536話 ファースト妹の本音
「「「「はああっ!!!!」」」」
姫騎士団は
ポーラ姫とミリィを取り囲むと一斉に攻撃を仕掛けた。
「ポーラ!」
「はい、ミリィお姉様!」
対してポーラ姫とミリィは
手に携えた杖をクルクルとバトンの様に振り回して
攻撃の悉くを防いで見せた。
「雷槍」
「光線砲」
ふたりは同時に攻撃魔法を姫騎士団に向けて放った。
だが姫騎士達は一瞬で散開し、
ふたりの攻撃魔法を完全に回避して見せた。
「なるほど…ポーラ姫たちも組手稽古を始めたという事か」
俺は優羽花と戦いながら目の端で、
ポーラ姫たちが戦い始めたのを確認しながら呟いた。
俺たちの組手稽古を見て皆もやる気になったか?
いや…そもそも俺の異世界の妹たちは皆向上心が高いのである。
俺が何もしなくても、自主的に修業を始めていただろう。
所詮は俺など只のきっかけに過ぎない。
「…何をよそ見しているのお兄!」
優羽花の繰り出した鋭い剣突が俺に襲い掛かる。
俺は状態を逸らして紙一重でその一撃をかわした。
しかし攻撃はこれで終わってはいない。
優羽花は俺に向かって音速で剣を突き出し続ける。
俺は回避に全力集中した。
「今はあたしの相手をしているんだから!
ほかの人に気を取られないでよ!!」
「しかし兄としては妹全てを視る必要があるしなあ…」
「あたしがお兄の最初の妹なんだから、まず一番に見なさいよ!」
「…おおっと!?」
今の一撃は速かった。
気持ちが篭った渾身の一撃。
つまり今の言葉は優羽花の本音か?
「おいおい…
焼きもちか?
我が妹よ」
「ええそうよ!
悪いの?」
「…何か随分素直じゃ無いですか優羽花サン?
いつものツンデレはどうしたんだ?」
「他人行儀にサン付けするな!
あとツンデレ言うな!
あたしも色々面倒くさくなったのよ!
だからもう言いたい事は言う事にしたんだからね!
このこのこのこのー!!」
音速を超えて超音速の剣突の嵐が俺に向かって雪崩れ込む。
これは回避しきれない、ならば!
俺は腰に差した中剣を引き抜くと、
高めた気を剣の刃に纏わせる。
「地ノ宮流気士術・十一の型、気円斬撃!」
俺の放った気の斬撃波は、
優羽花の放った超音速の剣突をすべからず捉えて衝突する。
さしもの星剣とて、完全にその動きを停止させられた。




