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112話目

今回は、主様たくさん頑張って喋りましたで賞をあげたいです。


書き終わってから、主様結構喋ったな、と思ってしまいました(*ノω・*)テヘ


さすがに質問されたら答えてくれるようです(ロコ限定)

「よし、今日は起きて帰り着いたぞ」

「……寝てても構わなかったんですが」

 何処か残念そうな主様の声を聞きながら、俺はしっかりと覚醒した状態で馬車から自分の足で降りる。

 御者さんにお礼を言って見送る間も、主様は何処か残念そうに俺を見下ろしている。

 ちょっとした達成感からニマニマしていた俺を急な浮遊感が襲い、足が地面から離れる。

 なんて大袈裟に言ってみたけど、ただ主様から無言で抱き上げられただけなんだけどな。

「俺、起きてるんだけど?」

「はい? 知ってますが……」

 それがなにか? という顔で満足そうに俺を抱いた主様を見て、俺はそれ以上の突っ込みを諦める。

 主様が俺を抱いて帰ってくることを想定していたのか、それとも知る方法があるのかはわからないのが、主様が辿り着く前に玄関の扉が開く。

「オ帰りなさいマセ」

 そこから挨拶の声と共に現れたのは当然プリュイだ。

「ただいま、プリュイ」

「戻りました」

 俺達の返した挨拶に、プリュイはふるふると微笑んでくれている。

「何か留守中異変は?」

「白い害虫ガうろつイテたのデ、威嚇シテおきまシタ」

「それは素晴らしい働きですね」

 洗面所へ向かって歩きながら、主様とプリュイはそんな会話を交わしている。

 やっぱり何か悪の秘密結社的な雰囲気があって格好いいなぁと見惚れてる間に洗面所へ到着していて、プリュイによってあっという間に全裸にされる。

 青い触手が服の下へ入り込んで服を脱がせるという、絵的に絶対R指定が入るであろう光景だろうが、くすぐったくて身悶えしていた俺はそれどころじゃ無かった。

「や、もう、だめ……らって……」

 疲れ果ててくたりとした俺を、いつの間にか自分で服を脱いだ主様が抱え、そのまま浴室へと運ばれる。

 帰ってすぐお風呂へ入るつもりだったなら、そう言ってくれれば良かったし、服を脱ぐのだって当然自分で出来るのに。

「ロコ?」

「……プリュイは主様に似てると思う」

 やっぱりペットは飼い主に〜云々の失礼な考えは、あながち的外れではなかったらしい。

 そんなことを疲れた頭で考えながら、俺は無抵抗で主様に抱えられたまま体を洗われる。

 こうやって洗えば、俺を押し倒したりしないと気付いたらしいが、そこを気遣うぐらいなら自分の作った魔法人形が俺を触手で剥く前に止めて欲しかった。

「あの魔法人形は私が創りましたので、似てしまうのは仕方ないと思いますが……」

 体を洗い終わったので俺を風呂椅子に座らせて髪を洗い始めながら、主様は背後で首を傾げつつ律儀に答えてくれるようだ。

 やっと触手による脱衣のダメージが抜けてきた俺は、目の前の鏡越しに見える主様を見つめて首を傾げて返す。

「他の人の作る魔法人形も、プリュイみたいな感じなのか?」

 体を洗う力加減はおかしいのに頭を洗うのは上手という主様の謎仕様な手によってとろんとしながらも、ずっと気になっていたことを訊ねてみる。

「見た目に関してでしたら、たぶん特殊だと思います。屋敷の管理をさせるのに便利かとあのような姿にしたので」

「へぇ、そうなんだ。他の人は魔法人形に屋敷の管理とかさせないのか?」

 普段のプリュイを見る限り、主様の言う『屋敷の管理をさせるのに便利』というのは納得出来る。

 伸びたり変形したり分裂したり、そのままあちこち掃除出来たり補修出来たり、一人で何人分働くんだというぐらいに働いている。

 なら、他の人も気付いてプリュイみたいなぷるぷるボディな魔法人形作りそうなものだけど。

「さぁ。私が、私の創った以外の魔法人形を見る時はいつも戦場でしたので、訊ねるべき相手はいませんでしたね」

「そっか、普通は戦闘主体なのか」

 そう考えるとプリュイは豪華な使い方なのか、とへらっと笑っていると「目を閉じて」と声をかけられたので素直に目を閉じると、優しくお湯をかけられて全身洗い流される。

 そのまま、脇に手を差し込まれて浴槽へと運ばれて浸けられたが、主様はそのまま回れ右をして髪を洗いへ戻るようだ。

 主様ほど長いと、洗うのも一苦労だろう。そう思いながら浴槽の縁へ顎を乗せて眺めていると、自分の髪は驚くぐらい適当にさっさと洗っている。

 それであれだけ綺麗な髪なのは、主様の新陳代謝の勝利なんだろうか。

 どうでもよく……ないけど、考えていても仕方ないので、髪を洗い終えて戻ってくる主様のために端へ避けて場所を空ける。

