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307話目

ミーフーさんの名前を間違えてて、ギリギリ気付いて直したのは内緒です←


直しきれてない所ありましたら、教えてくださいm(_ _)m



「そういえば、朝ご飯食べてからって……」


 主様の腕の中に戻った俺は、お腹部分で猫(俺)吸いをしている主様の髪をちょいちょいと編みながら、ドリドル先生へ訊ねようとしたのだが……。



「おはようございます! ジルの朝ご飯持って来ました!」



 答えの方がノックと共に爽やかに入って来て、爽やかに俺へと笑いかけ……その表情を凍りつかせる。

「ジル……その顔はどうしたんだ?」

「おはよう、オズ兄。大したことないから心配しないで」

 表情を凍りつかせたオズ兄は、俺の言葉を聞いても納得していないのか、持って来てくれた朝ご飯をテーブルの上へ置いて、俺へと近寄ってくる。

「…………近寄るな」

 主様は相変わらずオズ兄のことを警戒してるのか、俺のお腹部分に顔を埋めたままという締まらない格好で、低く警告の声を発する。

「だから、何でオズ兄を警戒するんだよ。主様のあの魔法で何ともなかったぐらいなんだから、警戒する要素ないだろ?」

 俺が言うあの魔法とは先日主様が使った、子供の悪戯程度の悪事でも静電気ぐらいの痛みはあるという魔法のことだ。

 その魔法が使われた際、悪人と一緒にその魔法を食らってしまったオズ兄は、全く何も感じなかったそうだ。

 オズ兄、根っからの良い人過ぎるよな。

 そういえば、あの時、人質になってた子、姿は直接見られなかったけどかなり魔法が効いてたらしいから、相当な悪戯っ子だったのかもしれない。

 だから、あんな悪人達がいるような所へ行っちゃって巻き込まれたんだろうな。

 うむうむと自身の推測に一人で納得していると、いつの間にか朝ご飯は二人分テーブルにセットされていて、俺は椅子に腰かけた主様の膝上に座らされていた。

「ジルにゃん、やっとこっち見たね〜」

 我に返ってしぱしぱと瞬きして周囲を見渡していると、そんな緩い声かけをされる。

 声の主はオズ兄の隣に立つ、オズ兄と仲良しの緩い騎士さんだ。お茶会の時にも色々お世話になったが、今日は主様の分のご飯を持ってきてくれたらしい。

 そんなことより、今さらっと妙な呼ばれ方をした気がする。

「あの……今……」

 指摘したいようなしたくないような。

 そんな気持ちのせめぎ合っている俺に気付いているのかいないのか、緩い騎士さんは緩い笑顔のまま、ここここ、と言いながら自らの頭に触れてみせる。

「ジルにゃん、可愛い黒猫ちゃんだからね〜」

 残念ながら、聞き間違いじゃなかったようだ。

「ロコ……にゃん、あーん」

 主様も真似しないで欲しい。こちらは違う意味で破壊力ヤバい。

「……その呼び方するなら、俺、オズ兄とご飯食べるから」

 これ以上のダメージを避けるため、微笑ましげな顔でやりとりを見ていたオズ兄を巻き込ませてもらう。

「え!?」

 巻き込まれたオズ兄は直ぐ様驚きの声を上げるが、無言の主様の反応はもっと素早かった。

 渡すものかと言わんばかりに、腰に回された腕の力が強くなって、完全にホールド状態になった。

 俺をしっかりと確保した主様は、ぽやぽやを消して警戒心も露わにオズ兄をジーッと見つめている。

 オズ兄は苦笑いしたぐらいで気にしないでくれてるが、オズ兄が警戒される一端は俺のせいかもしれないと、ついさっきの発言を反省する。

「ミーフー、あまりジルをからかうな」

 そこで俺を怒らないオズ兄は、本当に優しいなぁとオズ兄を見ていたら、こちらを見ろとばかりに主様から顎を掴まれて、鼻を噛まれる。

「あはは。だって、ジルヴァラ可愛いんだもん…………あの白いのと違って」

 緩い騎士さんの名前、ミーフーさんっていうんだとか他にも何か気になることを言ってた気もしたが、主様から鼻を噛まれてるし、それを見たテーミアスが怒ってるしで、それどころじゃない。



