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盗賊

ノルマが増えてから数か月が経ち暑い日が続いたかと思ったらあっという間に肌寒くなってきた。どうやらこの世界にも四季というものはあるらしく季節の流れから見て俺が転生したのは春だったらしい。

春から秋へと季節が変わり、神聖森も秋を感じさせる姿へと変わっていった。

この世界に来てからおよそ半年が経過した。


ここ数か月の間で変わったことはいくつかある。まず1つ目、魔獣狩りに参加する人数が6人減った。これで当初の3分の1ほどの人数がいなくなってしまった。だがしかし人数は減ってもノルマは減らない。

皆さん、これがブラック企業の実態ですよ、まぁブラックよりもひどい職場環境というか奴隷なんですけどね。しかも奴隷の中では結構待遇良い方だったりするんで超ブラックとは言いにくいけどね。


2つ目に自分の魔力量が増えた。正確に自分の魔力がどのくらい増えたかを測ることは出来ないが毎日魔力操作の練習をしたり、人目を盗んでは夜な夜な属性魔法の練習をしたことによって、自身の潜在魔力の量が増えたり魔力効率が前よりもよくなって消費魔力が減ったりしたのだと思う。

さらに属性魔法の練習を光→火→水→雷の優先順位をつけて練習したことによってなんと軽い切り傷なんかを回復魔法で治すことが出来た。他にも手のひらサイズの火が出せたりコップ一杯分の水を一気に出せたりと火と水属性もある程度慣れてきた。雷属性は静電気が出せました、はい。..こ、これからだから...俺の戦いはこれからだから...


3つ目、その多すぎる(俺目線)魔力を生かして新たな魔法(?)を発明した。名付けて「魔力装」。

これは身体強化と俺の異常な魔力量から使えるのではと試した結果できた魔法である。


まず初めに説明すると身体強化は体の内部にある魔力を足や腕などの体の一部分や全体に巡らせることで普段の数倍の力を発揮できるというものである。普段から愛用しているこの魔法、めちゃくちゃ便利かと思いきや実はそこには欠点が一つある。それは魔力を込めすぎると強化された力に体が耐えられなくなってしまうというものだ。この欠点はガルフが教えてくれたのだが実際に冒険者時代に腕に魔力を込めすぎたせいで骨が折れてしまうという笑っていいのか分からない事件が発生したらしい。ちなみお仲間さんは骨折した理由を聞いて爆笑してたそうです。


話を戻してこの魔力装は身体強化とは異なり魔力を内部ではなく外部に放出しその魔力を皮膚や服の上で維持する。そうすることによって魔力が鎧のような働きをしてくれ、相手の攻撃を防いでくれるというものである。また、武器にも魔力を纏わせることで切れ味が上昇するのである。今までは切れ味が不安で突き刺すことしかできなかったが今では普通に斬りつけでの攻撃も可能になっている。


この魔力装は身体強化と違い魔力を多く込めても特にデメリットはなく、込めた分だけ防御力や攻撃力が上がるというとても便利な魔法なのである。唯一と呼べる欠点は魔力消費量が半端ないということだ。体感身体強化の3,4倍は魔力を使ってる気がする。これも慣れてどんどん魔力の効率を上げていけば多少はましになるかもしれない。


4つ目魔獣狩りの行き来に兵士さんが付き添わなくなりました。それに伴い時間が大分緩くなりました。出発の時間も適当に皆が揃ったら行き、帰りはノルマを達成して晩の鐘が鳴るまでに帰るという感じになった。これで何か変わったことと言えばノルマが早く終わって他の人がまだ集まっていない暇なときに魔獣を狩って肉を食べることが増えたくらいだ。時間が緩くなる前に一度だけあったのだが最近は早くノルマを終えるのでほぼ毎日お肉を食べれるようになっている。パンと干し肉だけじゃさすがにきつかったからすごく嬉しかったです。


5つ目肌寒くなったことで長袖のボロボロとマントのようなボロボロが支給された。支給されたは良いものの見るからにボロボロなのでそんなに耐寒性能はない。着ないよりまし程度である。幸いなことにこの地域は雪は滅多に降らないらしい。それでも寒いですけどね。


他にも細かいところで言えば戦闘の練度が上がったり少し身長が伸びたり、ガルフと話す時の口調が大分砕けたりと色々あるが数か月による変化はざっとこんな感じだ。



「しっかし大分肌寒くなってきたなぁクロ。」


そう言いながら手際よく解体を進めるガルフ。現在俺たちはテレパスウルフという名前のCランクの魔獣を倒しそれの解体作業に取り掛かっていた。このテレパスウルフは通常のウルフとは違い真っ白な毛をした狼型の魔獣である。その毛の色からほとんどの人はテレパスウルフではなく白狼と呼ばれている魔獣である。この白狼、テレパスウルフも群れで行動しているが通常のウルフと比べて脅威度は大きく異なる。


