第51話 俺と8人の女騎士妹
「それではケイガ兄様、私も新たな兄妹の契りの儀式をお願いいたします」
姫騎士団の団長、シノブさんが俺の側にやって来て言葉を述べた。
「ああ、シノブさん、これからもよろしくお願いします」
俺は彼女の手を優しく握りながら言葉を返した。
いやあ…シノブさん、どう見ても貴女、俺と同い年でも無くて年上だと思うんですよ。
年上の妹とか妹の概念が破壊されますよね。
まあ俺はそんなしれっとした感じの貴女が嫌いじゃないんです、すごい美人さんですしね。
「「「ケイガ兄様ーー!! 私たちも新たな兄妹の契りの儀式をお願いいたしますーー!!」」」
姫騎士団員7人の黄色い声が響いた。
…知ってた。
まあ、そうなるな。
これは妹たち全員参加の俺イベントなのである。
もちろん俺が主催側、妹たちをもてなす側なのだ。
俺の前に姫騎士団員全員が綺麗に整列している。
皆、自分の手を見たり取り出したハンカチで手を拭いたり手鏡を出して自分の顔を確認したり髪を整えたりしている。
ええと、これは…アイドルの握手会か何かが始まるんですかね…?
「姫騎士団員1番、カエデでーす。改めてよろしくお願いしまーす、ケイガお兄様ー」
「ああ、よろしくなカエデ」
俺はカエデの手を優しく握りながら答えた。
カエデは少し間延びした喋り方をする子だ。
その物言い通りに少しのんびりした雰囲気があるが戦闘では一転して先駆けを務めている。
「今度一緒にお昼寝しようねー」
「えっ…そ、そうだな」
えっ妹と添い寝?
…でも妹だから良いのか。
俺は昔、優羽花、静里菜と一緒の布団で寝ていたことを思い出した。
まあ二人が幼い頃の話ではあるのだが。
「姫騎士団員2番、モミジです。改めてよろしくケイガ兄様」
「ああ、よろしくモミジ」
俺はモミジの手を優しく握り返事をする。
モミジは自分で作った大きなおにぎりをいつも携帯しているみたいで良く食べる子みたいだ。
結構美味しいおにぎりだったなあ。俺の分も作ってくれるって言ってたけど手間じゃないのかな?
「姫騎士団員3番、イチョウと言います、改めてお願いしますケイガ兄様」
「よろしく、イチョウ」
イチョウの手を優しく握りながら俺はそう答えた。するとイチョウも俺の手を握り直して来た。
「姫騎士団は私にとって家族なんです…そしてケイガお兄様も家族…大切な家族を守るためにイチョウはこれからも頑張りますね」
彼女は前の戦いで黒川のゴウレムに吹き飛ばされたカエデを真っ先に受け止めていた。なるほど、仲間意識の強い子なんだな。
…何だか目線の圧が強いのがちょっと気になるんですけどね。
「姫騎士団員4番、クレハと申します、ふつつかな者ですが…改めてどうぞケイガ兄様」
「こちらこそよろしくなクレハ」
俺はクレハの手を優しく握ってそう答えた。
クレハはちょっと硬い言葉遣いの喋り方をする子だ。
いつも携帯食の豆を持参していて、いざという時の為に色々と備えているらしい。しっかりものさんだ。
「姫騎士団員5番シダレです! 改めてよろしくね! ケイガ兄様!」
「ああよろしくな! シダレ!」
俺はクレハの手を優しく握って元気に答えた。
シダレが元気いっぱいの喋り方をする子だ。
実際戦闘でも姫騎士団の中で一番機敏に動いていた。俺の見立てでは特に足腰に定評がありそうだ。
「兄様こんど一緒に朝のランニングしようね!」
「おう!」
俺は半年間引籠りだったらか身体が本調子からは程遠い。一緒に走ってくれるのなら大歓迎だ。
「姫騎士団員6番、イロハ。改めてよろしくお願いするわよ、ケイガ兄様!」
「よろしくな、イロハ」
俺はイロハの手を優しく握り答えた。
イロハは漫画やアニメで出てくる悪役令嬢みたいな特徴的な喋り方をする子だ。
でも俺がお腹がすいたと見るや、持っている干し芋をくれたりと優しい。
「前に差し上げた干し芋はあたくしの手製ですのよ、欲しくなりましたら遠慮なく言ってくださいまし!」
「ああ、その時はお願いするよ」
実は結構庶民的な子なのかしれないな。
「姫騎士団員7番、ツツジ…改めてよろしく…ケイガ兄様」
「ああ、よろしく、ツツジ」
俺はツツジの手を優しく握って答える。
ツツジは大人しそうな感じの子だ。
彼女は普段は長い前髪でその目が隠れがちになっているのだがその実は綺麗な瞳をした美少女である。
漫画やアニメで出てくるメカクレさんと言うべき存在だ。
姫騎士団最後のツツジが立ち去ってこれで今回の兄イベントも無事終了。
今回も兄として問題なく振舞えた…俺はほっと胸を撫でおろした。
姫騎士団は全員、美人、美少女揃いである。
俺はみんなの兄だが、油断するとそんな彼女たちを普通に魅力のある女性として見かねない。
そう見ない様に、常に気を付けなければならないのである。
俺はみんなにとってあくまで頼れる兄なのだ、そんな兄が妹を性的な目で見てはいけないのである。
「…ん。鳴鐘家の長女、鳴鐘 優羽花。改めてよろしくね、お兄」
頭の中で姫騎士団の妹たちへの立ち振る舞いについて改めて確認していた俺に、頬を赤らめた優羽花が恥ずかしそうにおずおずと手を差し出して来た。
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