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446話 若き魔竜の答え

「ゴルザベスと言ったな、

人間達が住まう此の地を治める人間の領主であるオマエが

魔界の奥底に住まう魔族の竜たる、

魔竜(エビルドラゴン)のワレに従うと言うのか?

それが何を意味するのか解っているのか?」


「ドラゴン様の魔力数値は950、

その圧倒的な御力を前にしては

我等の軍如きでは到底敵いますまい。

戦っても無駄な死者が出るだけでございます。

ならば真っ先に降伏し貴方様に従属するのが良いと、

私はこの地を治める領主として判断した迄でございます。


私達はドラゴン様の忠実な僕としてお仕えたいのです。

早速ですがこれを…

お近づきの印になればと貢物を持参しました」


 ゴルザベスは背後の兵士たちに合図を送った。

 彼等は二台の大きな台車を引いて来ると、

 ワレの前に静止させた。

 そして上に被さっていた布を取り去った。

 台車の一台目には金と銀が積まれていた。

 二代目の荷車には屠殺(とさつ)された

 食肉用家畜が積まれていた。


「ドラゴン様は光り輝くものがお好きだと聞いております。

この金銀をどうぞお納めください。

そしてこの家畜はオウミギューと呼ばれる

我等人間の間では最高級の食肉でございます。

こちらもお納めください。

ドラゴン様のお口に合えばよろしいのですが」


 ゴルザベスと兵士たち一同はワレに対して一斉に(こうべ)を垂れた。


 火竜や氷竜といった地上に住むドラゴンは

 光り輝く金銀財宝を貯め込む習性があるとは聞いている。

 だが我等、魔竜(エビルドラゴン)は魔界に住まう魔族の竜、

 獣に近い種族である地上のドラゴンとは根本的に違うのだ。

 故にワレは金銀財宝といった類のモノには興味はないし、

 肉を喰らうと言った食事自体が必要無い。

 大気や大地に満ちる魔素を吸えば良いのだ。


 だが目の前の人間共は…

 無礼にも…

 我等、魔竜(エビルドラゴン)を、

 獣と同然のレベルと侮ったのかッ!?


 そもそも、戦いもせずに降伏し尻尾を振り、

 貢物で取り入ろうとするその姿勢が気に喰わない。

 人間と魔族は互いに相容れぬ不具戴天(ふぐたいてん)の敵同士では無かったのか?

 我等魔族は真正面からお前たちと戦って勝利し、

 この豊かな地上を手に入れるべく考えているのだぞ!

 そんな魔族であるワレに、

 命惜しさに尻尾を振り媚を売る低俗な人間の領主など…

 ワレは気に喰わないッ!


 リュシウムは口を開いた、

 その口内に魔力の光が煌めく。

 アポクリファル様から魔導研究室は壊さない様に命令されている。

 だからパワーを可能な限り絞って、

 ワレの目の前に立つ至極下らない人間共のみを、

 我が吐息(ブレス)で消し飛ばしてくれるわッ!

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