105話目
リアルな寝坊しましたー(*ノω・*)テヘ
そして、今回短めです。
後半視点、変わります(`・ω・´)ゞ
「ギルドマスターは、どんな理由で俺達に会いたいんだ? それは書いてあるか?」
まだ物言いたげに見てくる主様の視線に気付かないふりをして、俺は思い切り話を反らして質問する。
手紙には書いてあるのかもしれないが、あまり他人に来た手紙をしげしげと眺めるものではないだろう。いくら貰った本人が見せつけてくるとはいえ。
「……ロコの前例となった少女が、かなりクソガキで手に負えないそうで、一応面談みたいなことをしたいそうです」
たぶん手紙には本当にその通り書かれていて、主様はそのまま読んだだけなんだろうけど、主様みたいな美人さんの口から『クソガキ』とかいう単語が出ると衝撃がヤバい。
思わずぶるりと身震いすると、寒がってると思われたらしく背後から包みこまれるようにギュッと抱き締められる。
主様の温もりに包まれて、あったかいなぁとほっこりしかけた俺だったが、俺もギルドマスターにとっては面倒臭いことを持ち込んだ『クソガキ』に当たるのではないかと気付き、ハッとして主様を振り返る。
「主様、ギルドマスターさんに俺もクソガキって言われないか?」
「ロコはクソガキじゃありません」
口調だけはいつも通りの主様だが、何だったら俺が言い切る前に食い気味でぽやぽやの消えた顔で返され、俺は「お、おう」と吃りながら頷く。
「私のロコを馬鹿にすることはロコでも許しません」
どうやら、俺は俺を馬鹿にしてはいけないようだ。
自分で言ってて意味不明だが、主様は言ってやったぜとばかりの表情なので、俺は少しだけあった反論をしようとする気持ちを放棄した。
●
子供を膝上に乗せたまま、万年筆を手に取ってさらさらと手紙の返事を書いていた青年は、ふと文字を書く手を止める。
「ロコ。ギルドマスターへ会いに行くのは明日……もう今日になっていますが、それで構わないですか?」
膝の上の子供へ確認のため話しかけたが答えはいくら待っても来ず、首を傾げた青年は手紙から視線を外して自らの膝上を見る。
そこには、青年の服の胸元をギュッと掴んですやすやと寝息を立てる子供の無邪気そのものな寝顔があった。
「可愛い……」
うずうずと何かを我慢するような表情を瞬き二つほどの間していた青年は、我慢しきれなくなったのか大きく口を開けて子供の円やかな頬をかぷりと甘噛みする。
「む……っ」
いやいやをするように頭を動かした子供は、犯人である青年の胸元へ顔を埋めるようにして防御する体勢となる。
もちろんそんなことで防御出来る訳もなく、青年は宝石のような瞳を細めて蕩けるような微笑みを浮かべて、子供の円やかな頬を今度は指でつんつんと突いている。
「む……」
それでも子供は小さく呻くだけで起きる気配はない。青年に体を預けて安心しきって眠っているようだ。
しばらくその反応を満足気に眺めてから、青年は書きかけだった手紙の返事を手早く書いて横長の封筒へ入れる。
さらさらと宛名だけを書いて封蝋で封をした封筒へ青年が何事か囁き、フッと息を吹きかけると、ただの白い紙の封筒だったはずのそれは見る見るうちに白い鳥へと姿を変えて、閉じたままの窓を突き抜けて外へと飛び出していった。
しかし、いくら待ってもガラスの割れる音がすることも、ましてや欠片が落ちてくる気配もなく、ただ夜の静寂だけがそこにある。
それを鳥を放った青年が気にする訳もなく、青年は眠り続ける子供を抱えて立ち上がり、手を振るだけで書斎の明かりを消してしまうと、窓の方を一度も振り向くことなく寝室へと向かって歩き去った。
一方、窓ガラスをすり抜けたとしか思えない白い鳥は、街灯の明かりだけが照らす薄暗い街の空を、鳥目って何だったっけという勢いで飛んでいた。
その飛び方には一切の迷いはなく、目的地であろう城ほどではないが目立っている建物へ真っ直ぐ飛んでいく。
二階建てが主の街中で三階建ての武骨なレンガ造りの建物は少し異質だが、そこが白い鳥の目的地のようだ。
その建物でも他の建物と同じようにほとんどの窓が明かりを消していたが、三階の窓にだけはまだ明かりが灯っており、白い鳥は弾丸のようにそこへ飛び込んでいく。
中にいた人物は、突然飛び込んで来た白い鳥に驚く気配もなく、室内を飛び回る鳥をガシッと掴み取る。
「……奴にしてはずいぶん早い」
吐き捨てるように呟く口調は荒く苛立たしさを隠していないが、その声音は口調の荒さに不似合いでいささか幼い。
そして声音の通り、声の主でこの部屋の主でもある手紙の受け取り主は、あの青年が可愛がる子供とそう変わらない年頃にしか見えない見た目の可愛らしい少年だった。
少年の手の中で潰れるかと思われた白い鳥は、くしゃりと形を崩してただの手紙へと変わり果て、少年に開かれるのを待っている。
「ふむ。今日のうちには顔を出せる、か。奴が連れて来るのだから、あんな『クソガキ』ということはないだろうが……」
手紙を読み終えた少年は、何かを思い出したのか、ふぅ、と見た目にそぐわない深いため息を吐いて、今まで自分が向かっていた机に積まれている書類の山を見つめる。
「今日も徹夜か……」
真っ暗になった建物の中で、少年のいるこの部屋だけ明かりが灯っていた理由が丸わかりな呟きを洩らして、少年は見た目にそぐわない腰を叩くという年寄りじみた仕草をしながら、書類の待つ机へ向かうのだった。
いつもありがとうございましたm(_ _)m
ストック尽きたので、すみませんが毎日投稿ではなくなります(。>﹏<。)
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