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231話目

感想と多数の誤字脱字報告ありがとうございます(。>﹏<。)


そして、その誤字脱字報告への感謝を脱字していることにさっき気付く←

「……ジルヴァラ、それは?」



 俺が膝上で主様のウザさを訴えているテーミアスをなだめていると、パーティーを代表してなのかリーダーであるエルドさんが訝しむ様子で訊ねてくる。

「そーそー。気になるってぇ」

 前言撤回。全然代表とかでは無かったらしく、ゆるーくチャラいシムーンさんも話しかけてきて、ゆるい笑顔を向けてくる。

 二人が言いたいのは、俺の膝上にいるテーミアスのことだろう。ドライフルーツを食べながら、未だに主様へ文句を言い続けている。

「テーミアス、主様のことが苦手みたいで、そこに主様がいると俺の肩の上に乗るのに邪魔だって怒ってるんです」

 俺はへらっと笑って横目で主様を見てから、苛立ちのあまりもふっと膨れているテーミアスをなでなでとしながら答える。

「あはは。ジルヴァラ、ちょー可愛いけど、そうじゃないからねぇ。ぼくらは、そこにテーミアスがいることに驚いてるんだってぇ」

「そうです。テーミアスは幻の獣と言われるぐらいの珍しい生き物なんですから」

「……ん」

「という訳なんだが、ジルヴァラが捕まえたのか?」

 そういえばそんなことを言われてたなと思いながら、俺はドライフルーツを食べ終えて毛繕い中のテーミアスを両手ですくい上げるようにして持ち上げて見せる。

「捕まえたんじゃなくて、ついてきちゃって。……やっぱりそんなに珍しいなら森に帰った方がいいんじゃないか?」

「ぢゅ」

 森の守護者の面々の驚きように、俺は改めてテーミアスの説得を試みたが、返ってきたのは素っ気無い否定の答えだ。

「嫌だって言ってもさ、もし変なやつに捕まったりしたらどうするんだよ」

「ぴゃっ」

「そんなドジは踏まないって言っても網とかで捕まえられたらヤバいだろ」

「ぢゅぢゅー」

「そうは言ってもさぁ……。皆さんも危ないって思いますよね?」

 俺の説得をことごとく無視するテーミアスに困った俺は、何ともいえない表情でこちらを見ていた森の守護者の面々に話を振ってみるが、返ってきたのは何ともいえない苦笑いだ。



「やっぱり、ジルヴァラって妖精だったりして?」

「いや、幼き頃から動物達と共に過ごしていたから、わかるのでは?」

「聖獣からの加護という可能性もありますね」

「……謎」



 苦笑いした後、仲良しな四人はこちらをちらちらと見ながら何事か相談し始めてしまったので、俺もテーミアスの説得を諦めて膝上に戻して柔らかな毛を撫でさせてもらう。

 昨日アシュレーお姉さんが切った部分は僅かに毛並みが短いが、すぐ紛れてわからなくなりそうだ。

「お前、冒険者ギルドに毛の採集依頼とか出てるんだからな? 本当に気をつけてくれよ? ほんの少し毛だけくれよ、なんて人は少ないからな? それこそ、丸裸にされちゃうぞ?」

 何となく口にした言葉だったが、毛を刈られて丸裸にされたテーミアスを想像してしまい、小さく身震いしていると背後からの拘束が強くなる。

「その毛玉なら、私やギルドマスターぐらいにしか捕まりません」

「……へ!? そんなに逃げるの上手いのか?」

 空気だった主様が耳元でボソボソと囁いたことにより、そのくすぐったさから肩を竦めた俺だったが、すぐにその囁きの内容の方に気を取られてバッとテーミアスを見る。




 俺の膝上でお腹を上にして寝転び、警戒心の欠片もなく蕩けているテーミアスを。




「そっかぁ。お前すごいんだな。あー、だから、こんなに警戒心なく寛いでるのか」




 一人で納得した俺は、森の守護者の面々が小声で、

「「「「「それはない(です)(かなぁ)」」」」」

と綺麗にハモった突っ込みをしていたことに気付いていなかった。

「あ、すっかり言いそびれてたけど、お見舞いの桃ありがとうございました。美味しかったです! あれってダンジョン産だって聞いたんですが……」

 熟睡したテーミアスをプリュイが用意してくれた籠に寝かせた俺は、ずっと言いそびれていたお見舞いのお礼の件を思い出し、ついでに訊きたかったことも訊いてみる。

「そーそー。聖獣の森の方にあるダンジョンなんだけど、奥の方には美味しい果物がなるんだよぉ」

 ぼくらには楽勝だけどぉ、えへんと胸を反らせたシムーンさんにへらっと笑って相槌を打った俺は、ふとたまに持ってきてくれていた熊のお土産の果物も美味しかったことを思い出し、

