309話目
感想ありがとうございます! ヒドイン(笑)
とても素晴らしい呼び名をいただいちゃいました(*ノω・*)テヘ
ジルヴァラが完全にヒロインちゃんを敵判定したら、「お前なんかヒドインで充分だ!」とか叫ばせるのもありですねー(え)
メインヒーローに関しては後書きにて。
「……確かに安静にしてろって言われたけどさぁ」
さすがドリドル先生。主様はきちんと指示に従ってる。
おかげで俺は机に向かっている主様の膝上から降ろしてもらえてない。
唯一トイレの時だけは降りられるが、プリュイ付きだ。
主様について来てもらうとトイレに入って来たがるので、こちらはプリュイにお願いしたのだ。
「プリュイ、飴とかあったっけ?」
お腹が空いた訳では無いが、口寂しさを覚えた俺は、徘徊していたプリュイ(触手)へ声をかける。
俺が声をかけると、プリュイ(触手)はピタッと動きを止め、何か迷うにゆらゆらとしてから器用に傾いた十字──所謂バツマークを触手で描く。
「そっか。昼ご飯まで我慢するから、気にしなくて良いよ」
バツマークになった後、気遣うように頬へ触れて来たプリュイ(触手)を軽く掴み、すりすりと頬擦りをしてから離してへらっと笑いかける。
気を使わせちゃったなぁとプリュイ(触手)を見送っていると、書類仕事をしていたはずの主様の手が降りてきて、俺の顔を掴んで指先で唇をなぞってくる。
「あに?」
主様の指先から唇をふにふにと押されるので喋りにくいが、気になったので簡潔な問いを発する。
それに対して返ってきたのは簡潔な一言。
「口を開けて」
これで指を突っ込まれたら、ピンクっぽい漫画の導入場面みたいだよなぁとか馬鹿みたいなことを考えながら素直に口を開けたら、本当に指を突っ込れ目を見張る羽目になる。
「あう……っ?」
びっくりしたせいで反射的に声が出たが、突っ込まれた指のせいで上手く言葉にならない。
「ぢゅっ!?」
俺の異変に気付いたテーミアスが飛んで来て、前足をぶんぶん振り回して主様へ文句を言っている。
「…………どうぞ」
まさか口寂しいなら指舐めてろってことかと目を白黒させていると、口内に甘い味が広がっていき、主様の指はもう一度唇をふにふにと弄んでから離れていった。
そして、俺の口内にはコロコロとした甘い物体が残される。
「……ありがと。出来れば普通にくれよ」
なんで口内へ直に突っ込んだんだろう。
脱力しながら、貰った飴を口内で転がしていると、主様はドヤッとした表情をして先ほどまで俺の唇へ触れていた指を自らの口元へ持っていく。
「間接キスというものを習いました」
誰から? と一瞬思ったが、そんなことを主様へ教えそうなのは、きっとソルドさんとかアシュレーお姉さんあたりだろう。
唇を指でなぞりながら、無駄に色気を駄々洩れさせている主様から視線を外し、俺はカラコロと口内で飴を転がす。
というか、習ってどうするんだ? とか、何でそれを俺で実践してるんだよ? とか思うところはどんどん湧いてきたが、突っ込むと藪蛇案件ぽいので、俺はおとなしく飴を舐め続けていると……。
「口を開けて」
なんか既視感満載なことをぽやぽや笑顔な主様が言い出した。
微妙な気分になりながらも素直に口を開けると、ぐいっと顎を掴まれて口内を覗き込まれる。
歯磨きはきちんとしてるし、虫歯も無い綺麗な歯ですとドリドル先生から太鼓判を押してもらっているが、ジロジロ見られるのはちょっと恥ずかしい。
そんな気持ちから目を伏せて視線を外してると、また口内にダイレクト飴玉補給された。
これ俺だから大丈夫だけど、同じぐらいの大きさの子供に同じことしたら下手すれば飴玉喉に詰まらすかも。
「主様、小さい子に飴玉あげる時、気をつけないと喉に詰まらせる……っ」
かもと続けるはずだった台詞は、一度離れたはずの主様の手で顎を掴まれたせいで途切れてしまう。
「あに……?」
「喉に詰まらせる、と……」
