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466話 ぱっと兄妹(ふたり)で

「えっ、何でよお兄!?」


「そりゃあお前…

二人ともグリンジスに行ってしまったら、

ここ聖王都の守りが手薄になってしまうじゃないか?


それに優羽花(ゆうか)は光の勇者。

対魔族における切り札なんだ。

今日までの鍛錬で更に強くなった優羽花(ゆうか)

勇者として力はなるべくなら隠しておきたい」


「ふうん…でもねえ…

そんなこと言って前に国境にひとりで行ったお兄が、

大魔王に返り討ちにあって酷い目にあってたんですけど?」


 優羽花(ゆうか)は俺をジト目で見つめながら

 訝し気(いぶかしげ)に言葉を述べる。


「うっ…それは…

精霊の結界は魔力数値1000以上の魔族は

地上へ通さないと聞いていたからであって…

大魔王があんな(からめ)め手を用いて

地上に出て来るなんて思わなかったから…」


「だったら!

今回だってそういうことになるかも知れないじゃない!

大魔王の時はあたしの助けが何とか間に合ったから良かったけど…

ああいう…お兄が死にかけるとかそういうのはっ、

あたしは二度とごめんだからね!


最初から兄妹(ふたり)でぱっと行って、

ぱっとその魔族の竜を探して、

居たら兄妹(ふたり)でぱっと倒してぱっと帰れば、

聖王都も大丈夫なんじゃないのよ!」


 そう叫んだ優羽花(ゆうか)の瞳は少し潤んでいた。

 ああ、そうか…

 優羽花(ゆうか)に俺はいらぬ心配を掛けていたんだな…

 俺は油断して大魔王に惨敗した、

 あの時のふがいない自分を猛省した。


 だが今回のグリンジス行きは、

 あくまでも潜入調査なのである。

 その面でも俺は優羽花(ゆうか)を連れて行くことは出来ない。

 其れを伝えるべく俺は口を開いた。


「じゃあ聞くが…優羽花(ゆうか)

これはあくまで潜入調査なんだぞ?


どっちかと言えば脳筋なお前が、

自分の魔力と気配を抑えながら、

こっそりと街を探る何て器用な真似ができるのか?」


「あ、うう…

で、でもっ、

それだったらお兄だって…」


「俺は魔力を抑えることも出来るし、

いざとなればヒカリとの魔力接続(リンク)を切れば

魔力をゼロにすることも出来る。


それに元の世界で(あやかし)を退治していた頃は

気配を隠しながら街を探る何て事もザラだったからなあ。

そういうことは慣れているつもりだ」


「で、でも…お兄、

あたしは…あたしは!」


優羽花(ゆうか)は俺をひとりで行かせるのが心配なんだよな?


でも俺だって、大魔王の時よりも

かなり強くなっていると自負している。

それにやばそうだったら無理はせずに退くつもりだ。


だから…ここは俺に任せてくれないか?」


 俺は優羽花(ゆうか)の頭を優しく撫でながら言葉を返した。

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