236話目
浮かれ主様。
そして、また感想であなたは私ですかというズバリを言い当てられてしまいました(*ノω・*)テヘ
やはり、萌仲間なんですね(^^)
お読みいただき、ありがとうございます(。>﹏<。)
「えぇと……主様、これをナハト様の所へ送って欲しいんだけど」
一晩寝てすっかり体調が良くなった俺は、朝ご飯を食べ終えてから早速書いた手紙を主様へお願いしてナハト様へ送ってもらった。
内容はもちろん雪遊びのお誘いだ。
主様の結界内にいれば何処よりも安全だから、防犯面でも大丈夫だろう。
まぁナハト様が来てくれるとしても、一人で来る訳ないだろうけど。
ナハト様と二人じゃ少し寂しいし、せっかくならイオも誘おうと新たな紙に文字を連ねていく。
「主様、こっちはイオの家にお願い出来るか?」
書き終わった手紙を、俺の椅子をしてくれている主様へ手渡すと、無言でサッと飛ばしてくれた。
弾丸のように飛んでいったので、着地の際とか衝突しそうで少し心配だが、生きている鳥な訳では無いのだから大丈夫なんだろう。
何となく手紙を見送っていて窓の方へ向けていた視線をテーブルに戻し、使っていた便箋などをしまおうとしていた俺は、背後から感じる強い視線に気付いて主様を振り返る。
「なに? えっと、実はイオの家がわからなかったとか?」
自信満々に送り出された鳥がその辺で右往左往してるのを想像してしまった俺は、窓の外を探るように視線を向ける。
とりあえず見える範囲には戻って来たりはしていないようだ。
その間も主様は無言で見つめてきてるので、俺はまた主様へ視線を戻す。
少し不服そうなぽやぽやを出しながら、物言いたげな顔をしてる主様は俺の顔を見ながら、時々ちらちらとテーブルの上に置かれた紙の方を見ている。
それでやっと俺は主様の訴えに気付く。
「……目の前にいるのに欲しいのか?」
言った途端、無言で大きく頷かれた。
「んー、じゃあ今回は主様の好きなとこ書いてくか」
前回の手紙は俺が主様と一緒じゃない時に何をしてるか書いておいた。
特筆するようなこともない俺の日常を日記みたいに書いた手紙だったが、主様は楽しそうにぽやぽやしてたので、手紙を貰うというのが楽しいのかもしれない。
そういえばその手紙に書いておいた、やたらと俺に絡んでくる冒険者のおじさん最近見なくなったなぁと思いながら、主様の好きな所を手紙へ書き連ねていく。
あのおじさん、俺が一人の時にしか絡んで来ないし、やたらと触られるから苦手だったから会えなくなっても全然気にはならないんだけど。
そんなことを頭の隅で考えながらも、主様の好きな所を上げていくとキリがないので、枚数は三枚までと最初に決めておいて良かった。
何とか書き上げた手紙を封筒に入れると、念の為宛名も書いてしっかり封をして、背後で見守ってくれていた主様へと手渡す。
「はい、これは主様宛てだからな」
主様が嬉しそうに微笑んで頷いたのを確認して、今度こそテーブルの上を片付けていく。
すると、背後から今日三度目になる羽音が聞こえてきて、振り返る間もなく白い鳥……というかたぶんグリフォンと呼ばれる類な白い生き物が窓から飛び出していった。
「え? なんで?」
主様宛ての手紙だったはずのそれが外へと飛び出していった姿に、俺は片付けをする手を止めて瞬きを繰り返すしか出来ない。
意味が通じなかった? でも、宛名書いておいたんだけど? と脳内でぐるぐるしていると、主様が小さくふふんと鼻を鳴らしたのが聞こえ、
「ギルドマスターに自慢します」
というふわふわした発言が聞こえた気もしたが……。
俺はそんなものは聞こえなかったことにして、テーブルを片付けることに専念するのだった。
●
[視点変更]
とある特例冒険者の少女の想定外な『活躍』の報告を受けたボクは、その処理と後始末に追われていた。
その少女と共にとある特例冒険者の少年に迷惑をかけた冒険者達は、全員跡形もなく消え失せたそうだ。