 最終的にオズ兄と緩い騎士さんは、



「元気があり余ってるようなら、往診に行くので手伝いをお願いしますね」



と微笑んだドリドル先生から連れて行かれ、医務室の中には俺と主様……それとテーミアスだけが残される。


 テーミアス用には、小さく切ったパンとフルーツが用意されており、ドリドル先生が敷いてくれたタオルの上でそれを食べている。

 まだ俺を噛んだことを怒ってるのか、テーミアスからは時々主様への文句が聞こえてくるが、主様はどこ吹く風で楽しそうに俺へ給餌してくる。

「俺、自分で食べられるから、主様も食べろよ」

 途中、何とか主様の隙をついて訴えが、無言のまま却下されたらしく、主様の速度は変わらない。

 よく見ると、合間合間に自分の口にも食べ物を運んでるようなので、食べ損ねてるなんてことはなさそうだが、ゆっくり食べればいいのにとも思う。

 そんな気持ちがやっと伝わったのか、主様はぽやぽやと微笑んで、


「ロコは具合が悪かったんです。世話をするのは当たり前です。ロコは私のロコです」


と翻訳ソフトが翻訳した言語みたいなことを言い出して、湿布が貼られてるのとは逆の口の端を舐められる。


 要するに『具合悪かったんだからおとなしく世話されてな』ってことなんだろう。


 やってる場所が違うだけで、ほとんどいつもと変わらないけどな。

 朝ご飯をごちそうになり、帰る段になってベッドの上で黒猫なガワを脱ごうとした俺を、主様とテーミアスが残念そうに見つめてくる。

 主様はともかく、テーミアスまで残念そうにしているので、俺は黒猫を脱ぎながらテーミアスへ話しかける。

「触り心地良いから、気に入ってたのか?」

「ぢゅっ、ぢゅぢゅ、ぴゃぁ!」

「そっかぁ」

 俺はへらっと笑うと、『それもあるけど、仲間になったみたいで嬉しかった』と可愛いこと言ってくれたテーミアスを両手でもふる。

「ロコ、早く着なさい」

 黒猫を脱ぎ捨てて、パンイチ姿でテーミアスとじゃれ合っていたら、珍しく主様からやんわりと叱られて腕の中へ捕獲されてしまった。

 二日連続冷たい水に入ったから、風邪をひいたらと心配してくれてるんだろう。

 そのまま服を着せてくれようとする主様だが、相変わらず何故か着せるのは苦手なようで、なかなか進まない。



「何をしているんですか」



 結局、戻って来たドリドル先生への腕の中へと移動した俺は、手際良く服を着せてもらってから主様の腕へと戻される。

 いや、普通に着せてもらった身としてはなんだけど、俺は自分で服を着られるからな?

 そりゃ、寝てる時とか意識がないならともかく、起きてる時には自分で着替えてるのドリドル先生も見てると思うんだけど。

「ドリドル先生、一応伝えておくけど、俺は自分で着替えられるからな?」

「…………ええ、わかってますよ?」

 微妙に間の空いた答えと、そっと外された視線。

 たぶん昨日の俺があまりにもふにゃふにゃだったせいで、つい世話を焼きたくなったんだな……と思っておこう。



「もこもこ……」



 そして、主様は相当あの着ぐるみパジャマが気に入ったらしい。

 しゅんとした主様は返すのを渋っていて、ドリドル先生から「ジルヴァラへの贈り物ですから差し上げます」との言葉が出た瞬間、即収納してしまった。

 もうしばらく続く冬の間、俺は自宅では黒猫姿で眠ることになりそうだ。




 その後、オズ兄は一人で戻って来て、

「ジル、黒猫似合ってたよ。怪我、早く治ると良いな」

と爽やかな笑顔と共にそんな言葉をくれて、俺の頭を撫でてくれた。

 ちょうど主様はフシロ団長と話すため少し離れ、俺は一人でベッドに腰かけていたので警戒した主様から拒否られたりすることはなかったが……。



 視界の端でフシロ団長の話を聞きながらこちらをガン見していた。



 オズ兄はもう慣れてしまったのか、困ったように笑ってもう一度俺の頭を優しく撫でてから去っていく。



「主様、オズ兄睨むの止めてくれよー」



 その背中をじっと見送っている主様には一応釘を刺しておいたが、その視線はオズ兄が医務室から出てもそちらから離れることはなく。




「何で、オズ兄警戒するんだろうな?」



「ぢゅっ……」



 わかるかな? とテーミアスに訊ねてみたら、逆に何でわからないんだよ、と返されてしまった。

 どうやらとてもわかりやすい原因があるらしいが、結局テーミアスは教えてくれなかった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます(^^)反応いただけると嬉しいです(*^^*)


やっと黒猫のガワ脱いだジルヴァラです。

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