主様の中で俺は『小さな子供』に分類されてるのか……と一瞬凹みかけたが、改めて考えなくとも今の俺は六歳児。紛うことなき『小さな子供』だった。
「喉に詰まらせたら助けてくれよ」
自分の発言で凹んだ自分に苦笑いしながら、言外に今は大丈夫だと告げると、やっと主様の手が顎から離れる。
それでも気になるのかちらちらと俺を見ていた主様は、
「口の中へ指……いや、舌を差し込んで取れば良いのか……?」
と、若干不安になる呟きを洩らしていたが、聞こえないふりをしておく。
だが、ふと気付いたことに不安になった。
子供には優しい主様だから、何処かで喉を詰まらせた子供がいたら今の呟きを実行するんだと。
その事実は思いの外、じりじりと胸を奥を焼く感じがする。
これは子供の純粋なヤキモチなのか、それとも……。
「……でも俺以外には、あんまりしないで欲しい」
悩んでいたら、思い切り本音が口からポロリしてしまい、俺はハッとして口を手で覆い、おずおずと主様の顔を下から仰ぎ見る。
ワンチャン聞こえてないと良いなぁと思ったが、こちらをガン見している宝石色の瞳とばっちり目が合ってしまったので無理らしい。
「ロコ以外にする気はないですが……」
「へ……そうなのか……」
現金なもので、きょとんとした主様からの答えに安堵してへらっと笑ってその胸元へピタリと額を寄せていた俺には見えなかった。
俺を見て妖しく微笑んでいた主様の表情なんて。
●
「ロコ、口を開けて?」
何度目かわからない飴追加の合図に、俺はへらっと笑ってからグッと唇を引き結んで首を横に振る。
「ロコ?」
不服そうにして俺の唇を指でなぞってくる主様に、目線で時計を示して口の端を上げる。
喋って答えたいところだが、少しでも口を開けたら飴と指が入ってきそうなので仕方ない。
「時計がどうかしましたか?」
ばっちり通じてないからどうしようかと思っていたら、控えなノックと共にてちてちとプリュイが入ってくる。
「ジル、そろソロお昼ゴ飯デスが……」
気遣いの出来る魔法人形なプリュイは、やって来るタイミングもばっちりなようだ。
「ん! じゃ、主様、俺昼ご飯の準備に行くから!」
勢いで宣言した俺は、プリュイへ向けて腕を伸ばし、察してくれたプリュイの触手によって捕獲されて主様の膝上から移動する。
しかも、プリュイは抱っこされません宣言を覚えていてくれたらしく、着地先はきちんと床の上だ。
ここまですれば、主様も諦めがついて…………なさそうで、俺へと伸ばした手が寂しそうだが、見なかったことにしてプリュイと共にキッチンへと向かう。
途中、何処からともなくやって来たテーミアスが「ぢゅぢゅ!」とお腹減ったと言いながら肩へと着地する。
いつも思うが、鋭い爪で俺へ痛みを与えることは全くない、気遣い百点満点な登場だ。
「ちょうど昼ご飯だから、少し待っててくれよ」
「ぢゅっぢゅ!」
木の実が食べたいとリクエストされたので、テーミアスの昼ご飯はナッツで良いだろう。
あとは……。
昼ご飯のメニューを考えていると、何か耳元でもぐもぐしてる音が聞こえたのでチラッと横を見る。
テーミアスがもぞもぞとしている何かを間食中だったので、見なかったことにした。
「木の実はデザート枠か……」
ただ何処で捕まえたのかということと、俺の肩の上で食べるのは止めてほしかったなぁと思ってしまったのは仕方ないよな。
いつもありがとうございますm(_ _)m
感想などなど反応ありがとうございます(*^^*)
で、メインヒーローに関してですが、ジルヴァラが推しなため『エノテラ』強調してます。一応、オズ兄とダブルメインヒーローな感じな想定です。
爽やかなお兄さん系騎士として。
年上キャラばかり出したので、おにロリ系ゲームという尖った乙女ゲームとなってしまいました←
という言い訳です(笑)
感想ありがとうございました(^o^)
主様はしれっと色々ジルヴァラを慣れさせていこうとしてます。




