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469話 兄として当然の

「さて、賢明なる兄君様(あにぎみさま)なら解っていると思うけど…

ボクの目の前で堂々とユウカとポーラの頭を撫でたんだ。

兄君様(あにぎみさま)が次にどう行動するべきかは、

言わなくてもわかるよね?」


 ミリィはそう言って俺の前に躍り出ると、

 自身の顔を指さした。


「あ…ああ。

もちろん解っているさ」


俺は自分の手をミリィの頭に乗せる。

そして彼女の望む通りに優しく撫でた。


「ふふっ…

久しぶりのお兄様の手…

やっぱり、気持ち良いよぉ…」


先のポーラ姫と同様にうっとりとした表情(かお)を浮かべるミリィ。

喜んでくれた様で兄として何よりである。


「ああっ…酷いですわミリィお姉様、

ポーラ、まだお兄様のナデナデに満足してませんでしたのに!

わたくしのナデナデ時間、まだ残ってい居た筈ですわ!」


 優羽花(ゆうか)を両腕で抑え込みながら、

 ミリィに抗議の言葉を述べるポーラ姫。


「欲張り過ぎだよポーラ…

君はさっき充分に頭を撫でて貰ったとボクは思うんだけどね。

まあその欲深さこそが、

流石は第一王位継承者というべきなのかもね…」


「それではミリィお姉様の頭ナデナデが終わったら、

わたくしの残り時間分のナデナデを…」


「姫様…ここはご自重くださいませ。

私もあとにつかえているのですから…」


 そう言ってポーラ姫をたしなめる発言をする

 姫騎士団(プリンセスナイツ)団長のシノブさん。


 あっ…そうですよね。

 貴方も俺の妹の一人なので、

 まあ…そうなりますよね。

 いやあ、年上の貴女の頭を撫でるのはその…

 流石に今でも気が引けるのですけどねえ…。


 そう考えながらシノブさんに目線を移した俺は、

 彼女の後ろに行列が出来ている事に気付いてしまった。


 カエデ、

 モミジ、

 イチョウ、

 クレハ、

 シダレ、

 イロハ、

 ツツジ、

 姫騎士団(プリンセスナイツ)、全員集合である。


「みんなー

兄様の頭ナデナデは団員番号の順で行くからねー」


「副団長、異存ないです」


「兄様の頭ナデナデも久しぶりですわ」


「だがこの好機…見逃す手は無い」


「わーい!

シダレ兄様のナデナデ大好き!」


「全くシダレは子供なんですから…

もう少しレディとしての嗜みを持つべきですわよ?」


「…兄様のナデナデ…楽しみ…」


 若い女性たちの黄色い会話。

 まるでアイドルの握手会の待ち行列のごとき様相である。


「んー?

おにいちゃん。

ヒカリも”なでなで”してほしいー」


 いつの間にか俺の隣に実体化した光の精霊ヒカリが、

 俺の服の袖を引っ張りながらナデナデ催促の言葉を掛けて来た。



 ああ…わかっているとも。

 妹たちが一同に介する場で、

 ひとりの妹に対して愛する行為をしようなら…

 続いて他の妹たちにも同じ行為をしなければならない。

 これは兄としての当然の振る舞いである。

 妹への愛に格差などあってはならない!

 兄の妹への愛は平等なのである。


 俺はこの場にいる妹たちを平等に愛して、

 等しく頭を優しく撫でなければならないのだ!


 よし、行くか…。

 ミリィの頭ナデナデを終えた俺は呼吸を整えると、

 軽く腕を鳴らした、

 そしてシノブさんを先頭に行列待ちをしている

 姫騎士団(プリンセスナイツ)のもとへと歩みを進めた。

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