この白狼はその名の通りにテレパシーか何かを使い群れ全体で情報を共有しており集団戦のレベルが段違いで高い。攻撃のタイムラグがほとんどないわ攻めるタイミングと引くタイミングがしっかり統一されているわもはやどこかの国の軍隊と戦っているような気分だった。

ちなみにその戦闘は厄介ではあったもののガルフが突っ込んで敵を各個撃破していきその背後などを俺がカバーするという脳筋戦法をとったため相手は陣形を立て直そうとしていたがこちらを放置しているとどんどん仲間がやられていくためその得意のテレパシーを使った連携を十全に発揮できずにやられていきました。普段から突っ込むガルフにその都度文句を言っているのだが今回ばかりは何も言えなかったのは少し癪でした。


「そうだね、しかもこんな布切れじゃ寒さに耐えられないよ。」


「それは違いないな。よし、魔獣の数は足りそうだから今日はこのあたりで切り上げて肉でも食いながらゆっくりするか。」


「そうしよう!今日は何狩る?レッドボアとかいいんじゃない?」


「適当に出会ったやつでいいだろ、わざわざ探すのもめんどくさいしな。」


「はいはい、いつもの感じね。」


ガルフの行き当たりばったりさには慣れたため適当に受け流す。ちなみにレッドボアとはその名前のままで赤い毛で身を包んでいる猪である。ランクはDで突進しかしてこないため非常に倒しやすい魔獣である。


「そんなに機嫌悪くしてどうした?そんなにレッドボアが食いたかったのか?」


「機嫌が悪いんじゃなくてガルフの適当さに少し呆れてたの。いつもすぐ突っ込むし大雑把だし。突っ込むガルフについてくこっちの身にもなってほしいよ。」


「悪い悪い、つい癖でな。」


「まぁ慣れたから別にいいけど。」


適当に喋りながら解体作業を終わらせて戦利品や荷物を整えて獲物(お肉)を探しに行こうとしたときに近くでガサガサと物音がする。物音とほぼ同時に立ち上がり武器を構え物音のした方向を警戒する。

耳を澄ませその物音に集中するとその音が近づいていくにつれ魔獣ではなく人の足音だと分かる。


「ねぇガルフ、これ魔獣じゃないよね?」


「ああ、聞く限り人間みたいだが..」


ざっざっざとその足音はこちらへどんどん近づいていきそしてその姿を現す。俺たちと同じ服装をした少しガタイのいいスキンヘッドの男が腕から血を流しながら走ってきていたのだった。そしてこちらに気づいたのか近づいてきて荒い呼吸のままこう伝えてくる。


「ぞ、賊だ。賊と出くわした。お前らも早く逃げろ!殺されちまうぞ。」


人の足音だと分かっていたが一応戦闘態勢に入っていた俺たちは一瞬その姿を見て警戒を解いたが、その傷を負った男の言葉を聞き体を強張らせる。


「賊だと?こんな森の中でか?道沿いだったら分からなくもないんだが。」


ガルフが男へと疑問を投げかける。確かにこんな危険な森の中よりも道沿いで待ち伏せしてそこを通る商人とかを襲った方が魔獣に襲われる心配もないしリターンも多いはずだ。


「俺もそう思ったんだがどうやら俺らがここで狩りをしてるのをどっかで見聞きしたらしくて、小遣い稼ぎとしてこうやって俺らを襲ってるらしい。ここは森の中で人目もないし俺らは奴隷だから殺すのも余裕だって。」


あー..なるほど、確かに俺ら襲いやすそうだなぁ。こんな森の中探索するの冒険者の人ぐらいしかいないし寒くなってくると人滅多に来ないしね。そう考えたら俺らすごい鴨だなこれ。

盗賊が俺らを襲う理由に納得しているとスキンヘッドの男がガルフのに縋りつき恐怖に染まった顔で訴えかける。


「早くここから離れた方がいい!さっき走りながらだが2、3人こっちを追いかけてきてるのを見たんだ!多分そろそろ追いついているはずだ!」


いやそれ早く言えよ!!なんで最初に話してくん無かったの!そしたらまだ逃げれたじゃん!


「おい、それを早く言えよ..」


「す、すまん..焦ってて言うのを忘れてた..」


ガルフも同じことを思っていたらしく手を額に当て呆れている様子だ。いやまぁ普通そう思いますよね、分かりますその気持ち。そうこうしていると男がやってきた方向から複数の足音が近づいてくる。


「手間かけさせやがってったく、お?なんだお前らもそいつの仲間か?しかもいいもん持ってんじゃん。いやぁホント小遣い稼ぎにはもってこいだなこれ。」


こちらを、正確に言えば俺らが倒した魔獣の戦利品を見ながら悪い笑みを浮かべる。絶対に負けることがないと分かり切っているようで余裕な態度で歩を進めてくる。


「クロやるぞ。」


小声でガルフに言われ武器を構える。


「しかも一人はガキかよ。お前もついてないなそこの黒髪の奴。ま、可哀そうだし一撃で殺してやっから安心しな。」


そう言って斧を持った男が笑いながら距離を詰めてくる。



この作品を見つけそして読んでくれた方に最大の感謝を。

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