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506話 魔竜将の望み

「くくく、流石は狂魔導学者(マッドソーサラー)

理解が早いな。

オレもいちいち説明しなくて助かるというものよ」


「確かに自身と契約した

魔物、竜、精霊と言った”召喚存在”を

空間転移で直接呼び出す『召喚魔法』でなら、

魔界と地上の境である中央域(センターポイント)を介さず、

地上へ直接転移することも可能じゃのう。


しかしお主?

儂ら魔界五軍将は

大魔王様を除けば、

魔界に住む生物の中で最高位の存在。


魔界五軍将になかでもとりわけ強さを第一とする

お主が”召喚存在”に格落ちして

自分より格下の存在に言うなれば

”使い魔”として召喚されるなど…

儂には到底考えられないのじゃが?」


「くくく…確かにな。

だが、召喚する者が

オレの最も信頼する副官であるならば、

許容できる範囲よ」


「なるほど…

お主はディラムに

召喚されたということ何じゃな?」


「オレの本当の望みに取ってみれば、

一時的な”格落ち”なども

気にする様な出来事ではないということよ」


「…お主の本当の望みとな…?

それは一体何なのじゃのう?」


「ククク…

魔導将アポクリファルよ、

オレと手を組め。

共に大魔王様を倒し、

魔界をオレ達の手に取り戻そうではないか?」


 魔竜将ガルヴァーヴは

 その大きな手に鷲掴みにしたままの

 アポクリファルの老いた細い腕を

 更に強く掴みながら問い掛けた。


「フォフォフォ…面白い冗談じゃな。

と、言いたいが

お主がこの様な冗談をいう理由は無いのう?


しかしガルヴァーヴ。

こうやって力づくで

儂の人造魔族(ホムンクルス)の身体を

魔力も含めて抑え込んでは…

此処から空間移動魔法で逃げることも敵わん。


つまり儂に対しての此の同盟の申し出は、

”ほぼ無理強い”では無いのかのう?」


「ククク、そんなことはあるまいよ。

例えお前の今の身体が

此処で破壊されてたとしても

魔界に居るお前には何の影響は及ぼすまい。


そして魔界に居る大魔王様派の

イルーラやリリンシアに

オレが大魔王様に反逆の意思を見せた事を

伝えることも出来ただろう?


本当にオレから逃げたければ

既にそうしているだろうしな?

しかしお前はそうしなかったでは無いか?」


「そんなこと言ってものう…

この身体を破壊されてしまっては、

再度魔界から地上に戻るに

多大な手間と時間が

かかってしまうでは無いか?


儂が手を掛けて地上に造った

この魔導研究室はのう…

やるべき魔導実験が立て込んでいるじゃ。

そんな最中で魔界の奥底から一から出直して、

中央域(センターポイント)を抜けて

此処に戻って来るなんて…

そんな無駄な時間と手間を

掛けたくは無いわい!」

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