242話目
まずは、感想ありがとうございます(*´∀`*)
誉められ過ぎて、画面の前でもだもだしております(*ノω・*)テヘ
「この人達は、A級冒険者パーティーのトレフォイル。シュッとしてて優しそうな金髪の人がアーチェさん、紫の髪で美人で優しそうなお姉さんがソーサラさん、えぇと……」
雪合戦の相手をしてもらうために、早速トレフォイルの三人をナハト様達に紹介し始めたのは良いが、紹介する順番を間違えたことにそこで気付く。
何でリーダーであるソルドさんを後回しにしてんだろう。
決して雪に興奮してザクザクと剣で雪を掘ってたから見ないふりをしたかった訳じゃないぞ?
紹介を後回しにしたせいで、ソルドさんが「俺は? 俺は?」と期待に満ちた表情で時分の顔を指差している。
これは下手な紹介をしたら、凹んで使い物にならなくなりそうだし、しっかりと紹介してやらないとな。
ふんすと小さく鼻を鳴らして気合を入れた俺は、テンション高めなソルドさんに警戒心を見せているナハト様がとイオに向かってニッと笑ってみせる。
「最後の一人は、ソルドさん。トレフォイルのリーダーで、見ての通りの剣士なんだ。…………ええと、それで、俺の憧れというか、目標としている冒険者……かな?」
「ジルヴァラ……ッ!」
感激した様子で俺の名前を呼んだソルドさんの背後には、ぶんぶんと振られる尻尾の幻覚が見えそうだ。
アーチェさんとソーサラさんは、予想外だったのか揃っておやとばかりの少し驚いた顔だ。
まぁ、普段の俺からすれば「憧れは主様!」とか言い出しそうだもんな。
確かに主様にも憧れてるけど、魔法が使えない俺の目標はソルドさんだ。
嬉しそうなソルドさんにわざわざ伝えたりはしない。
これで雪合戦の相手を喜んでしてくれるだろうとか考えてる俺は、ちょっと腹黒いかもしれない。
嘘吐いた訳じゃないし、ソルドさんも嬉しそうで嫌な気分になる人間がいないなら、別にいいよな。
雪の上というのを忘れそうになる勢いで駆けてきたソルドさんによって抱き上げられ、もげそうな勢いで頬擦りをされながら俺はそんなことを考えていた。
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満面の笑顔で俺に頬擦りする姿を見て、すっかりナハト様とイオからソルドさん達というか主にソルドさんに対する警戒と……ついでに遠慮が無くなったので、雪合戦の相手を頼んだら二つ返事で頷いてくれた。
「ソルドさん、よろしく」
「行くぜ!」
「お願いしますー」
順番に挨拶をする俺達三人と向かい合うのは、自信満々な笑顔のソルドさん一人だ。
アーチェさんとソーサラさんはというと、俺達側の背後に待機してくれている。
三対三になったとはいえ、どう考えても俺達の方が不利なので、アーチェさんとソーサラさんはこちらへ助っ人
してくれることになった。
ソルドさんの身体能力なら、俺達子供組の投げる雪玉や、接近戦をあまり得手としないパーティーメンバーの雪玉程度で怪我はしないだろう。
そもそも雪玉だし……と何となく主様の方をチラ見したら、軽く雪玉投げて庭に軽く穴を空けてアピールをしていた。
俺は全力で見なかったことにした。
てちてちとプリュイが庭に空いた穴を埋めてくれたようだ。
なんて余計なことを考えていたら、ソーサラさんに腕を引かれてそのふかふかな胸に抱き寄せられる。
「ジルヴァラ、他所見してたら危ないわ」
「ありがと、ソーサラさん」
腕を引かれた時、シュンッて音がしたのは雪玉が通った音だろう。
手加減……してくれてるのか若干不安になったが、俺相手だから少し速めの雪玉を投げただけらしく、ナハト様とイオへ向けて投げられている雪玉はそこまで威力は無さそうだ。
たまに避けきれず当てられてもいるが痛がったりすることはなく、二人共キャッキャウフフみたいな笑い声を上げているし、見守りイケオジコンビも微笑ましげな表情のまま動いてない。
もちろん、顔を狙ったりしないし、ソルドさんの手加減は予想以上に完璧のようだ。
俺相手の雪玉も手加減してくれてるんだろう、たぶん。
たまーに、アーチェさんへ向けてとんでもない速度の雪玉が飛んでるのが見えるし。
その流れ玉が窓ガラスに当たりそうになると、何処からともなく伸びて来た青い触手がひょいひょいと受け止めているので、窓ガラスが割れる心配もなさそうだ。
