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122話目

投稿したつもりで出来てませんでした(*ノω・*)テヘ


仲良しなトレフォイル(*´艸`*)

「ロコが冒険者になるため、A級冒険者パーティーの後見がいります」



 俺がどう話したらと悩んでいたら、背後から主様が助け舟を出してくれた。

 まぁ、主様的には助け舟とかではなく、ただ言いたいことを伝えてるだけなんだけど。

「そうなんだ。それで、後見になってもらえると嬉しいけど、あの、俺が何か問題起こした時に迷惑かけちゃうかもしれなくて……」

 そんなことか、と言って速攻頷きそうなソルドさんを目線で制して、俺は後見になった時に起こり得る不利益をきちんと伝える。

 これは後でごちゃごちゃ言われたくない、とかでなく、ソルドさん達に迷惑かけたくないというか、俺がソルドさん達に嫌われたくないという臆病な気持ちからの一言だ。

 そんな俺にニッと陽キャ全開で笑ったソルドさんは、俺の頭をぐりぐりと撫でながら、

「そんなことか。俺達で良ければ、後見になって……いや、ならせてくれ。どんな形であろうと、ジルヴァラを守ることに関われるなら俺は嬉しい。もちろん、お前らもそうだよな?」

と想像した通りのことを言ってくれて、自らのパーティーメンバーを振り返る。

 ここで、残り二人から全力拒否されたら、ソルドさんと一緒になってガチ凹みするところだけど、二人共揃って頷いてくれていて。

「えぇ、当たり前でしょう。それにジルヴァラがかける迷惑なんて、ソルドに比べれば可愛らしいものですよ」

「当然、あたしも大賛成よ。ジルヴァラが起こしたことなら、多少のおイタは許しちゃうわ。あ、もちろん、後で個人的にお仕置きはするわよ?」

 二人共そんな冗談交じりで返してくれ、嬉しくてなった俺がふにゃふにゃと笑っていると、椅子と化していた主様の拘束が強まる。

「……書類を」

 そのまま主様の声が耳元でしたかと思うと、テーブルの上にはひらひらと一枚の書類とペンが現れる。

「はい! ここにパーティー名と俺達の名前を書けばいいんですね」

 尻尾の幻覚が見えそうなソルドさんの反応に、背後で主様が頷く気配だけある。

 無言なので主様がどんな顔をしてるかわからないが、何となく困りながらぽやぽやしてそうだ。

 俺を保護してくれたことからしても、主様は素直に懐かれてガンガン来られるのに慣れてないんだろう。


 ただでさえフラグ建てる得意なんだから、これで色々拾って来るようになってしまったら……。


 何だかムカムカしそうな気がしてきたので、気分転換も兼ねて主様の膝から降りて、パーティー名と自分の分の名前を書き終えて手持ち無沙汰なソルドさんの膝をたしたしと叩いて乗せてもらう。

「ありがと」

「で、どうした? 俺だって字ぐらいきちんと書けるぞ?」

 ほら、とソルドさんが示したところには、ソルドさんらしい元気な文字が生き生きと書かれて、何だったらアーチェさんのスペースを圧迫している。

 アーチェさんの方はというと、その狭くなったスペース内へ器用に自身の名前を書き、ソーサラさんのスペースを侵略してはいない。

 何だか仲良しな三人の関係性が垣間見える書名だ。

「三人は本当に仲良しだなー」

「そう見えるよな?」

 特に何も考えず洩らした俺の感想に、思いがけずソルドさんから少し硬い相槌が返ってくる。

「おう。……実は違うのか?」

 そんなドロドロは嫌だなぁと思いながら答えた俺は、膝の上で体を反転させてソルドさんと向き合うように足を跨ぐ体勢になる。

「いや、もちろん仲良しだ。俺達は幼馴染で、ずっと小さい頃……それこそジルヴァラと同じ年ぐらいから一緒だったからな」

 ふっと笑うソルドさんは、いつもの馬鹿みたい明るさが鳴りを潜めて、大人っぽく見える。これで、俺の頬をむにむにと挟んで揉んでなければ、もっと格好良く見えたかもしれない。

 そして、ずるいわ、とソーサラさんも参戦して俺の頬を揉むのは止めて欲しい。

 アーチェさんだけは、俺の頬を揉む二人と主様のいる方をチラチラ見て、引きつり気味に微笑んでいるように見える。

 頬を揉まれまくってるので視界がぐりんぐりんしてて、よくはわからないけど。

「ソルドの馬鹿が悩んでるのはね、ほら、さっきジルヴァラが特例で冒険者になった女の子の話、したでしょう?」

 最終的にソルドさんはソーサラさんに押し退けられたのか、俺はソルドさんの膝上のままソーサラさんの豊かな胸に抱え込まれるような体勢に落ち着いて話を聞くことになる。

「うん、知ってるか訊いたけど……」

「何でか知らないけど、その女の子、やたらとあたしを敵視しててね、いつも絡まれるの。だから、さっき変な反応しちゃったし、ソルドは『俺らって仲悪く見えるのか?』って馬鹿なこと悩んでるのよ」

