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326話目

ルフトさんの名前を高確率で間違えます←


見つけたら教えていただけると助かりますm(_ _)m



「いや、その、もしかしたらだけど、親が冒険者とかで、あそこで襲われて力尽きたのかもしれないし……」


 少しゲームとは違うとはいえ、ほぼ乙女ゲームのメインヒーローしてるエノテラさん。

 そのエノテラさんを、実の祖父母のように可愛がる二人。


 そんな良い人達であろう三人が聞けば怒るのは当然だろう。もう少し頭を回すべきだったと思いながら、俺はしどろもどろで思いついた他の仮説を口にする。


「夫婦で冒険者だったとしても、乳飲み子は連れ歩かず乳母を頼んで置いていくか、夫だけで依頼を受けたりすると思うが……」


 困った顔をしたエルデさんから至極真っ当な反論が出てしまい、俺もそうだよなと内心で納得してしまう。

 万が一冒険者で乳飲み子を連れ歩かなければならないって、かなりの訳アリだよな。


「行商をされてる方が、モンスターや盗賊に襲われてしまったんじゃないかしら」


「ふむ。ありえそうじゃな」


「その場合は……親が命がけで子供だけを逃がしたことになるのか」


 エノテラさんとおじいさん達はというと、自分達の立てた仮説で重苦しい感じの雰囲気になってしまっている。

 正解は出ない話なのでサラッと流してもらいたい。

 両親の記憶なんてもともと無いし、熊をはじめとする動物達との暮らしは毎日楽しかった。

 主様に勢いでついてきてしまったから、たまに帰りたくなる程度には故郷感あるし。

「俺はこうして五体満足で元気にしてるんだから、例え捨てられたんだとしても気にしてないよ」

 暗い雰囲気を吹き飛ばそうと、ふんっと気合を入れて元気アピールをしてみると、やっと少しだけ空気が和む。

「さっさと草刈り終わらせて、昼ご飯にしようぜ! 俺、お腹空いちゃったよ」

 そうやっておどけてみせれば、ルフトさん以外の面々にやっと笑顔が戻る。

 ルフトさんは…………まぁ、元から表情の変化わかりづらいからな。




 ルフトさんから降ろしてもらい、熊手を使うことを諦めた俺は、エルデさんとエノテラさんが集めてくれた草を抱えて、指示された場所へ集めるという作業をしていく。

 草を抱え過ぎてよたよたしてるように見えて心配なのか、ルフトさんがずっと俺の後ろをついて回っているのには気付いている。

 心配してくれてるんだろうが、おばあさんの微笑ましげな表情が照れ臭いので、止めるべきか悩んでいる。

 しかし、振り返ってちらりと見えた「私がいるからな」とばかりの自信満々な表情を見てしまい、何も言えず作業を続けることにする。

 途中、ルフトさんが「!?」という表情になった後、集めた草を運ぶのを手伝ってくれたので、想定より早く終わった。

 途中の表情の理由は、自分が手伝えば良いのでは、と気付いたんだろう。

 運び終わってからルフトさんへお礼を言うと、微かに微笑んで頭を撫でてくれる。

 やたらと頭を撫でてくれるのは、ルフトさんが森の守護者のメンバーの中で一番小柄だから…………とか考えたら失礼だな。

 周りがちょっと大きいだけで、ルフトさんはその平均より小柄なだけだ。というか、今現在、ルフトさんよりかなり小さい俺が考えることじゃないよな。




「うふふ。今日もジルヴァラちゃんがお弁当用意してくれるって聞いてたから、それに合わせたのよ?」

 そろそろお昼時という頃、悪戯っぽく笑ったカエルラさんから手を引かれて室内へ入ると、昨日より品数は少なめだが美味しそうな湯気を立てる料理が並んでいる。

「本当に俺達も良いのか?」

 予定外の客であるエルデさんとルフトさん……は無言でだけど、二人が揃って玄関先で恐縮していると、後ろから来たおじいさんに背中を押されて室内へ入って来る。

「暖かくなってきたとはいえ、外は寒いんじゃ。さっさと入れ」

 そんな照れ隠しバレバレな言葉と共に。

「うふふ、おじいさんったら。……私ったら張り切りすぎて、少し作り過ぎちゃったの。減らすの手伝ってもらえると助かるわ」

