127話目
朝からカツ丼私も行けます←
感想いつもありがとうございますm(_ _)m
やはり萌えポイントが近いようで、嬉しいです(*´∀`*)
「ん、もう大丈夫だから、降ろしてくれよ」
ジンジンもしなくなったし、ここまで冷やしておけば水膨れにならないだろう。
「見せてください」
主様はまだ心配なのか、そう言って俺を抱え直して、濡れたままの腕を掴んでガン見して来る。
もっと盛大に油がかかった火傷ならともかく、ほんのちょっとはねただけの爪の先ぐらいの火傷を真剣に主様が見つめている。
すぐに冷やしたおかげでうっすら赤くなっただけで済んだ。
主様もやっと安心したのか、ぽやぽやして火傷に触れないように気をつけながら、濡れたままの腕をタオルで拭いてくれる。
「ジル、カツ揚がりマシタ。……火傷、大丈夫デスか?」
「ありがと。火傷も大丈夫だよ」
やっと主様から降ろしてもらえたので、俺はプリュイを見上げて大丈夫だと伝えると、プリュイの手が心配そうに俺の腕へと触れてくる。
「エリクサー、いりマスか?」
「あはは、塗り薬で大丈夫かな」
優秀過ぎる魔法人形なプリュイは、そんな冗談までも言えるんだなぁと思いながら、さっきも聞いた気がするファンタジー定番の回復薬の名前をくすくすと笑い飛ばす。
「……」
視界の端で、主様が収納から取り出した小さなガラス瓶を無言でしまったのは、見なかったことにしておこう。
「せっかくプリュイが揚げてくれたカツが冷める前に、仕上げちゃうな」
朝をカツサンドにするつもりだったけど、炊けたご飯の匂いを嗅いだらご飯の気分になったので、朝からカツ丼にしちゃおう。
主様も俺も朝からガッツリでも大丈夫だし。
カツサンドもそもそもガッツリだろ、という突っ込みを入れてくる人物は不在なので、俺はさっさとカツ丼の頭部分を仕上げていく。
本当は小さなフライパンみたいなやつで一人分ずつ作るのが正しいんだろうけど、面倒なので時短させてもらう。
大きめの鍋に玉ねぎ敷き詰めて、だし汁入れて、味付けをしてコトコト少し煮て、そこへ四枚の豚っぽいカツを切って入れる。
ちゃんと少しずつ離して、それぞれのカツを海の上の小島のように並べて配置した所で、ドバッと溶いた卵を全体に流して火を止め、余熱で火を通していく。
火が通るのを待つ間に、カツサンドの方も仕込んでおくことにする。
こっちは豚のカツだけでなく、鳥肉のカツも使っていく。
「プリュイ、食パンを厚めに……」
「コレでどうデショウ?」
最後まで言わずとも厚切りにされた食パンが出て来てしまい、俺はへらっと笑って、ありがと、とそのパンを受け取る。
「主様は、ご飯盛る用の食器出してくれるか? サラダとか入れるようなちょっと深めのやつ」
主様が物言いたげにぽやぽやしてたので、そうお願いすると嬉しそうにコクリと頷いて食器の用意をしてくれる。
その間に俺はソースをカツに塗って、プリュイがバターを塗ってくれた食パンに千切りキャベツとカツを挟んでいく。
それを何回も繰り返して、大量のカツサンド二種類を作っておく。
主様の収納魔法があるから出来る荒業だけど、ほとんどが主様の口へ入るだろうから主様も怒らないだろう。
「主様、これを……」
そこまで言いかけて、さすがに丸裸のままのパンを収納してもらうのに抵抗感があり、俺はピタリと動きを止める。
そのまま何となくプリュイを見ると、触手を伸ばして引き出しからサッと艶のある紙を取り出す。
「コレは、ワックスペーパーデス。パンを包むノに使いマス」
「……よく俺の言いたいことわかったな。ありがと、プリュイ」
「ドウいたしマシテ。包むノは、ワタクシがシテおきマスノで、ジルは朝ご飯召シあがっテくだサイ」
お言葉に甘えて、気の利き過ぎる魔法人形のプリュイにパンを任せて、俺 はカツ丼を完成させる。
と言っても、主様が用意してくれた器にご飯を盛って、そこへフライ返しで一人分のカツ丼の頭を乗せていくだけだ。
俺はつゆだくが好きなので、自分の分には鍋からお玉で汁をすくってかけておく。
主様用のは大きめの食器を出してもらい、二枚分のカツを使ったカツ丼を完成させる。
残った一枚はプリュイの分としてカツ丼を完成させて、キッチンのテーブルの上へ置いておく。
「プリュイの分、ここに置いておくから食べてくれよ」
「アリがトウございマス」
俺が作業を終えるのを見計らったように、主様が無言で近寄ってきて手に持つ小さな蓋付きの容器から指で軟膏を掬い上げ、火傷した辺りへ塗ってくれる。
「ありがと、主様」
過保護だなぁとも思ったが、気持ちは嬉しかったので笑ってお礼を言うと、主様からはぽやぽやした微笑みが返ってくる。
そんな一幕を挟んでから、出来上がったカツ丼は主様に運んでもらい、俺はキュウリの浅漬けが入った皿を手についていき。
朝ご飯というにはガッツリめの朝ご飯がテーブルの上に用意されることになった。
●
「自分で作っておいてなんだけど、朝からガッツリ過ぎたか?」
さっきは行けると根拠もなく思っていたが、実際目の前にすると、やはり朝からカツ丼は重いかなぁと思わず呟きが溢れる。
だが、プリュイと共同作業したカツは美味しそうだし、それを卵でとじたことにより、俺的にはさらに食欲を増す見た目になったと思う。
「……ロコ、食べないんですか?」
まだ? と言いたげな眼差しでこちらを見る主様……というか、ほとんど言ってたな、今。
「おう、悪い悪い、冷めないうちに食べようぜ? いただきます!」
「はい。いただきます」
俺は箸、主様はスプーンでそれぞれカツ丼を食べ始める。
「んー、この肉美味しいな」
豚っぽいと思って選んだ肉は、きちんと豚っぽくて、でも前世で俺が食べていた豚肉より柔らかくて脂が甘い。
まさか、これが筋切りの効果……とか一瞬とても馬鹿な思いつきが頭を過ぎったが、絶対違うとわかってたので口には出さないでおく。
「これはブラッドボアの肉ですね」
生で食べるより好きです、と主様の中ではかなり最上級であろう誉め言葉をもらって、俺はニマニマしながらカツ丼を食べていく。
自画自賛で美味しく出来たと思ってたが、ぽやぽや微笑んでカツ丼を順調に減らす主様を見ながら食べると、さらにカツ丼が美味しく感じられる。
「美味しいな」
箸休めにキュウリの浅漬けをポリポリと食べながら、無意識にポツリと洩らすと主様がふふと微笑んで顔を寄せてくる。
「はい」
口の端に触れる感触に、何か付いていたらしいと理解するのと、美味しいという呟きに同意してくれたのを理解したのは同時で、俺はニヤけてしまうのを止められなかった。
いつもお読みいただきありがとうございますm(_ _)m
やっぱり作った物を誉められるのは嬉しいですよね(^^)
うちは、親子丼とかもこのスタイルで全員分一気にやっちゃいます(。>﹏<。)
異論は認めます(笑)
そして、感想、評価、ブクマ、いいね、ありがとうございますm(_ _)m




