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475話 いたって単純(シンプル)な方法

 俺達は拠点(ホーム)としている宿を出ると、

 貴族ゴルザベスの領地の中核都市である

 グリンジスの街の調査を開始した。


 表立ってはグリンジスの観光と称して街中を馬車で移動、

 街の各所で馬車を降りて徒歩で散策をする。

 実際には見通しの眼鏡(スカウターレンズ)で街の各所を測定し、

 高い魔力数値を持つ存在の有無を確認していく。


 もし本当に魔族がこのグリンジスの街中に居るのなら

 見通しの眼鏡(スカウターレンズ)に瞬く間に引っかかるという訳である。


 いたって単純(シンプル)な調査方法ではあるが、

 魔族は純魔族である中位魔族以上であれば魔力数値400前後は確実。

 その様な強大な魔力数値を持った人間は存在しないと言って良いだろう。

 つまり高い魔力の反応が在れば其の存在は魔族とほぼ確定される。


 ちなみにイロハが今使用しているオペラグラスにも、

 量産型の見通しの眼鏡(スカウターレンズ)が仕込まれている。


 そしてシダレが掛けている眼鏡も、

 量産型の見通しの眼鏡(スカウターレンズ)である。


 俺達は三人がかりで街の怪しい所を

 見通しの眼鏡(スカウターレンズ)で隅々まで見渡して、

 魔族が居ないか調査を続けた。

 だが…高い魔力数値の反応は測定できなかった。


「もうお昼だな、

それでは二人とも…

いや、お嬢様。

そろそろ昼食にいたしましょうか?」


「そうですわね」


「…はい…」


 俺達は馬車の中に乗り込むと扉を閉めた。

 これで俺達の会話は外には漏れない。


「朝に町の市場で幾つか旨そうな食べ物を買っておいたんだ。

二人ともこれで昼食にしよう」


「ケイガ兄様?

この葉でくるまれたモノはなにかしら?」


「この世界では違う名称で呼ばれている可能性もあるけど…

俺の元居た世界の言葉で言うなら、

これは”笹の葉寿司”だな。

寿司ご飯を型に入れて押し固めて造る押し寿司を

竹の葉で包んだものだよ」


「お寿司はわかりますけれど、

この形のものは…あたくしは初めてですわね」


「…ツツジも、初めてです…」


「お寿司はバリエーションが多いからなあ。

この聖王国の各地には

イロハ、ツツジも知らないお寿司が

日本から伝わっているのかもな」


 このエクスラント聖王国には、

 俺の元居たセカイ地球の日本国の文化が深く根付いている。

 間違いなく俺より前に此の異世界に飛ばされた

 先達の日本人たちが伝え広めたものである。


 偉大な先達の日本人の方々のおかげで、

 異世界でありながら和食に困ることは無い。

 これは生粋の日本人である俺に取っては何よりも有難いことである。

 俺は彼等に感謝をしつつ手を合わせて、

 三人一緒に食事前の挨拶をした。


「「「いただきます」」」


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