表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
248/399

241話目

何とレビューいただきました!本当にありがとうございます(*´∀`*)


ベッドの住人率が高い(笑)主人公ですが、これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

 雪だるま作りとその雪だるまを誉め合っていたら、ちょうど昼ご飯の時間となったので、俺達は一旦家の中へ入った。



 今日のメニューは昨日多め作っておいたカレーライスだ。



 白いご飯にとろっとしたカレーという食べ方は、ソルドさん曰く珍しいらしいから、

「ご飯とカレーの組み合わせが苦手なら、パンもあるから」

と、お客様なナハト様達には一応訊ねてみたが、四人共「ご飯で」という答えだったので仲良くカレーライスだ。

 執事なヘイズさんは、ナハト様と一緒に食事をすることにためらっていた様子だったが、ナハト様が「ヘイズが見てない所で何があるかもな」と軽く脅して押し切った。

 ヘイズさんは苦笑いしていたので、実際そういうことがあるのを心配した訳ではなく、ナハト様の気遣いを汲み取った感じだろう。

 ニウムさんの方は、たまにイオ家族と一緒に食事をしたりするらしいので、気にした様子もなくイオの隣を陣取って、慣れた様子で世話を焼いている。

 おかげでヘイズさんも堂々とナハト様の世話を焼きながら、隣でさり気なくひょいひょいと自分もカレーライスを食べているのがさすがという感じだ。


「ジルの作ったカレー美味しい! ママのと負けてないよ」


「確かに、これは美味いな。ジル坊は料理人になれそうだ」


 イオとニウムさんは、カレーの出来を手放しで誉めてくれたのだが、


「うちの屋敷でもカレーとライスで食べるけど、こんなどろっとしてないぞ? でも、これも美味いな」


「平民の間では、このようなとろみのあるカレーが好まれていますが、ライスと組み合わせるのはなかなか美味……ですが、きちんとした食事の場では少し難しそうですね」


とナハト様が誉めてくれながらカレーライスを食べる横で、カレーライスを早々食べ終えたヘイズさんが、相変わらずの微笑みを浮かべたままナハト様の様子を見て、そんな感想をポツリと洩らしている。


「口に合わなかった?」

 難しい表情にも見えるヘイズさんに俺が心配になって訊ねると、返ってきたのは優しい微笑みとちらりと自らの横の人物へ向けられた視線だ。

「……あぁ、そうかもな」

「ん?」

 二人分の視線を受けたナハト様は、スプーンを動かす手を止めて首を傾げているのだが、その口周りは少なからずカレーで汚れてしまっている。

 これはパンに付けて食べたとして同じ結果になりそうだし、正式な場で食べたりするのはせめてもう少し大きくなってからにするのが賢明だろう。

 そして、さっきから無言の主様によってカレーを食べさせられてる俺の口周りも、ナハト様と似たような状態だろう。

 いつものように膝の上に乗せられるのは何とか拒否したのだが、食べさせてもらうのは断りきれなかった。

 しゅんとしてぽやぽやしなくなった主様からじっと見られるのは、なかなかに心臓に悪い。

 今いる面々は、ニウムさん以外は主様の過保護具合を実際に見たことあるので、もう開き直るしかないだろう。

 ニウムさんも冷やかしたりするような人じゃないしな。

 そのニウムさんはというと、俺に甲斐甲斐しくカレーライスを食べさせる主様を見て、えぇ……という顔は一瞬したけど、その後は何事無かったように通常運行になってくれている。

 俺へ食べさせ終わり、自身も食べ終わった主様が、俺の口周りを舐めようとした時はほんの少し引いてたようだけど。

 ちなみにだが、顔を舐められるのを抵抗していたら、スッと寄ってきたプリュイが綺麗にしてくれた。

 主様はわかりやすくしょぼんとしていたが、俺としてはいらぬ恥をかかないで済んで助かった。

 さすが気遣いの出来る魔法人形だ。

「ナハト様んちのカレーだって、ライスと食べても美味しかったぞ」

 食後のデザートにナハト様がお土産として持ってきてくれた果物を食べながら、俺はまだカレーとライスの相性を語っているナハト様に、先日ごちそうになったスープカレーの話題を出す。

「そうなのか? ヘイズ」

 キラッと目を輝かせたナハト様は、果物を剥いてくれていたヘイズさんを呼び、無言でじっと見上げて声に出さず食べたいと訴えかける。

「……料理長に相談してみましょう」

 ナハト様の目力に負けたヘイズさんは、微苦笑を崩さないまま当たり障りなく答え、剥き終えたオレンジを「どうぞ」とイオの目の前の皿へ置く。

「ありがとうございます!」

 ニコッと可愛らしく笑ってヘイズさんへお礼を言ったイオは、早速オレンジを美味しそうに食べ始めてる。

 その姿を微笑ましく見ながら、俺はオレンジを食べさせて来ようとしている主様へ、諦めに似た気持ちで口を開けるのだった。

 昼ご飯をお腹いっぱいに食べた俺を含めた子供三人は、揃って眠くなってしまい、遊ぶ前にお昼寝の時間となってしまった。

 暖炉の前にふかふかのラグを敷いてもらい、そこにクッションとプリュイを配置して俺を真ん中にくっついて寛いでいたのだが、気付かない内に皆うつらうつらとしていたようだ。