これはもしかしなくても、プリュイ相手でも雪合戦楽しめたのかもしれない。
まぁ、今日はせっかくだからソルドさんを相手に全力で楽しもうと思い直してソルドさんへ向き直り、ソーサラさんが手渡してくれた雪玉をソルドさんへ向けて投げる。
避けられた。
また投げる。
ドヤ顔で避けられた。
まだまだ投げる。ナハト様もイオも続く。
面白いポーズで、三人分の雪玉を避けられ……時間差で向かっていった四つ目の雪玉がグイッと軌道を変えてソルドさんの腹部へ吸い込まれる。
ドスッという雪玉とは思えない音がして、ソルドさんの表情が歪んでその場へ膝をつく。
「そ、ソーサラ、魔法は反則だろ……」
「あら、そんなの決めてたかしら?」
恨めしげなソルドさんに、ソーサラさんはうふふと楽しそうに笑っている。
どうやら雪玉の軌道が変わったのは見間違いとか魔球とかでもなく、ソーサラさんの魔法によるものらしい。
「この!」
明らかに本気で怒っていない笑み混じり表情で怒ってみせたソルドさんは、バッと体を起こして素早い動きで雪玉を何個もこちらへ投げつけてくる。
もちろん、しっかりと手加減された雪玉だ。
だが、何事にも完璧など存在しないように、全てが思った通り進むことはなく──。
「きゃっ!」
「ヤバ……ッ!」
雪玉を避けようとしたイオが雪に足を取られ、可愛らしい悲鳴を上げて体勢を崩してしまい、そこへ運悪く雪玉が向かう。
ソルドさんが小さく慌てる声を聞き、手加減されてて当たっても痛くないのはわかっていたが、転びかけた女の子が雪玉に当たりそうなのを咄嗟に無視できなかった。
何だろう、男の子の意地? というか見栄?
イオを庇うために飛び出しながら、頭の隅でそんなどうでも良い言い訳を考えて、飛んできた雪玉を格好良くイオに代わって受ける──つもりだったが、当たったのはもろに顔面だった。
「あ……っ」
誰が洩らした呟きかわからないが、その瞬間一気に空気が凍った気がした。
「かっこ悪いなぁ……」
照れ臭さからそう毒づいて顔面の雪を払った俺の手に、ぬるっとした感触が触れる。
「ジル、庇ってくれてありがと……って! 大変!? 鼻血出てる!」
「うぇ……まじかぁ」
イオの驚いた声にぬるっとした自らの手を見下ろすと、確かに真っ赤な液体で濡れている。
そのまま俯いて下を見ていると、ポタポタと垂れた血が真っ白な雪を赤く染めていく。
痛みとかからではなく、鼻血を服に付けたくなくて動けなくなった俺に、
「おい、ジル! しっかりしろ! ……さぶっ!」
と叫んで駆け寄って来ようとしたソルドさんだったが、突然そんなことを叫んで足を止め、歯をガチガチ言わせ始める。
「馬鹿ねぇ、その状況でジルヴァラに近寄ればそうなるわ」
俺を心配してくれてるイオを抱えて少し離れた場所へ移動したソーサラさんは、呆れたような眼差しを歯をガチガチさせてるソルドさんへ向けて肩を竦めてみせる。
ナハト様の方はというと、ちょっとおずおずとしたアーチェさんに手を引かれて、イオと同じように俺から少し離れている。
ソルドさん以外はこうして俺から離れたが、別に俺から冷気が出ている訳じゃない。
「主様……鼻血出ただけだから、魔力垂れ流さないであげてくれるか?」
雪煙が立ちそうな凄まじい勢いでやって来て、俺の顔を両手で包んでガン見して動かない主様から離れたのだろう。
俺はもう慣れたのかあまり感じないが、主様の魔力が垂れ流されると冷気を感じるし。
ソルドさんは大人で、しかも丈夫そうだから何ともないだろうけど、ナハト様とイオの体には障るかもしれないから離れるのは正解だと思う。
「埋めましょう」
じっと見つめてる主様を見つめ返して、そんな考察をしていたら主様の言葉を聞き逃してしまった。
無言で瞬きをして、もう一度言ってくれないかなと訴えてみた結果、鼻血塗れの顔を舐められた。
かなりあわあわとしたが、舐めてくる主様が思い詰めた顔をしてたので、諦めて満足するまで舐められておいた。
その後、心配そうにふるふるしてやって来たプリュイによって顔を完全に綺麗にしてもらい、雪に落ちた血も始末してもらった。
その後、しれっとソルドさんを雪に埋めようとする主様を抱きついて全身で止めて、ソルドさんにはお詫びとしてかまくらを作ってもらうということで話がついた。
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