第7話 無職ニートと二人の妹
「はあ…はあ…やはりだいぶ身体がなまっているなあ」
町内を軽くひと周り走って自宅に帰って来た俺、鳴鐘 慧河、25歳。
上司に捨て駒にされ会社をクビになって今は絶賛無職ニート中である。
これぐらいの走り込みで息が上がるとは…これは身体を鍛えなおす必要があるなあ…としみじみと思いながら玄関の扉を開けた。
「お帰りなさい、兄さん」
そこに居たのはお隣の地ノ宮 静里菜。
着ている服はさっきの巫女服ではなく彼女が通っている高校の制服である。
「…おや、もしかしたら普段は見ない制服姿にどきっとしましたか?兄さん」
「ちょっとびっくりしただけだよ! …まあ、少しどきっとしたけどなあ」
「ふふ、わたし兄さんのそういう正直なところは好きですよ。ではこちらに来てください、もっとどきっとすることがありますから」
静里菜はそう言うと俺の手を引いて家の中へと歩いていく。
家の居間の扉をくぐるとそこには鮮やかな紅白の巫女服に身を包んだ俺の妹、鳴鐘 優羽花が立っていた。
「うああ…」
俺は思わず間抜けな声を出して呆けてしまった。
俺は巫女服大好きな人間である。古代語で言うなら巫女萌えである。
日本が生み出した至高の衣装、巫女装束に身を包んだ俺の可愛い妹の姿に俺は見とれた。
何て素晴らしいんだ。いやこれはそういう言葉では足りないだろう。
「尊い…」
俺の口からそんな言葉が自然に漏れた。
「…な、何言ってんのよお!この馬鹿お兄!」
優羽花は顔を真っ赤にして叫んだ。
「良かったですね優羽花。わたしだけ巫女服なのがずるいって言うので服をお貸ししたのですが…この通り兄さんはたいそうご満悦されてますよ」
「ご、ご満悦って!? この馬鹿お兄! そんな目でこっち見ないで! キモい! 本当キモいから!」
「ああ、優羽花…兄さんにもっとよく、その尊い巫女姿を見せてくれ…」
「馬鹿お兄! そんなにじろじろ見ないで! こっち来ないで! この巫女オタクお兄! スケベお兄! ばか! ばかあ! もうこの服脱ぐ! 脱ぐからあ!」
「ああっ、駄目ですよ優羽花、巫女装束はそんな手順で脱いでは…」
静里菜の静止を振り切った結果、優羽花の着ていた巫女装束は帯がずれて続いて袴が下にずれて、下がった袴を踏んでしまった優羽花はそのまま床に突っ伏してしまう。
そして巫女装束は優羽花の身から離れて、彼女の麗しき乙女の肢体とそれを包む可愛い下着が白日の下に晒されてしまった。
「み、見るなあーー! この馬鹿お兄いぃーーー!!」
優羽花の絶叫が鳴鐘家に響き渡った。
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