425話 一段上の兄状態
まあ…レディコミ異世界転移疑惑については
後でミリィにでも聞くとして、
今は目の前の問題に対しての対処をしなくてならない。
目の前の全力で俺に迫って来る姫君に対してである。
俺は彼女を見据えると臨戦態勢を整える。
「ん…
ケイガお兄様…」
そんな身構えた俺の前で再び目を閉じて唇を突き出すポーラ姫。
いやちょっと待って!
何でそんな期待に満ちた表情なんですか?
俺は妹とはキスなんてしませんからね!
しないんだからね!
「お兄様…はやく…」
ポーラ姫は俺に向かって甘く囁く様に誘いの言葉を掛ける。
うわあああっ!
ロイヤルハニートラップリアルでまじやばい!
だが今の俺はポーラ姫に対して兄心がブチ切れており、
兄としての心構えがいつもより遙かに充実している。
一段上の兄状態、言うなれば超兄として
覚醒している状態といった具合だろうか。
今の俺ならばポーラ姫の猛攻撃にも耐えられる。
「…さてポーラ。
だいぶ夜空の下にいたから身体も冷えて来たろうし、
そろそろ部屋に戻ろうか?」
俺は多少強引に話を切り替えて、
この場から引き上げることにした。
いきなり不自然とか言わないで欲しい。
今の俺が彼女の猛攻撃にも耐えられると言っても、
あくまで短時間での話である。
なるべく早くこの場から離脱しなければならないのだ。
俺のこの超兄状態が切れない内に。
「…それではケイガお兄様。
冷えたわたくしの身体を
お兄様の体温でどうか温めてくださいませ」
そう言って彼女は俺の身体にぴたりと寄り添った。
全くブレの無い彼女のアプローチ行動。
ロイヤルおっぱいが俺の身体に当たってこれは…
このままでは俺の兄心がガリガリと削られて、
俺のどうしようもない
25歳童貞の男心が飛び出してしまう!
そうなってしまえば元の木阿弥、
俺は再びポーラ姫に腰砕けになってしまう。
これはいけない急いでこの場を収めなければ…。
「ケイガお兄様…
わたくしがファイズお兄様の替わりとして
ケイガお兄様を愛そうとしているから、
その思いは受け入れられないとおっしゃいましたね?
でも先ほど申し上げた通り、
替わりなんてことは決してありませんわ。
わたくしは…他らなぬケイガお兄様の事が好き…大好きですの。
それでもお兄様は…ポーラの事はお嫌いですか…?」
ポーラ姫は熱い目線で俺を見つめながら言葉を述べた。
今日3度目になる俺への告白である。
兄心が充実している筈の今の俺でも…
その告白のパワーは絶大である。
俺の心臓の音は高鳴り、身体中が熱くなり、頭がクラクラした。