「ダンジョン……近くにそんなのあったんですね。そういえば、たまに熊が美味しい果物持ってきてくれたんですけど、もしかしてダンジョンに行ってたのかも……なんて」

と、冗談めかせて付け足してみたのだが……。

「あー、確かにあのおっきい熊なら、あそこのダンジョンのモンスターぐらいなら、ぺちんってやっちゃいそー」

「あの熊は聖獣の守り役ですからね」

「……ん。かなり強い」

「ジルヴァラのために、ダンジョンへ潜って果物ぐらい採ってきていても不思議ではないな」

と、四人から返ってきたのは、全く笑う様子のない真面目な答えだ。


「……そう、ですか」


 俺の育て親な熊は、どうやらダンジョンに潜っていても不思議じゃない強さの熊らしい。

 改めて育ての親の強さに感心していた俺だったが、ふと抱いた疑問に森の守護者の面々を見て首を傾げる。

「聖獣の森近くのダンジョンで採ってきて、王都まで腐らないものなんですか?」

 すりおろしてはあったが、お見舞いの桃は全く腐った様子がなかったことを思い出して抱いた素朴な疑問を口にすると、また背後から覆い被さる腕の力が強まる。

「私なら可能です」

 俺の耳元でドヤッてる主様は可愛らしいけど、たぶん主様の普通は普通じゃない。

 主様はラノベの『俺なにかしちゃいましたか?』枠だし。

「そりゃ、主様は時間停止する収納魔法使えるからだろ? あ、もしかして収納魔法が……」

 主様のさらさらの髪が当たってくすぐったいので、軽く押し戻しながら笑い声混じりで返したが……ふと思いついてルフトさんを確認するように見やる。

「チッチッチッ、いくらルフトが小さな天才って言われてても、さすがに収納魔法は使えな……げふっ」

 ルフトさんが答えてくれる前に、余計な一言付きで答えてくれたニヤニヤ顔のシムーンさんは、無言でルフトさんから脛を蹴られて撃沈した。

 貴重なシムーンさんの犠牲(?)により、優れた魔法使いなルフトさんでも収納魔法が使えないことはわかったが、ならなんでという疑問だけが残ってしまい、首を傾げてエルドさんとティエラさんを見る。

 ルフトさんは無言で、撃沈したシムーンさんを追撃するので忙しそうだから視界に入れないようにしておく。

「騒がしくてすまない」

「ジルヴァラの疑問の答えはこれですよ」

 申し訳なさそうに騒がしさを謝るエルドさんに続いて、あちらをスルーすることにしたらしいティエラさんが微笑んで懐から何かを取り出して見せてくれる。

 それは三十cm四方ぐらいのサイズの、よく言えばアンティーク、身も蓋もない言い方ならボロい布製っぽい巾着袋だ。

「ふふ。そのボロい袋は何? って言いたそうですね。ですが、これは見た目通りの袋ではないんですよ?」

 悪戯っぽく笑ってそう言ったティエラさんは、巾着袋の中に手を突っ込むと中から何かを取り出して見せてくれる。

「ナイフ……じゃない? なんでそんな長い物が?」

 最初に見えたのは柄で、大振りのナイフかと思った俺の目の前で、ティエラさんは巾着袋から、明らかに巾着袋より刀身の長い剣を取り出す。

 一瞬、手品? という馬鹿な突っ込みが浮かんだが、こんなファンタジー世界で手品は流行らないよな。

 俺が首を捻って悩んでいるのを、エルドさんとティエラさんは微笑ましげに見てきているし、どうせなら正解したいと考え込んでいると……。


「あれは収納魔法が付与されてるんです」


 ボソッと耳元で正解を教える声がして、俺は恨めしげに主様を睨んでみる。

「もう! せっかくだから、もう少し悩ませてくれよ」

 もちろん半分以上冗談だったのだが、主様には思いの外ダメージを与えてしまったらしく、目に見えてあわあわぽやぽやし、それを見たテーミアスが鼻で笑うという事態に。

「さ、さすが幻日様ですね。直ぐ様見抜かれましたか」

 なかなかなカオスな空気をどうにかしてくれようとしたのか、ティエラさんが若干吃りながら主様を持ち上げる。

「そ、そうですね! 主様見ただけでわかるなんてすごーい!」

 ここぞとばかりに俺が乗っかると、主様からあわあわが消えてぽやぽやだけになり、満足げに微笑んでまた俺の後頭部へ顔を埋めてしまう。



 同時に息を吐いてから顔を見合わせた俺とティエラさんは、安堵と何となく達成感を覚え、微笑みあって大きく一つ頷きあった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


感想などなど反応ありがとうございます(。>﹏<。)


反応いただけると嬉しいです(^^)


多数の誤字脱字報告助かります(*>_<*)ノ


というか、私間違え過ぎですよね。何回か見直してるのに気づいてない(*ノω・*)テヘ

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