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481話 最奥の魔力反応

「よし、この区域の魔力調査は終わったな。

次は…」


 俺達はグリンジスの現地協力員に頼んで、

 大森林の大まかな地図を準備して貰っていた。


 その地図上で森を細かく区域別に分ける。

 そして俺達三人は手分けして各区域内を跳び回り、

 見通しの眼鏡(スカウターレンズ)でくまなく調査、

 問題なければ地図に調査完了のチェックを入れる。


 こうやって俺たちは、

 グリンジス郊外に広がる大森林を

 しらみつぶしに調査していった。


 街の中とは違い一般人を装う必要が無いため、

 俺達は並の人間より高い身体能力を解放し

 森の中を高速で跳び回ることが可能になった。

 そのおかげで街より遙かに広い筈の大森林の調査を、

 街の中の時よりも遙かに時間を短縮して

 進めることが出来たのである。


「さて、残すは森の最奥エリアだが…

イロハ、ツツジ、見通しの眼鏡(スカウターレンズ)の反応はどう出ている?」


「地図には森の終わりに小山がありますけれど、

其処に魔力数値350の反応がひとつ。

あとは魔力数値ヒトケタの反応が十数ありますわ」


「…兄様、数値からして

前者は人間とは考えにくいと思います…

おそらく中位の魔族ではないかと…

…後者は魔力が少なすぎますから

下位魔族とは思えません。

…おそらくは人間だと思います」


「ふむ…つまり

このグリンジスに入り込んだ魔族に

既に人間が捕らわれて…

奴隷となっているという事も

考えられるということか?」


 魔族はむやみに人間を殺さない。

 いや、むしろ殺さないと言っても過言ではない。

 これは俺が以前、

 国境の町クラシアで魔界五軍将のひとり、

 魔言将の配下の魔族達と実際戦って

 身をもって理解したことである。


 彼等魔族は人間を滅ぼすべき敵としてではなく、

 魔族の地上支配における貴重な労働力として、

 生かすべき奴隷として考えているのである。


 この考えは人間の思考のそれとは大きく違うものである。

 人間の支配者であれば、

 自分の下の人間は幾らで替わりが効くとばかりに…

 すぐに使い捨てて殺す考えが大勢を占める。


 これは、

 生物の個として強いが数が少ない魔族。

 生物の個として弱いが数が多い人間の絶対的な命の価値観の差らしい。


 確かに命を大切にする魔族の考えは人間より良いかもしれない。

 だが自由を奪い、魔族の為の労働力として人間を奴隷とする考えを

 俺は人間として到底受け入れることは出来ない。

 

 人間は自由であるべきなのである。

 その心も行動も…

 何者であろうとも、

 どれほど強い力を持った者であっても、

 その自由を奪ってはいけないのである。


 つまり俺の予想通りに、

 この先の小山に潜む魔族に

 人間たちが無理やり奴隷とされて捕らわれているのなら…

 俺は自由を旨とする人間としてその魔族を倒し、

 人間たちを助け出さなければならないという事である。

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