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482話 急反応

「この先に潜んでいると思われる中位魔族が

魔力数値350というのなら、

控えめに言っても今の俺の敵では無いが…

でもあえて力を隠している可能性もあるからなあ、

油断は出来ないだろう。


イロハ、ツツジ。

鍛錬で魔力を増した

今のふたりなら中位魔族相手にも、

ある程度は渡り合えるだろうが…

此処は念のため俺ひとりに任せて

前線からは下がって居てくれないか?」


「了解ですわ!」


「…はい、兄様」


「それじゃあ…行くか」


 俺達三人は見通しの眼鏡(スカウターレンズ)が指し示す、

 魔力数値350の反応がある

 森の最奥の小山へと向かって歩き始めた。


 この先に潜んでいると思われる魔族が

 商隊が見た通りに竜の姿をしていると言うのなら、

 魔界に住まう竜、『魔竜(エビルドラゴン)』の可能性が高い。


 魔竜(エビルドラゴン)は俺達と同盟を結んでいる『魔竜軍』の長、

 魔界五軍将・魔竜将ガルヴァーヴの眷属である。

 魔竜軍は其の名が示す通り、

魔竜(エビルドラゴン)で構成される軍なのである。


 つまり…

 今から俺は同盟相手である魔竜軍に属する魔族に

 戦いを挑む可能性が高い。


 もちろん竜の姿は商隊の見間違いや勘違いかも知れない。

 魔竜(エビルドラゴン)だとしても、

 魔竜軍に所属していない個体なのかも知れない。

 だが魔竜軍では無いと判断するには、

 その要素が少な過ぎるのだ。


 同盟に属する魔族とは言え、

 人間に害を為しているという事なら…

 ”別に倒してしまっても構わんのだろう?”

 …何て事にはならないだろうなあ。


 だが俺の予想通りに、

 この先に居るであろう魔族が

 人間たちを無理やり奴隷としているのなら…

 直ぐにでも助け出さなければならないだろう。


 その際に魔族とは話合いだけで済むのか?

 それは難しいだろう…。

 やはり実力行使での解決方法でしかない。

 せいぜいエクゼヴたちと同様に、

 相手の命を奪わずにすることぐらいである。


 それで手打ちにして、

 俺たち聖王国と魔竜軍は

 同盟自体に支障が無いと無事に収めることが出来るのか…?


 俺は森の最奥へ足を進めながら、

 頭の中で思考が堂々巡りを繰り返している。

 全く良い考えが浮かばない。


 くっ…ディラムが居れば

 少なくとも相手の魔族が魔竜軍かどうか直ぐに解ったものの!

 何というバッドタイミングか。

 だが…物事は常にそういう巡り合わせなのかも知れない。


「ケイガ兄様、

見通しの眼鏡(スカウターレンズ)に急反応ですわ!」


「…なん…だと…?」


 俺は自分が掛けている見通しの眼鏡(スカウターレンズ)

 映し出されている魔力反応を見やった。


 俺達が目指す小山と全く違う方向から

 急に高魔力数値の反応が出現した。

 ”それ”は俺達に向かって高速で接近してきた。

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