北方プロジェクト 第七
本編。
冬将軍はいつもの通り、偶像の様に、どっかと玉座に座っていた。将軍は飾りと言わんばかりに、忙しく配下が右左展開している。「雪よ降れ、降れ、降れ。」
フレーフレーと忙しく、各地で配下達が雪の応援団をしている。今は冬、冬将軍が顔を見せる頃、あのナポレオンやあのヒトラーをも打ち破ったあの強力な冬。その冬将軍の配下がフレーフレーと叫んでいる。何故、日本語かと言うと、この界隈では、日本語が標準語なのだそうだ。
将軍は身じろぎはするのだが、特にやる事も無いので、スマホゲームに浸っていた。
フレーフレーと言う配下をよそに、春将軍の到来を配下達が待ち望んでいた。
「春よ恋春よ恋。」
と早々と春将軍の前に配下達が姿を見せ始めていた。
彼女らはいわば、冬を冷愛にたとえて、春を恋にたとえて、呼び続けていたのだった。
そして、春。
春将軍御自ら、「育てい。咲けい。」と声をかけて回っていた所を配下達がちょっかいを出す。「もっと声を張り上げて!」
「育てい。咲けい。伸びろ伸びろ。」
配下達がまた、「もっと、華を扱う様に丁寧に!」
「育てい♪咲けい♪伸びろ伸びろ♪育てい育てい♪」
今度は配下達は「あんまり調子に乗るんじゃありません。春将軍殿?」
「うぅ・・・・・。育てい。咲けい。伸びろ伸びろ伸びろ。」
そんなこんなで陽気な日々もブラックなしかもアットホームな職場も過ぎ去っていくのだったが、一人、闖入者が。