おじさん(イケメン)
ブクマ感謝です!!!
「お前たちにはこれから神聖森にて魔獣狩りを行ってもらう。今日は魔獣狩り初日だからノルマは15体だ。期限は門が閉まる晩の鐘が鳴るまでとする。行きと帰りは森までお前らを送り届けるがそれ以外は森で好きなように狩りをし、そして解体しろ。最後に武器と解体用ナイフはここにあるため各自好きなものをとるように。以上だ。」
奴隷の集団に向かって兵士が淡々と告げていく。魔獣狩りは神聖森という名の森で行われるらしい。魔獣がいるのになんで神聖って言われてんですかその森。
「最後に、お前たちもわかっていると思うがお前らの左胸には奴隷紋が刻まれている。先ほど言った魔獣狩りのノルマや期限は命令として下されているため下手なことを起こそうとしたり失敗すると激しい苦痛に襲われて死ぬから頑張ったほうが身のためだとだけ言っておこう。まぁ私にはあまり関係のない話だがな。」
最後にそう吐き捨てて面倒臭そうに他の兵士たちのもとに歩いて行った。というかやっぱり奴隷紋ってあるんすね。今すぐ見たいけど人いるし後で見よ。後意外としっかり説明してくれて助かった、やっぱり多少なりともお金がかかってるし、なるべく少ないお金で利益を生み出したいから奴隷をこんなに丁寧に扱ってるのかな?まぁ俺とか他の奴隷がいくらで買われたかはよくわかんないけど。特に質問などもないというか聞くことが出来なさそうなので一番前の奴隷から2つある樽のうち様々な種類の武器が無造作に入った樽の方から武器を選んでいく。悩む人もいるだろうし最後尾だから結構時間かかりそうだなぁ。
「おい、坊主お前も魔獣狩りに参加すんのか?」
樽の方を眺めていると隣から声がかかる。坊主って言ってるから多分俺のことだなこの中でぱっと見俺が一番子供だしな。最後尾に並ぶときに身長高い人いたなとは思ってたけどその人かな?そう思い声の主の方に顔を向ける。ぼさぼさに伸びた赤毛をした親戚のおじちゃんを彷彿とさせる優し気な表情をした男が視界に映る。ぱっと見で180cmはあるなと思うほど身長が高く、そこそこガタイも良い。いやぁ優しそうな人で良かったわホント。あ、そういえば今更だけど牢屋から連れられるとき兵士の人と話したけど最初は子供っぽく喋れてる自信あったけど最後普通に敬語で謝っちゃったから気を付けないとな、さすがに5歳児すみません言わないでしょ。
「そうだよ。」
「口減らしか何かかい?辛かったね。何歳なんだ?」
や、優しいこの人!でも口減らしではないし気づいたら奴隷になってたし自分転生者なんですよねぇ。
なんて答えよう。もう普通にわかんないって答えようかな。嘘ついて何かぼろ出るの嫌だし。
「5才。あとわかんない。気づいたらここにいた。」
「わかんないかぁ。家族に何か言われたりしなかったか?」
何も言われてないですはい。なんか優しそうだし良い人そうだししかもぱっと見強そうだからこの人に守ってもらうってのは結構良い作戦なんじゃないか?一人で何かするより大分生存確率高くなりそう。よし、そうと決まれば自分弱いです、魔獣狩りめちゃ怖いですアピールしとくか。
「家族いない。」
「...そっかぁ。その珍しい髪のせいで捨てられた可能性はあるなぁ..」
独り言だから声小さくしたんだろうけど普通に聞こえてますよ。やっぱり黒髪珍しいんですね、周りに一人もいませんもんね。
「ねぇおじさん、僕これから死ぬの?」
「いや大丈夫だ、俺が守ってやる。こんな小さな子供が死ぬのは嫌だからな。後俺はガルフだこれからはそう呼べ。」
ガルフさんまじかっけぇす、まじ一生ついていくっす。何この人良い人すぎるんですけど、なんでこんないい人が奴隷になっちゃったの?いやまぁ俺からしたらすごく助かってるんだけど。
「分かったガルフ、ありがとう。」
「なに、子供を見殺しにするほど落ちぶれちゃいないよ。そういや坊主の名前はなんて言うんだ?」
...名前?やっべぇ一番の難問来た。どうしよ、適当に名乗る?それとも日本にいたときの名前から取る?でもゴリゴリ西洋チックな名前が基本だろうからなぁ...ん?てかさっきガルフさん俺捨てられたんじゃないか説みたいなこと言ってなかったっけ?そうだ!それに乗っかっちゃえばいいや!
「...名前ない」
「あ、うっかりしてたわ、すまん」
「ううん、大丈夫」
よし、自然だ。ますます自分がかわいそうな子になるけどそれもある種いい感じに効いてるからまあいっか。
「けど名前ないと呼びにくいなぁ..坊主でもいいんだが...よし!坊主の名前はクロだ!」
いや俺は犬か!あなた絶対俺の髪見て決めましたよね?さっきもうっかりしてたとか言ってたし抜けてるところあるなこの人、いや良い人だけどさ。うん..分かりやすいけどさぁ..まぁいいや。俺は今日からクロとして生きていこう。自分で考えるとどうしても中二っぽい名前になっちゃうからこのくらい単純な方が後々精神的ダメージが少なく済みそうだし。
「分かった、僕はクロ。よろしくガルフ。」
「おう、よろしくな!クロ。」
今後自分を守ってくれるだろう(希望的観測)パートナーと握手を交わす。
「にしても名前は知らないのに自分の年は知ってんのな。」
「ご飯くれた兵士の人達が言ってた。」
「そういうことか。」
とガルフと話しているうちに自分たちの番が来る。この体で扱えるの短剣とかナイフとかしかないよな。長剣とか槍とかそもそも持てなさそうだしな。
「クロはここで待ってろ。俺がクロの分も取ってきてやるから。」
「..いいの?」
「おう」
「分かった。ありがとうガルフ。」
「いいんだよ、お前はクロはまだ5才の子供なんだから。」
....良い人すぎる!いや良い人すぎるよガルフさん!あなたホントになんで奴隷落ちしちゃったの?奴隷になってもこんなに子供のこと考える人なかなかいないと思うんですけど。しかも俺のことガキって言わないでちゃんと子供とか言ってるし。武器を物色しているガルフさんを眺めながら奴隷になった理由を考える。普通に借金かな?抜けてるとこありそうだし。いやどうだろう、もしかしたら誰かにはめられたとかもありそうだな。あれこれ憶測を立てているとガルフが少しでかめの長剣と短剣そして解体用ナイフを2つ持って帰ってくる。
「ほれ、クロはこの短剣だ。このベルト巻いて腰に差しとけ、ナイフも一緒にな。」
こくりと頷き言われるがままベルトを巻いて短剣とナイフを装備し、どのくらい重いのか調べるために少し動いてみる。やっぱり子供の体からしたらこの短剣も結構重いっすね。でもこれを上手く使えないと今後は生きていけないから慣れないとなぁ。。
全員に武器が渡ったところで兵士の一人がついてこいと馬に乗りながら歩を進めそれから最初並んでいた順番で兵士の後を歩き始める。これから裸足で結構な距離歩くんですよね..き、きつい。
「クロ肩車してやるよ、ほれ」
「いいの?」
「おう遠慮しなくていいぞ」
「ありがとう」
はい、好きです。この人まじ良い人だな...本当に助かります。この恩はいずれか返すよガルフさん。そうしてガルフさんに肩車されながら魔獣狩りの舞台へと進んでいく。
この作品を見つけそして読んでくれた方に最大の感謝を。




