第78話 気後れしない兄妹
「あははー、静里菜に再会できたらお兄が静里菜のえっちな姿を想像してたって言っちゃおうかなー?」
優羽花は俺をじとっとした目つきで見ながらニヤニヤしている。
いわゆるジト目が再びである。
むっ、また俺の愛しい妹がこの兄に攻撃を仕掛けて来たぞ!
基本的に俺の妹は兄に対してこんなにもドS気味です!
「…こ、こらっ、それはどうか止めて欲しいぞ優羽花!」
俺は静里菜の符を懐に大切にしまうと、優羽花に下手に出てお願いをする。
「ふふん、いくらお兄でも静里菜に聞かれるのは恥ずかしい? それとも軽蔑されるのはイヤなのかなあ?」
「…まあ、それもあるけどなあ。静里菜はなあ…
『想像だけで良いのですか? 何でしたら見ます?』
とか言いそうだからなあ…兄としてはな、ちょっと困るんだよ…」
「んー…確かに静里菜ならそんなことも言いそうな気もするわね…。
わかったわよ、言うのは辞めにしておいてあげる」
優羽花は腕組みをして目を閉じ、一考してから納得の返事をしてくれた。
静里菜の性格は16年間一緒に姉妹の様に過ごしていた優羽花のほうが俺よりも良く分かっているだろう。
兄の懸念振りが伝わって何よりである。
「ありがとうな優羽花」
「あははー、借りひとつ、だからね」
「抜け目ないな!」
「元の世界に帰ったら何奢ってもらおうかなー?」
「くっ…兄の財布は心もとないので控えめでお願いするぞ」
「甲斐性なしー」
「引籠っていた兄にその言葉は容赦無さすぎるぞ、愛しい我が妹よ!」
俺と優羽花は遠慮なく言葉をぶつけ合った。
お互いに内心を隠すことなく言い合えるというものは良いものだと俺は思った。
「ははは、やっぱり優羽花とはこういう遠慮ないというか…気後れしない関係が良いなあ」
「何よその気後れしない関係って! あたしのことはポーラさん達みたいに女の子としては見れないって言いたいの!」
「そんなことは無いさ。俺は優羽花のことは魅力的な女の子だとは思っているよ。
気が強そうに見えて実は優しいし、結構周りへの気配りも効くし、見た目も可愛いし、料理も上手い」
「何よう…今度は急に褒めて…あたしだってお兄の事は頼れる男のひとだって思っているんだからね!
優しいし、面倒見は良いし、結構格好いいし…」
「ははっ、ありがとう優羽花。そう言われると兄冥利に尽きるなあ」
俺は優羽花のお褒めの言葉に素直に喜んだ。
だが彼女はちょっと難しそうな顔をして俺に言葉を続けた。
「お兄はあたしと遠慮のない関係が良いって言ったけど…これからも今のままの関係が良いの?」
お読み頂きありがとうございました。
良ろしければ
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