330話目
感想ありがとうございます!
大丈夫です!(え)ジルヴァラならフィルターかかってるんで、多少ハァハァしてても「具合悪いのか?」で済ませてくれます(^^)←
そして、ジルヴァラとぽやぽやの温度差に風邪をひきそうです。
洩れ出た独り言のせいで危うく閉じ込められた俺だったが、事態はあっという間に好転することになる。
どうしてそうなったかというと……。
ちりんちりんと音の鳴る首輪を嵌められた俺は、小脇に抱えられて見慣れない廊下を進んで何処かへ運ばれていく。
「なぁ! 主様には迷惑かけないようにするから! それでも駄目なのか!?」
先ほどからまた主様が無反応になってしまい、俺は声を張り上げて体を揺すって存在感をアピールする。
何度か繰り返すと、やっと主様の目がこちらを向く。
その美しい宝石色の瞳にはゾッとするぐらい感情がなく、まるで精巧な人形の瞳に見つめられている気さえする。
覚えそうになった怖気を抑え込み、俺はキッと主様を睨みつける。これぐらいはっきりと主張しないとわかってくれなさそうだから。
「──私から離れることは許さない」
「へ?」
低く囁かれたのはとても真剣な重みのある言葉だったが、あまりにも想定外過ぎて俺の口から溢れ出たのは間の抜けた一音のみ。
で、俺を小脇に抱えた主様を、目を見張って見つめる。
主様はとてもシリアスな雰囲気で俺を見ているが、なんだかとてもとても気の抜ける話になりそうな予感を覚えて、俺はゆっくりと瞬きを繰り返す。
その間に目的地に辿り着いてしまったらしく、主様は頑丈な南京錠の付いた見覚えのない扉へ手をかけている。
そこには俺でもわかる魔法陣的な物がでかでかと描かれていて、物理的にも魔法的な意味でも入ることが出来なさそうだ。
そんな扉がガチャリと重々しい音と共に開かれ、部屋の中が見え始め──た辺りで、
「ロコの為に用意を──「あのさ、里帰りってさ、ずっと向こうにいる訳じゃなくて、ちょっと帰って過ごして、ここへ帰ってくるんだけど……」」
妖しげに瞳を輝かせた主様の台詞をおずおずと遮って俺が説明を始めると、何処から高速で伸びて来た青色が開きかけていた扉へとぶつかって、扉は少し開いただけでバタンッと勢いよく閉じてしまう。
それを見届けた青色……プリュイ(触手)は、何事もなかったように高速で引っ込んで見えなくなる。
「…………ロコはここへ帰ってくる?」
扉が閉まったこととプリュイ(触手)の動きに驚いていた俺は、主様のきょとんとした声を聞いて慌てて主様を見る。
そこにいたのは、え? という言葉を体現した表情で俺を見ている主様で。ひとまず俺は大きく頷いてみせてから、口を開く。
「俺に帰って来て欲しくないのか?」
今までの反応見る限りそんなことはないだろうと思ったが、念のためしっかりと確認しておかないと。
里帰りの認識にしても、きちんと話さないとこうやってズレてたりしてるっぽいもんな。
「…………森へ帰したら、もうここへは戻らないと思いました」
「えぇとな、世間一般の里帰りって、ちょっと故郷へ帰って懐かしんで、それで今の住処へ帰って来る感じだと思うぞ?」
小脇に抱えられたままへらっと笑ってみせる俺だったが、ふとあることに気付く。
それぞれの状況で差異はあるだろつが、俺の認識してる里帰りが世間一般で…………って、もしかしたらこの世界の里帰りって違うのか?
そんなことを今さらながら考えたりもしたが、エルデさんの口ぶりからすれば俺の認識してる里帰りと一緒だな。
一応心配だから、明日エノテラさん達に聞いてみればいいか。
あの人達は良い意味で普通だから、普通の人の認識してる里帰りがわかるはず。
「そろそろ寝ましょう」
俺が里帰りについての考察をしてる間に、すっかり落ち着いていつものぽやぽやへと戻った主様によって俺は自室へと運ばれて行く。
どうやら夕方からの主様の奇行は、分離不安的な過保護をこじらせた結果だったらしい。
俺の体勢も小脇に抱えられた落ち着かない状況から、いつもの縦抱っこの体勢へと落ち着く。
いや、一応もう六歳なんだから、縦抱っこ落ち着くのも問題だよな。
『普通の里帰りとはなんだ』問題から縦抱っこは何歳まで問題ないかという問題へと移動した思考の中、俺は主様の肩上に顎を乗せて背後を見ていた。
ぼんやりと眺めている視界の中、見慣れない廊下がぐにゃりと歪み、驚いて瞬きをして次に見た廊下はいつもの廊下で。
真っすぐ伸びた長い廊下の何処にも、あの重々しい扉は見当たらない。
あの部屋は何?
喉まで出かかった問いを俺はそっと飲み込む。
少しだけ開いた扉の隙間から見えた部屋の中に、大きな鳥籠みたいな物が見えたのは俺の見間違いだろう。
あんな大きな鳥籠なんてある訳ない。
まるで人でも飼えそうな、そんな大きな鳥籠なんて。
そうひっそりと笑っていた俺だったが、はたと気付く。
「あ、ロック鳥か」
主様ならあの大きさの鳥籠持っていてもおかしくないのか。
主様の肩に顎を乗せて一人で納得していた俺は、通りすがったプリュイから生温かい眼差しで見られていたことに気付かなかった。
そんな俺の首元では、嵌められたままの首輪の鈴がちりんちりんと音を立てているのだった。
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