535話 限界突破への入り口
「ボクの今の最高魔力数値は310、
ポーラの最高魔力数値は350、
この短期間で順調に伸ばしている。
この調子で行けば中位魔族の魔力数値400に到達するだろう。
魔族は総じて人間より魔力が高くて強い。
ボクたちは単体では魔族には敵わないと思っていた。
でも実際はそうじゃないということになるね。
ボク達はこの世界エゾン・レイギスでの常識的な概念に…
知らぬ間に捕らわれていたみたいだね。
まったく…
魔法の真理を追究し続ける魔法学者であるこのボクが、
自分に勝手に上限を決めて縛っていたなんてね…
情けない限りだよ」
「ミリィお姉様…」
「よし!
鉄とオリハルコンと日緋色金は熱いうちに打てと言うからね。
さっそくボクたちも組手稽古を始めるよ!」
「ミリィ公爵様、姫様。
その組手稽古…私たちも参加させて下さい」
「シノブ?
そして姫騎士団のみんなも?」
「私たちは二人がかりの合体魔法でやっと…
高速飛行魔法を使える程度の魔力数値です。
ですが姫騎士団全員で戦えば、
お二人にも引けは取りません!
私たちも修業してより強くならなければなりません。
まずは個でも中位魔族のレベルにまでは鍛え上げたいと思います」
「つまり、ボクとポーラで魔力数値1000。
姫騎士団8人全員が魔力数値400を目指すという事になるね。
ふふふっ…合計魔力数値5000以上だよ!
国家戦力級のレベルだよね?
少し前のボクたちなら只の夢物語だと思っていた数値だよ?
でもケイガ兄君様とユウカが異世界・日本から現れて
ボク達の常識はあっという間に崩されていった。
そしてどんどん強くなっていく兄君様たちと修業して、
ボク達も強くなっていった。
そんな今のボク達なら合計魔力数値5000は決して夢物語じゃない!
いや…それ以上の数値だって可能なんだ!
ボク達人間は限界を決めてはいけないんだよ!
ケイガ兄君様はボク達にそのきっかけを与えてくれたんだね」
「そうですわミリィお姉様!
やはりケイガお兄様は素晴らしいお兄様なのですわ!」
「シノブ団長、ああ言いましたけれど…
あたくしたちの魔力数値は平均90前後」
「つまり今の4倍以上を目指すという事」
「でもやるしか無いよねー?」
「私たちは姫様の剣、
主人が限界を超えていくというのなら、
それに従うのが剣の役目ですわ」
「それでは参ります、姫様方!」
シノブ団長以下、姫騎士団は一斉に武器を構えると
ミリィ、ポーラ姫と対峙した。