「絡まれる? ソーサラさんが、優しくて美人だからかな?」

 ヒロインちゃん自分の周りの人が盗られるかと思ってヤキモチ妬いてるのか? と思って呟いてたら、ソーサラさんの俺を抱え込む力が強くなる。

「それがよくわからないんですよ。ソーサラが悪女だとか悪役担当? とかよくわからない事を叫んでますが、事実無根ですし。あってるのは、ソーサラが子供好きな事ぐらいですね」

「あら、あたしにだって好みはあるし、今はジルヴァラ一筋よ」

「まぁ、ジルヴァラは素直で可愛いから、ソーサラの言い分もわかるぞ。あの女の子も、変なこと言ってこなれば可愛い見た目だけどな」

 頭上でそんな仲良しな会話をトレフォイルの三人が交わしてるが、俺はちょっとそれも聞こえなくなってくる。



「ロコ!」



 意識が遠のく間際に聞こえたのは、焦りきった主様の声だった。

「「「重ね重ね申し訳ございません!」」」




 俺の意識が戻ったのは、綺麗に揃った謝罪の声が聞こえたからだ。

 ゆっくりと瞼を押し上げると、まず見えたのは下から見上げる主様の美しい顎のラインだ。

 主様は本当に何処から見ても美しい……って、それはおいといて、俺は目だけ動かして謝罪の主を探す。

 どうやらそんなに長く気絶していた訳ではなさそうだ。

 窓から射し込むの日の高さは変わってない。

 そんな日差しに照らされて、トレフォイルの三人が横並びで床に跪いて頭を下げている。

 一瞬、普通に流しかけたが、すぐバッと視線を戻す。見間違いではなく、三人は俺の……というか、俺を膝枕した主様の前の床に並んで跪いている。

「え? これ、どういう状況?」

 深く考える前に口から言葉が零れ落ちる。

「ロコ、苦しいところはありませんか?」

 跪いている三人の顔には安堵が広がり、それに首を傾げていると主様から柔らかな声でそっと問われる。

「うん、何ともないけど、俺どうしたんだっけ?」

 主様に支えられながら体を起こし、記憶を辿ろうと首を傾げながら呟いていると、跪いたままの三人が視界に入る。

「とりあえず、膝痛そうだし、立ってくれよ」

 俺の言葉を聞いた三人は、何故か俺ではなく主様を窺い見ている。

 それを受ける主様をじっと見ていると、しばらくしてやっと小さく頷く。

 それを受けて三人はちょっとよろめきながら立ち上がる。

「ふー、やっぱりこの体勢疲れるなぁ」

 コリを解すようにぐりぐりと首を回すような動作をするソルドさんの背中を、

「あなたは、少し反省しなさい」

と、アーチェさんが思い切り叩いている。

「ジルヴァラが可愛過ぎて、つい思いっきり抱きしめちゃってごめんなさい」

 ソーサラさんはうるっとした瞳で俺を見つめて、殊勝な表情で謝ってくれている。

 その謝罪の言葉で、俺は自分が主様の膝上にいた理由を悟る。美女の巨乳で気絶なんて、なかなかない体験だ。

「いいよ、気にしてないし、美人の胸に埋もれて気絶なんて男の夢だろ」

 へらっと笑って返すと、それを聞き止めたのかソルドさんがニパッと人懐こい笑顔で寄ってくる。

「お、わかってるな、ジルヴァラ」

「あなたは、少しは学習しなさい!」

 で、アーチェさんに叱られ、耳を引っ張られて遠ざかっていく。

「……もう。あ、きちんとサインはして、幻日様へ渡してあるわ」

 仕方ない子達ね、と言わんばかりの眼差しを二人へ向けるソーサラさんの表情は、母のようであり姉のようでもある。

「そっか、ありがと。……主様、ちょっと腕緩めてくれ」

 やっぱり仲良しな三人を見てホッコリしたい俺だったが、体に回された主様の腕が締まってきてそれどころではなくなってきてしまった。

 俺のそこそこ切羽詰まった突っ込みに、主様は可愛らしくぽやぽや笑って首を傾げる。



「美人の胸に埋まって気絶は男の夢だと……」



 ズレまくった主様の呟きに、あら、と言ったソーサラさんがくすくすと楽しそうに笑っているが、実は俺は本当にそれどころじゃなくなりつつある。



「……あのさ、肋骨ミシミシいってんだけど」



 力無く俺が言った途端、トレフォイルの三人の顔色が揃って真っ青になり、俺を自らの胸に埋めて気絶させようとする主様を仲良く三人で止めてくれるのだった。

いつもありがとうございますm(_ _)m


ギリギリ肋骨は折れてないと思います←


感想、評価、ブクマ、いいねなどなどありがとうございます(。>﹏<。)

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