 そう言って優しく笑うおばあさんの言葉が最後の一押しとなり、エルデさんとルフトさんは椅子に腰かけて食卓を囲む。

 俺の方はと言うと、軽すぎると文句を言うおじいさんによって持ち上げられ、先に椅子へ座らされていたりする。

 なので俺の持ってきた弁当は、エノテラさんの手によっておばあさんの料理の並ぶ食卓へ出されることになった。

 俺の弁当に合わせたというおばあさんの料理は、昨日とは違ってメイン系が控えめでスープとかが豪華になっている。

 確かに弁当でスープつけるとは難しいよな。

 前世ならカップスープとか、カップラーメンとかあたたかい汁物簡単に用意出来てたけど、今は難しいからスープは嬉しい。おばあさんのスープ美味しいし。

「ありがとう! いただきます! んー、美味しい!」

 せっかくなのであたたかい具だくさんのスープからいただく。

 今日はコンソメっぽい味付けでポトフっぽくて、文句無しに美味しい。

 無言ではふはふしながらスープをがっついていたら、何か全員から微笑ましげに見つめられていた。

「な、なに……? 何かおかしい?」

 思わずスープ皿を抱え込むようにすると、隣に陣取ったエルデさんの手が伸びて来て頭を撫でられる。

「すまない、取ったりしないからゆっくり食べてくれ。あまりにもジルヴァラが食べる姿が可愛くてな」

 笑みを含んだエルデさんの言葉におじいさんも……エノテラさんまで小さく頷いていて、俺は苦笑いしながら、

「なんだよ、それ。皆も食べろよ、俺の弁当は冷めたりしないけど、おばあさんの料理はあたたかい方がより美味しいからな」

とわざとらしく偉ぶって言って、食べ始めていない面々を睨みつける。

「うふふ、そうね。冷めないうちに食べましょ。あらあら、今日のジルヴァラちゃんのお弁当も美味しそうね」

「ふむ。今日はサンドイッチもあるんじゃな」

 仲良しご夫婦が笑い合いながら「いただきます」と俺の用意した弁当から、それぞれサンドイッチとおにぎり、それとおかずを数品皿へと盛って食べ始める。

「俺達もいただこう」

「ん」

 エルデさんとルフトさんも、俺の弁当から数品を皿へと盛って、おばあさんのスープと共に美味しそうに食べている。

 俺の弁当も口に合っているようで良かった。

 減っていく弁当の中身をちらちらと見ていたら「美味いぞ」と誉められてしまい、照れ臭さから視線を外すと、またおにぎりをガン見しているエノテラさんに気付く。

 その表情を見る限り、本当におにぎりが苦手らしい。

「無理に食べなくて良いよ。今日は、サンドイッチも作ってきたからさ、食べてみてくれ」

 人間好き嫌いがあるのは当然だ。俺だって食べられはするけど、雲丹が嫌いだ。

 だからもちろん責めたり、ヒロインなら言いそうな「好き嫌いは駄目よ!」なんてやり取りはするつもりはない。

「俺が苦手だから、か……?」

 エノテラさんはバツが悪そうな顔をした後、俺の言葉に軽く目を見張って不思議そうに俺とサンドイッチを見てくる。

「俺はどっちも好きだからな」

 あくまでも俺が食べたくて作りたかった体でへらっと笑って答えると、エノテラさんは「ありがとう」と小さく口にしてからサンドイッチへ手を伸ばす。

 エノテラさんが手に取ったのは潰した玉子をマヨネーズで和えた定番なサンドイッチだ。



「……美味いな」



 思わずといった風に洩れたエノテラさんの言葉は、飾られてない素直なもののようで、下手なリアクション芸人みたいなコメントより気持ちが伝わってきて──俺はえへへと込み上げる嬉しさから頬を緩めるのだった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます(^^)反応いただけると嬉しいです(*^^*)


影が薄い後見組を出してあげようと、エルデさんとルフトさんに登場いただきましたが、あまりに影が薄くて名前を忘れ(え?)挙げ句に間違える(笑)


たぶん主様も草刈りを魔法で出来ます。基本的に強力過ぎる主様の魔法ですが、きちんとこうしてくれとジルヴァラが頼めば出来る………………ハズです。

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