557話 人魔会議
エクスラント聖王国の首都、
聖王都ホウリイ。
その中心にそびえ立つ王城、ホウリシア城。
俺と優羽花、ポーラ姫、ディラムは
高速飛行魔法を使って王城に帰還すると
王城内にある会議の間に入った。
「皆様、お待ちしておりました」
ポーラ姫の直属の姫騎士団の団長、シノブさんが一礼して出迎える。
「ケイガ兄君さま、皆お疲れさま」
続いてミリィ公爵が出迎えた。
「それじゃあみんな席について。
早速だけど会議を始めようじゃないか」
既に席に着いていたミリィ公爵に促されて
俺たちは会議の席に着いた。
魔竜将ガルヴァーヴ達、魔界の勢力と同盟を結んだ俺たちは
共に大魔王を倒すべく、
今後の戦略について彼らと話し合うのである。
しかし魔界に在する高位魔族は
地上と魔界の間に存在する結界に阻まれて
基本的に地上に出ることは出来ない。
そこで魔竜将の副官である魔騎士ディラムが
魔界勢力の総代表として出席する形となった。
「しかしディラム、
お前さんの上司の魔竜将が来れない理由はわかるんだが、
魔導将の爺さんは地上に出て来れたよな。
今回の会議に参加出来たんじゃ無いのか?」
「確かに魔導将アポクリファル様は御自ら編み出した
自身の魔力を抑える術によりこの地上界に現臨出来ている。
だがこの聖王都の都市区画そのものに組み込まれている
”聖なる陣”は我ら魔族にとっては少々厳しいのだ。
高い魔力であれば力任せに陣を撥ね退けることも出来ようが、
魔力を極限まで抑えた身である
アポクリファル様ではひととまりも無いだろう」
「そうだったのか?
そうすると…ディラムは大丈夫なのか?」
「我の身は人の血が半分入っている。
故に人の身体の部分で聖なる陣を受けることで、
やり過ごすことが出来るので問題はない」
「なるほどなあ」
この都自体に対魔族用の結界が張られていたとは。
しかもディラムの話によると相当強力なものの様だ。
流石は聖王国の名は伊達では無いという事か。
まずは円卓のテーブルの上席にポーラ姫が座った。
その左右にシノブさん、ミリィが座り、
その対面側に俺と優羽花が座り、
そして俺たちの間に魔騎士ディラムが座る。
つまり人間側の代表のポーラ姫と
魔族側のディラムが向かい合って対話する形である。
本来ならばディラムの左右には魔族側の者が席するのだろうが…
其処には異世界の人間であり、
この人間界では最もディラムと交流の深い俺と、
妹である優羽花が座しているという訳である。
「不満ですわ」
突如ポーラ姫が頬を小さくぷくっと膨らませながら呟いた。