とんでもない天災が降ってきたようでとても怖ろしいが、こちらの後始末は楽になって何よりだとひっそり微笑む。
そんなことを考えていたせいか、その『天災』からの思いがけない攻撃が、書類を書いていたボクへ襲いかかるとはさすがのボクでも想定は出来なかった。
その想定外な攻撃は、白いグリフォンという目立ち過ぎる姿をして、ボクの部屋へと飛び込んでくる。
「……またどれだけ気合と魔力を込めたんだ」
呆れを多分に含んだボクの声を聞き、白いグリフォンはまるで大型犬のような人懐こい様子で首を傾げて待っている。
「はぁ……また何かあったのか?」
ため息とぼやきを吐きながら白いグリフォンを撫でると、その存在感溢れる姿は消え失せて一通の手紙だけが残される。
「……開封出来ない?」
即座に開封しようとしたボクだったが、手にした手紙を開こうとしてバチッと弾かれてしまい、瞬きを繰り返すことになる。
届けておいて開封させないという意味のわからない行動に、アイツにしては丁寧に宛名まで書かれた封筒をしげしげと眺めていたボクは、そこでやっと宛名がボク宛ではなく送り主自身になっていることに気付く。
「はぁ!? 意味がわからない……」
首を捻りながら太陽の光に透かすようにして手紙の裏表しっかり確認していると、裏側に手紙をしたためたであろう人物の名前を見つけて、捻っていた首の角度をさらに深くする。
「ジルヴァラから、アイツへの手紙? 何か問題でもあったのか? なら、なんで開けさせないんだ?」
元からかなり理解不能な相手だが、ここまで意味不明な行動は初めてかもしれない。
ボクが手紙を手に頭を抱えていると、タイミング良く生真面目なノックの音がしたので、いそいそとノックの相手を招き入れる。
「要するに、幻日様からアルマナ様宛に『幻日様へ宛ててジルヴァラくんが書いた手紙が送られてきた』ということですね」
ボクの話を微苦笑付きで聞いていたエジリンは、ボクの話を要約してボクと同じように首を傾げている。
「しかもわざわざ魔法で封をされてるから、開けられない。全力でやれば開けられるかもしれないが、そこまでするのもな」
「つまりは中を見せたくはないが、この手紙をアルマナ様に見せたかった、ということだとするのなら……まさか? いや、でもそんな……」
何かを思いついた様子のエジリンに視線をやって目線だけで続きを促すと、私の想像ですが、と前置きして苦笑いを浮かべて口を開いた。
「もしかしたら、幻日様はご自分がジルヴァラくんから貰った手紙を自慢したかったのではないでしょうか」
「は? だから、見せるだけ見せて、開けさせないってことか?」
「……おそらくですが」
「あー、なんか、しっくり来た。それが正解っぽいな。浮かれ過ぎだろ、まったく」
導き出されたあまりにも馬鹿馬鹿しく辿り着けなかった答えに、ボクは大袈裟にため息を吐いてみせ、アイツが自慢してきた手紙を書類の山が出来ている机に投げておく。
面倒なのとイラッとしたのもあり、対処は後回しにしておこう。
まずはエジリンによってもたらされたとある特例冒険者の少女の『活躍』に対する罰のための書類に目を通し、処理をしていく。
「これで良いだろ。……きちんと彼女に受けさせろ」
「はい」
彼女への罰は『ある塩漬け依頼を受けること』だ。
重々しく頷いたエジリンは、ボクが処理をした書類を受け取って去っていった。
残されたボクは、やたらと存在感のある気がする手紙をちらっと見やってから、減る気のしない書類の山へと向かう。
──しばらく後、今度は窓から手紙ではなく、自慢をしてきた本人が飛び込んで来ることをボクはまだ知らなかった。
いつもありがとうございますm(_ _)m
意外と(?)ポンコツな主様です。
感想ありがとうございます!いつしまうかはもう少々先になる予定です←
感想などなど反応いつもありがとうございますm(_ _)m
反応いただけると嬉しいです(*´∀`*)
誤字脱字報告も相変わらず大歓迎しております!




