128話目
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今回短めなので、もう一話投稿します(*>_<*)ノ
「朝から食べ過ぎたかも……」
これは俺は昼を抜いたぐらいでちょうど良いかな、と思いながらソファにだらけてお腹を擦る俺の横で、主様は涼しい顔でぽやぽやしている。
かなり大盛りにしたから俺の三倍以上は食べてるんだけど、まぁ俺は六歳児だし、主様は成人男性だから容量が違うか。
それにしても、あの量が入っても主様の細身の体には一切の変化がない。
ちなみに俺の方はちょっとお腹がポッコリして、さっきから人肌モードのプリュイに擦ってもらっている。
「ジル、カツ丼美味シかったデス」
「そっか、よかった」
「パンは、幻日サマに預けテ収納してもらいマシタ」
「うん、ありがと、プリュイ」
そんな感じでしばらく休憩してると、だいぶ腹がこなれてきたので、俺はグッと体を起こす。
「ちょっと体動かそうかなー。主様、うちに縄ってある?」
体が鈍りそうなのと緊張で落ち着かないので、俺は庭で簡単に出来る運動として思いついた縄跳びをするために軽い気持ちで問いかけたのだが──。
「……ロコ? 縛られたいんですか?」
軽く目を見張った主様から呆然とした顔で見られ、とんでもない勘違いされてしまって、数秒固まってしまった。
「いやいや、体動かそうかなって言っただろ? 縄跳びでもしようかなって思ってさ」
ハッとした俺は、ぶんぶんと首を横に振って、ボクサーがするような縄跳びの跳び方を縄無しでやって見せる。
「あぁ、縄を用いて運動したいということですか。……なら、魔法人形に頼めばいいのでは?」
やたらと安堵した様子の主様が、もちもちと俺の頬を揉みながらプリュイをちらりと見やって首を傾げる。
「プリュイに?」
意味が分からず一緒になって首を傾げながらプリュイを見やると、プリュイはキリッとした表情で伸ばした触手を自らの頭上でぶんぶんと振り回している。
カウボーイが縄で牛を捕まえようとしているみたいな動きだけど、振り回しているのは体の一部だし、当たり前だがここに牛はいない。
どうするんだろうなぁと思って見ていると、そろそろと俺の方へと伸びて来た触手がちょこんと俺の手に触れる。
「使いマス?」
「えぇと、お願いしよっかな」
とても断れる雰囲気ではなかったので、俺はへらっと笑って頷くしかなかった。
●
「こうやって、縄を一定のリズムで回してくれれば、俺がそこへ飛び込んでぴょんぴょん縄を跳ぶからさ」
庭へ出ると、俺は早速プリュイに大縄跳びの方法をジェスチャー付きで説明する。
「デは、コウしまショウ」
俺の大雑把な説明でもプリュイはわかってくれたらしく、適当な庭木に伸ばした触手を固定して、一定のリズムで大きく回し始める。
触手が芝生に当たるてちってちっという独特な音を聞きながら、俺は触手を目で追って飛び込むタイミングを計る。
今さらながら思い出したが、前世の俺はこの大縄跳びという競技がとても苦手だったのだ。
いつも失敗してしまい──、
思い出しかけた苦い記憶を振り払った俺は、えいっ! と勢いをつけて一定のリズムで回される触手へ飛び込む。
最悪の場合、プリュイが避けてくれるだろうという安心感が背中を押してくれた。
「っ! よい、しょ!」
何となく掛け声かけたが、前世よりだいぶ運動能力が上がっていた体は、何の問題もなくプリュイの触手ロープを跳んでいく。
「ジル、上手デス」
誉められて嬉しくなってへらっと笑うが、これはたぶん回し手のプリュイが上手いのもあると思う。
「プリュイが、回すの、上手いんだよ!」
ぴょんぴょんと跳ねながら答えるので、俺の台詞も飛び飛びだ。
楽しくなってきてプリュイと笑い合いながら跳んでいたため、少し呼吸が苦しくなってきたなと思ったのと、視界の端に主様が見えたのはほぼ同時で。
主様は回っている大縄(触手)へと華麗に飛び込んで来ると、跳んでいた俺を回収して、サッと大縄(触手)から飛び出す。息一つ切らさずに。
「ロコ、張り切り過ぎでは?」
ぽやぽやした主様からやんわりと叱られて、俺は肩で息をしながら何とか口を開く。
「あは、は、ごめん、あり、がと……」
途切れ途切れに答えながら呼吸を整える俺を、主様は心配そう見下ろしている。
「ジル、すみまセン。止メどコロ、わからナクなりマシタ」
「俺の方こそ、楽しくて夢中になっちゃってごめんな。プリュイは手……というか触手? 疲れてない?」
「ワタクシは、魔力デ動いてマス。疲れ知ラズデス」
掃除機のコードを仕舞うようにするすると伸ばしていた触手を引き戻すプリュイは、言葉通り元気にふるふるしている。
「そっか、良かった」
「ロコ。あとは約束の時間まで休みましょう」
息も整って安堵からへらっと笑っていると、主様によって横抱きに近かった体勢を縦抱きにされて、屋内へと運ばれて行く。
「おう」
主様の言うことも最もなので、素直にコクリと頷いた俺は、主様の肩に顎を乗せてこっそりさらさらの髪に軽く頬擦りさせてもらう。
同じシャンプー使ってるのに、主様の髪は何だか高そうないい匂いがする。
「ロコ?」
あまりにも耳元でくんくん嗅ぎ過ぎたのか、主様から怪訝そうに名前を呼ばれる。
「へへ。主様の髪、なんかいい匂いしてさ」
今さらながら照れ臭くなって笑いながら言ってると、視界がぐるりと回って見上げる先は真顔の主様だけになる。
「あまり可愛らしいことをしないで」
ボソッと囁かれた言葉は、さらさらと降ってくる主様の髪に気を取られていた俺には聞き取れず、ん? と首を傾げて主様を見上げたが、返ってきたのはぽやぽやとした微笑みだけ。
「少し仮眠しますか?」
眠くないから、と答えようとした俺だったが、主様の美しい宝石色の瞳に見つめられると、何だか眠くなってきた気がする。
「ん、そうする……」
そう答えた声がきちんと出たかわからないぐらい、俺の意識は一気に眠りの淵へと転がっていった。
いつもお読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m
幻日様が現実様になるというなかなかな間違いをしてたりするので、発見したら教えていただけると嬉しいです(^^)




