表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/29

僕の進路(強制)

「...んん..ふぁ..」


目が覚める。寝る前に期待していたこととは裏腹に目の前には石造りの殺風景な部屋が広がっていた。


「やっぱり戻れるわけないですよねぇ...」


なんとなく予想していたことではあるが精神的ダメージが半端ない。つらいから自分ふて寝します。

私のことは探さないで状態になるんだ俺は。もうほっといてくれ..

ふて寝を敢行しながら現実逃避をしていると鉄格子の方から複数の足音が反響してくるのが聞こえる。ふて寝をしながらもしっかりと聞き耳を立てる。


「しっかしあの黒髪のガキもかわいそうだよなぁ。さすがに同情しちまうぜ。」


「あぁ、あの小汚い格好した子供か。話によるとあいつ5才らしいぞ。ほんとあんな年の子が魔獣狩りの餌にされるなんてついてないよな。」


「違いねぇな。」


...それ俺のことですかね?黒髪のガキとか完全に俺じゃないですかね?今魔獣狩りの餌って言いましたよね?一人頭の中で聞こえてきた声に向かって質問を投げつける。というかやっぱり魔獣とかいるんですね。わぁすっごいファンタジー。これがチート能力持ってて仲間がいて云々だったらわくわくしたんだろうけど餌呼ばわりされたら恐怖しか湧かないんですよね。

一人考え事をしていると先ほどの声の主が牢屋の前に歩いてきた。


「おい、ガキ。飯だ。それと少ししたらもう一度来るからそれまでには食べとけ。」


そう言ってご飯を昨日同様に置いていった。ちなみに食事内容に変化はなく黒パンと干し肉そして水でした。


「もう一度来るって言ってたのはその魔獣狩りとやらの話なのかな?」


硬い黒パンを咀嚼しながら考える。


「転生してすぐに死ぬのは嫌だなぁ..」


自分が魔獣とやらの餌として買われた奴隷であるとしたら生存確率は大幅に低いだろう。

だがしかしこんな転生してすぐに死ぬなんてのは嫌だ、絶対に。自分の最優先事項は怪我をせずに生き延びること。

これを常に頭の中央に据えておこう。


「けどあまりに情報がなさすぎるなぁ...」


魔獣狩りと言われてもそれって冒険者の仕事じゃないんですかね?なんでわざわざ奴隷を買ってまでするのだろう?魔獣についての知識もそうだしこの世界についての情報が足りなさすぎるな。死なないようにするといっても魔獣がどんなものなのか知らないと大分きつそうだし魔獣とか言ってたし魔法ってあったりするの?この世界。お金とか国の数や状況とか色々知りたいことはあるけど自由の利かない奴隷だから知ってても生き延びるためには役に立たなそうだな。

こればかりはしょうがないけど知らないことが多すぎるな。情報を集める必要がありそうだ。まぁ奴隷でこんな牢屋に入れられてる時点で集められる気はしないんですけどね。希望が見えない状況に軽く絶望する。そんなことなど知らんと言わんばかりに少し前と同じように足音がどんどん大きくなっていく。


やべ、まだ全部食べてないや。残ってたら残ってたでなんか言われる、最悪殴られるかもしれないから急いで食べなきゃ。残っていた黒パンを流し込み、頑張って咀嚼する。


「食べ終わってるみたいだな。出ろ。」


さきほどご飯を届けてくれた2人のうちのもう片方の男が牢屋の鍵を開け出るように催促する。到着する前になんとか食べきることができた。リスクはなるべく減らしていかなきゃな..

言われるがままに牢屋を出て後ろをついていく。そういえばさっき俺のことかわいそうとか言ってたよな。聞いたらなんかいい情報教えてくれたりしないかな。

何か問題を起こさないように黙ってついていこうと考えていたが予定を変更する。


「ねぇ、おじさん。僕は今からどうなるの?」


「...お前さんはいまから魔獣狩りに参加させられるんだ。」


少し言いにくそうにしながらもしっかりと答えてくれた。奴隷の質問にちゃんと答えるとかこの人普通にいい人だな。


「魔獣狩り?」


「ああ。お前さんは神魔の森に行って魔獣を狩って肉とか皮、そして魔石ってやつを伯爵様に届けるんだ。」


「伯爵様?」


「ああ、知らなかったか。お前はフレーザー伯爵っていう偉い貴族様に買われたんだ。」


「そうなんだ。ねぇ、魔獣ってどんなの?怖い?」


「...そうだなぁ。魔獣によって強さが違うから弱い奴はそんなに怖くないし、強い奴は会ったら最後みたいな感じだな。まぁお前さんみたいな子どもにとっては全部恐ろしいかもしれないな。」


「..そうなんだ。怖いの嫌だなぁ。」


それからはお互い一言も喋らず黙々と歩き続ける。いやまぁこんな5才の子供が死地に向かう状況気まずいですよね。心中お察しします。でも魔獣のことはあんまりごまかさずに話してくれてありがとう心優しきおじさん、おかげで死への近さを少し実感することができたよ(白目)。


歩いて少しすると自分のいた収容所みたいな場所を抜けて外に出る。おお!遠目にだけど中世っぽい建物が見える!しかもめちゃくちゃ空気綺麗!うわぁ..ホントに異世界来ちゃったんだな俺..

日本在住かつ海外に行ったことない身としては教科書とかテレビとかでしか見ないような石造りの家屋を見ることができて少し感動を覚える。


「そろそろいくぞ。」


「あ、はい。すみません。」


どうやらこのおじさんは自分がこの光景を見る時間をとってくれたらしい。優しいし嬉しいんだけどこんな年なのに周りの目も気にせず興奮しちゃってちょっと恥ずかしい。あ、俺今5才か。


さきほど同様におじさんについていく。少し先の広い場所に自分と似たような恰好をした大人や子供がいるのでおそらく目的地はあそこだろう。これから魔獣狩りに行かされるんだよなぁ..どうせなら町を散策したかった。いや、この魔獣狩りを乗り越えてなんとか町を散策しよう、そうしよう。...あれもしかしてこれフラグ?やっべぇ何やってんの俺。頭の中で無駄にフラグを立てた俺はぱっと見1クラス分の人数がいる奴隷の集団の最後列に連れられるのだった。


この作品を見つけそして読んでくれた方に最大の感謝を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