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415話 新たな火種

 そりゃあ俺が元居た地球では、

 ギャグキャラ補正なんてある訳ないのだが。

 何しろここは異世界。

 何があってもおかしくは無い…と、

 俺はある趣、考えすぎてしまった訳である。


 ポーラ姫は回復魔法の使い手としては

 この異世界エゾン・レイギスでもトップクラス。

 そんな彼女の腕前ならば、

 まるでギャグ漫画の登場人物の様に

 一瞬で無傷で復活した様に見えてしまってもおかしくは無かった。

 

 …しかしまあ、冷静に考えれば

 ギャグキャラ補正などと言う捻くれた考えでは無く

 普通に素直に物事を考えていれば、

 ポーラ姫が回復魔法を使っているとすぐに気付けそうである。


「…はははははっ!」


 俺は考えすぎて遠回りをしていた自分を笑った。


「…ケイガお兄様?

何かおかしいことでもあったのですか?」


 突然笑いだした俺を不思議そうな表情(かお)を浮かべながら問うポーラ姫。


「いや…何でもないよポーラ。

自分の馬鹿さ加減に笑ってしまっただけさ。

それじゃあ、その痛そうなたんこぶは俺が引き受けるとしよう。

光回復(ライトヒーリング)!』」


 俺はポーラ姫の頭に向かって手をかざした。

 彼女の五連タワーたんこぶが淡い光に包まれて、

 みるみるうちに小さくなって消えていった。


「よし、跡も残ってない。

これぐらいの傷なら時間も掛からず治せるなあ。

流石は回復魔法の威力だ。

俺も回復魔法を掛けるのが少しは様になって来たかもなあ」


 俺はポーラ姫の頭を優しく撫でて、

 回復魔法の効果を確かめながら言葉を述べた。


「お兄様…」


 俺を目を潤ませて見つめるポーラ姫。

 あれ?

 もしかして、

 完全に治り切ってなくて触られて痛いとか?


「ケイガお兄様ぁ!」


 ポーラ姫は俺の胸に抱き付いて来た。

 俺は既に彼女に腕を絡まされており、

 その距離は至近だったのが更に近くなってしまう。


「お兄様をこんなにも困らせてしまったのは他らなぬポーラですのに!

このたんこぶから来る痛みはその罰だと受け入れてました。

そんな罪人のわたくしに何の躊躇も無く回復魔法を掛けて下さる何て…

その溢れる優しさをお持ちのお兄様にポーラ感激です…」


 いやあ…そんな大したことは無いと思いますよ?

 俺は単に痛そうだったから見てられなかっただけですし。

 あとそんなに強く抱きしめられると…

 貴女のロイヤルおっぱいの乳圧(にゅうあつ)が俺にダイレクトに伝わってですね…

 その、凄く…困るんですがががが!


 夜風に当たって

 火照った心身を冷やして

 冷静を取り戻したハズの俺を、

 新たな火種が襲い来る!

 助けてえ!

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