 暖炉の中で薪がパチッと音を立てたことで目を覚ました俺は、左右から俺にくっついて目を閉じて眠っているナハト様とイオに気付いて頬を緩める。

「ジル、起きマシタか?」

「ん、ありがと、プリュイ。ナハト様、イオ、起きれそうか?」

 枕になってくれていたプリュイにお礼を言って、左右の二人を起こしにかかる俺だったが、眠る前にはかかっていなかった毛布に気付いてプリュイを見る。

 それで俺の言いたいことがわかったらしいプリュイは、少し離れた場所でこちらをジーッと見ていた主様へ視線を向ける。

「ありがと、主様」

 へらっと笑って話しかけたのだが、主様は何処か不貞腐れた様子で無言のままジーッと見つめ返してくるだけだ。

 主様の様子に内心首を捻るが、すぐにまぁいいかと思い直して起き上がって俺を見ているナハト様とイオへ笑いかける。

「今度は、雪を使って体を動かす遊びしようぜ?」

 俺がそう言って誘うと、少しだけ眠そうだった二人もスイッチが一気に入ったようで、パッと笑顔になって機敏に立ち上がる。

「それいいな!」

「うん、楽しそう!」

 揃って元気良く返事をして、それぞれ付き添いのイケオジの所へ駆け寄って暖炉前で干してもらっていた防寒具を着せてもらいながら、待ちきれない様子でちらちらと庭の方を見ている。

 かくいう俺もプリュイからもこもこに着膨れさせてもらいながら、庭の方を見ちゃってるんだけどな。




 主様を除いて微笑ましげな保護者達に見送られて、真っ白な庭へと飛び出した俺達は、ひとしきり雪を踏む音で大笑いしてから午後の遊びの相談を始める。


「雪を投げ合うのか?」

「そう。その辺の雪をぎゅっと握って雪玉にして、こう……投げて相手へぶつけるんだ」

「ぶつけたらどうなるの?」

「んー、ちゃんとしたゲームとしてやるなら、ぶつけられたら終わりになるけど、俺達三人だし」

 ナハト様は楽しそうな表情だが、イオは少し微妙な表情になってしまっている。

 よく考えれば、こういう遊びは普通の女の子のイオが俺達と混じってやるのは難しいな。

 当てるとしても手加減しないといけないし、投げるのも俺達よりは苦手だろう。

 いや、もしかしたら、とんでもなく実は……と思ってイオに雪玉を投げてもらったが、普通に女の子が投げた! って感じのやんわりとした可愛らしいものだった。

 いくらイオがお転婆でも、ヒロインちゃんみたいに規格外ってことはさすがになかったようだ。

「何かハンデ付けたとしても、三人じゃ……」

 そこまで言って俺は見守りをしてくれているイケオジコンビへ視線をやったが、揃って苦笑いをして首を横に振られる。

 断られるとは思ったが、もしかしたらに賭けてみた。


 駄目だったけど。


 そんな無言のやり取りを傍で見ていたナハト様とイオは、見るからに残念そうな表情になって、それぞれの付き添いを見つめるが、返ってくるのは困ったような笑顔だ。

 俺に対して投げるのは大丈夫だろうが、遊びとはいえどちらも雇い主の子供相手に攻撃紛いのことは出来ないんだろう。

 俺は手加減出来て、身分とか気にしないであろうプリュイを見るが、


「駄目です」


とこちらはたまたまやって来たらしい主本人からの駄目出しがあった。

 で、駄目出ししてきた本人が、俺が俺がみたいな顔をして見てきているが、見守りイケオジコンビが真顔になって激しく首を横に振っているので、気付かなかったことにした。

 主様は手加減してても、何か大変なことになりそうだもんな。

 主様相手の雪合戦は、ナハト様達が帰った後にプリュイも混ざってもらってやろうと思う。

 それは置いておいて、やはりキャッキャウフフと三人で雪を投げ合うぐらいにしておいた方が良さそうだ。

 イオに向かって投げる時は、俺とナハト様が手加減すれば良いだけだし。

「じゃあ……あれ?」

 早速提案しようと口を開いた俺だったが、視界に思いがけない相手の姿が入って来て、言いかけた言葉を止めて首を傾げる。


「ジル? 知り合いか?」

「誰か来るね……」


 俺の様子に気付いたナハト様とイオも、左右から俺の腕を掴みながら同じ方向を見て警戒して小声で話しかけてくる。

 俺の方はというと、予想外の登場で首を傾げただけで警戒するような相手ではない。


 それは──、


「ジルヴァラ! どうしたんだよ、これ!」


 雪を前にした大型犬のような楽しそうな満面の笑顔で駆け込むように登場したソルドさん。



 それと、それに引っ張られてしまった飼い主のような困った笑顔で追いかけてきて現れたアーチェさんとソーサラさん。



 つまりは仲良しA級冒険者パーティー、トレフォイルの三人だ。



「こんにちは、ソルドさん、アーチェさん、ソーサラさん」



 俺はナハト様とイオを安心をさせる意味も込めてトレフォイルの三人へ挨拶しながら笑いかけ──内心でひっそりと雪合戦の相手が出来たと頬を緩ませる。




 ん? この場合はこっそり? いや密かに……? まぁどうで良いか。

 トレフォイルの三人なら面倒臭がらずきっと付き合ってくれるだろうから。

いつもありがとうございますm(_ _)m


カレーについては、適当に決めててスープカレーはお店とかせいぜい貴族様、どろっとしたのは各家庭で食べられていることが多いって感じにふんわり決めました!どちらも美味しいし、どちらが優れてるとかの話ではないので、そこのところよろしくお願いします。


感想などなど反応ありがとうございます(*´∀`*)


反応いただけると嬉しいです(*>_<*)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