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110話目

本日は、幕間含めて2話投稿です。

これは1話目です。


説明回です!


まぁ、簡単に言うと『前例作っちまったけど、それが酷すぎたので、後見があれば年齢制限ゆるくしてやるのはやるけど、その後見のハードル上げたぜ』という話です。

しかも、しっかりとした罰則が後見となった冒険者へ課せられるので、ジルヴァラより向こうさんにダメージがありそうです←


書いてて疲れたので、息抜きで本編に入れにくい幕間書きました。

「比べる比べないの話ではなく、少し手続きが面倒臭くなったという話だ。前例のクソガキは、やたらと無駄に自信満々なA級冒険者が一人後見人になるという形での特例冒険者だが、さすがにそれは甘いという話になったというか、ボクがもっていった」

「私がロコを面倒見ます」

 この間練習したのを忘れてなかったのか、単にこの場で考えて口にしたのは不明だが、主様がぽやぽやドヤァという顔で宣言するのを、アルマナさんはちらりと見ただけで流した。

「今はA級冒険者一人ではなく、A級パーティーから後見となってもらうことが最低限の条件だ。いくら幻日が面倒見るといっても裁定は甘く出来ないな」

「主様はソロだから駄目ですか? というか、A級パーティーが後見だと、A級冒険者単体より信用度が上になるんですか?」

 俺の背後で、私は? 私は? という顔しているはずの主様はアルマナさんからも見えてると思うが、さっきから完全に見ないようにしているようだ。

「駄目というか、幻日に関しては後見としての保証が低過ぎる。腕は立つが、まぁ色々仕出かし過ぎだ。口出してくる輩も多い。あとは、A級冒険者単体が悪いと言う訳じゃないが、一人だと買収やら誘惑やらされるかもしれないと信用度が下がった……主にクソガキの後見のA級冒険者のせいで」

「パーティーなら、全員がヤバい……って可能性が低いから後見に向いてるって感じで合ってます?」

「あぁ、馬鹿馬鹿しいがそういうことらしい。ま、普通のA級パーティーなら、しっかり自分達の実力はわかっているだろうし、こいつに喧嘩を売って死にかけることもないだろう。そう考えると、A級パーティー限定の後見はそこそこ良い考えかもしれないな」

 そう言って肩をすくめて苦く笑うアルマナさんは、さすが古い知人だけあって、主様の逸話を色々知ってるんだろう。

 A級冒険者パーティーの後見の話より、ついつい主様の話が気になってしまうあたり、俺は主様大好き過ぎだろうと内心で自嘲すると同時に口から出たのは、

「今度、昔の主様の話聞きたいです!」

 反射的に洩れてしまった俺の心の声に、アルマナさんは一瞬固まってから、すぐにふっと微笑んでくれる。

 やっぱりそれは、美少年な見た目にそぐわない達観したような老熟した微笑みだ。

「あぁ、今度話してやる。その時はジルヴァラの話も聞かせてくれ。一体、こんな傍若無人を絵に描いたような男と何年一緒にいるんだ?」

 あははと冗談めかせた口調で返してくれたアルマナさんは、ペンを持って一枚の紙に何かを書き込み、それを俺達の方へと向けて滑らせる。

「そこに後見となってくれる冒険者パーティーの名とリーダーの名前を書いてもらって持って来い」

 猫じゃらしにじゃれる猫のように反射的な動作で滑ってきた紙を捕まえ、書かれている文字を追う。

 その時、手の中に握っていた指輪が机の上に転がるが、俺の意識は手の中の紙に持っていかれていたので、指輪はそのままころころと転がっていく。

 俺が手にした紙の一番上にはアルマナさんが今書いてくれたらしい俺の名があり、下はただの空白だ。

「おう……じゃなくて、はい! で、主様、A級パーティーの知り合いとかいる?」

 どんな関係性かはともかく、主様は俺より長く生きてきて長く冒険者をやってるんだから、とほんの少しだけ期待を込めて主様を振り返る。

「ロコの方が仲良しです」

 しかし、ぽやぽやと返ってきたのは予想外な答えで、俺は「へ?」と気の抜けた声を洩らす。

「俺の方が仲良しって……」

 呟いて記憶を辿る……までもなく、すぐに主様の言葉が指し示す相手に気付いた俺は、へらっと笑って指を三本立てて見せる。

「ソルドさん達のパーティー、トレフォイルだな」

「へぇ、あの三人組パーティーと知り合いなのか。あのパーティーなら、後見として文句無しだ。が、一応言っておく。その紙はただの紙じゃなく、正式な契約となる物だ。名前を書いたパーティーは文字通り君の後見となり、君が何かをしでかした時は共に罪に問われる事となる。それをしっかりと伝えることを忘れるな」