「主様。洗ってくれて、ありがと」

「どういたしまして」

 お礼を伝えた俺にぽやぽやと微笑んでくれた主様は、浴槽へ入ってくると俺と向き合う……体勢にはならず俺を無言で持ち上げて背後から抱え込む体勢でお湯に浸かる。

 ギリギリ溢れなかったお湯でゆらゆら揺られながら、俺は遠慮なく背もたれとなった主様の体に体重を預ける。

「ダンジョン内には、ダンジョンが創り出した魔法人形が存在しますが、それらはそこのダンジョンを構成している素材で作られていることが多いですね」

「ダンジョン! なぁ、もちろん主様は入ったことあるんだよな? ダンジョンの中ってどんな感じなんだ?」

 不意に出て来たダンジョンというファンタジー感溢れる単語に、俺は湧き上がってくる好奇心を抑えられず、魔法人形のことをそっちのけで矢継ぎ早な質問を繰り出す。

 そういえばダンジョンに入って素材集めたり、クエストもあったりしたよな、とほとんど思い出さなくなっていたゲーム知識も出てくるが、魔法人形のことよりさらにどうでも良いので深くは思い出すことなく終わる。

 ラノベの脇役主人公なら、この間俺がしっかり思い出しておけば、的な展開はありそうだが、俺に関しては可能性はゼロだろう。

 万が一そういうのがあるなら、あのゲームより行動力ありそうなヒロインちゃんに任せておけば大丈夫そうだし。

 数秒だけ悩んでから一人で納得してうんうんと頷いていると、主様が濡れ髪を掻き上げてくすくすと笑う。

「ロコ、聞いてませんでしたね?」

 俺相手に無駄な色気をたれ流している主様の言葉に、俺は主様の答えを聞き逃してしまったと悟って、バッと勢いよく体ごと振り返って主様の足を跨いで向かい合う。

「ごめん、ちょっと違うこと考えてた」

「目の前に私がいるんですから、私のことだけ考えて……」

 主様の濡れた手が頬に添えられて、ゆっくりと撫でられる。

 俺口説かれてる? と誤解しそうな仕草で俺の頬を撫で回してから、主様はふふと楽しげに笑って先ほどと同じことを繰り返してくれるつもりらしい。

 まぁ、全く聞いてなかったから、違うこと話されてもわからないけどな。

「ダンジョンとは、自然が生み出した迷宮という感じなのですが、各地に点在していて、中は千差万別です。基本的にダンジョンの中にいるモンスターはダンジョンから出ることなく、今見つかっているダンジョンは、そのダンジョンの入り口がある国で管理されています」

 いつもより若干キリッとした表情で主様はそう説明をしてくれる。主様にしてはかなりの長台詞なのに、俺はさっき聞き逃してしまったのかと思うと申し訳無い。

「管理? ダンジョンって勝手に入れないのか?」

 しっかり気合を入れ直して聞こうと決意を新たにして、まず気になったことを口にする。

 ゲームでは勝手に入りまくっていた気がするのは、ヒロインちゃんが貧乏ながらも貴族だったからなんだろうか。

「モンスターが溢れる危険性もありますし、貴重な素材や希少なモンスターがいるようなダンジョンもありますからね」

 そんな俺の疑問を知る由もない主様は、ダンジョンが管理されている理由を教えてくれる。

 言われてみれば確かに装備を作るため貴重な素材をダンジョンの中で集めた朧げな記憶はある。

「へぇ……でも、入り口は普通に開いてるんだろ?」

「ええ。塞がれている様式のダンジョンもありますが、大体は自然の洞窟や岩の割れ目のような感じの入り口ですから。管理をされている場合は、そこに兵士が立っています」

「ふーん、モンスターはそこから出ようとは思わないのか?」

「……説明しづらいですが、ダンジョンとはそれ自体が大きな生き物のようなものなんです」

 大きいアピールなのか、主様は両手を目いっぱいに広げながら説明をしてくれたのだが、いまいちダンジョン=生き物というのが入ってこない。難し過ぎるせいか、何だか頭がボーッとしてきた。

「大きな生き物……みたいなもの? だから、意思……まではいかなくても、モンスターを、吐き出さないようにしたりは、出来る……?」

「その通りです。それが出来なくなってモンスターが溢れてしまうと……──」

 どんな質問にも主様はきちんと一つ一つ答えてくれて、嬉しくなってしまっていた俺は自身の限界を完全に見誤った。

 主様の話す声が段々遠くなっていく気がして何とか聞きたくて足掻くが、さらに視界までゆっくりと歪んでいき、





──俺はそのままのぼせて意識を手放してしまったようだ。

いつもありがとうございますm(_ _)m


またちょっと説明回でした(。>﹏<。)


お風呂の中でそんなことやれば、幼児はのぼせますよねー。


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