攻略対象者になってるぐらいなんで、たぶんなんかあります←

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