 感心した様子から重々しく移行したアルマナさんの忠告の言葉に、俺は表情を引き締めて大きく頷く。

 主様の膝に乗せられたままだから、格好ついたかは謎だけど。

「ロコは私が面倒見ます」

 さっきとは言葉の順番を変えた主様が、またぽやぽやドヤァと宣言して、鼻で笑ったアルマナさんから流されている。

「あとはそれに署名を貰ってきてからの話になる。また、その時に詳しく注意事項は話そう。……で、さっきからずっと気になってるんだが、この不穏な指輪は何だ?」

 まるで臭い物でも嗅いでしまったような表情でアルマナさんが突いているのは、先ほど俺がテーブルへ転がしたままだったあの指輪だ。

「胸糞悪い指輪です」

 ふんっと鼻を鳴らして主様が答えるが、口調からするとアルマナさんと似たような表情をしているのかもしれない。

「何だ、それは。……確かに嫌な気配がするな。途中、ボクの探知魔法が遮られたのもこれのせいか」

「私の探知魔法も遮られました。……試してはいないですが、結界すらすり抜けるかもしれません」

 置いてけぼりな俺をよそに、美少年と美青年が真剣な表情で語り合っている。

 やっぱりこの指輪は何か意味のある物だったらしい。って、俺が拾って来たら不味かったんじゃないだろうか。

 今さらながら、この指輪は本来のゲーム主人公である、あのヒロインちゃんが持っていないといけないのではないかと気付く。

「あ、あのさ、俺、その指輪拾ったんだけど、持ち主に返さないといけないよな?」

 この場合の持ち主はヒロインちゃんでいいのか、その前にいたかもしれない本来の持ち主なのかわからないが、主様なら何とか出来るかもとおずおずと言ってみる。

「……どうでしょう?」

「それはちょっと待て。これはただの魔法を防げる便利な指輪じゃなさそうだ。……少しボクに調べさせてくれ」

 首を傾げる主様に俺も首を傾げていると、真剣な顔をしたアルマナさんが指輪を摘んで、そんな提案をしてくる。

「どうぞ。ちょうどこちらからも頼むつもりでしたから」

 俺が答える前に主様が答えてしまい、指輪はアルマナさんの手に渡り、綺麗な装飾の施された木の箱の中へと仕舞われた。

「よし、これでいい。……その書類に期限はないが、持ってくる場合はまた一報をもらえると助かる。ボクの方も、指輪に関して何かわかったら手紙で連絡させてもらおう」

「わかりました」

「お願いします! あと、ちゃんと主様に手紙お願いするんで」

 主様の簡潔な答えに目を細めていたアルマナさんは、俺の付け足した一言にぷはっと吹き出す。

「先触れの手紙など、お前らしくないと思ったら、ジルヴァラか」

 納得したよ、と声を上げて笑っているアルマナさんに見送られて、俺達はアルマナさんの部屋を後にした。





 行きはあれほど上った階段は、主様と手を繋いで降りた帰りではあっという間に一階だった。



 扉を開けようした主様は、何かに気付いた様子でゆっくりと瞬きをして手を止める。



『……そのまま、少しお待ちください』



 訝しんで首を傾げた俺の耳にも主様が手を止めた理由であろう声が届く。

 扉越しでわかりにくいが、あのベテランお姉さんの聞いてると落ち着くあの声だ。

 その落ち着く声は、今は少し焦っているというか、若干上擦っていた。




『今日こそギルドマスターに会わせてよ!』



『俺はA級冒険者だぞ!?』




 そんな感じのことを言っている人物が扉の向こう──冒険者ギルドの受付前にいるようだ。



 俺は無言で主様の手をギュッと握り、外が静かになってベテランお姉さんが声をかけてくれるまで、ここで主様とのんびり待つことにした。




 触らぬ(ヒロイン)に祟りなし、だ。

いつもお読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m


説明回、書いてて何やってんだこいつらと思いましたが、まぁこれで問題起きたらまた何かを変えるのでしょう(*ノω・*)テヘ


いつも反応ありがとうございます(*>_<*)ノ

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